三度目の土下座
※性的表現があります。苦手な方はご注意下さい。また、15才以上の閲覧でお願いしますm(__)m
「そうだ!おっぱいを見せてくれたら、信じてあげるよ!」
「ふええーーーっっ!!?////」
私は良二さんの衝撃発言に、大声で叫んでしまった…。
「どうして、おっぱいを見せる事で私が見合い相手と信じられる事になるんですかぁっ!!///
良二さん、Hです!!さっきは、そういうのなしでいいって言ったのにっ!!」
両手をクロスして、胸を隠すようなポーズを取り、私が良二さんを責めるように叫ぶと、逆に彼は半目になって追求して来た。
「そう。俺がそう言った時、君はあからさまに、ホッとしていたよね。」
「うっ…!」
「もし、本当にお見合い相手が、見合いをすっぽかされて、破談になりかかっているにも関わらず、
わざわざここまで、俺の本心を聞きに来てくれたというなら、その理由はなんだ?
知りたがり病にかかったカナリアのようにただ好奇心によるものという事はないだろ!」
「ここへ来て、童話ネタッ?!(しかもエルマー◯冒険じゃなくて、続編の方なのがよりマニアック!)ま、まぁ、そりゃ単に好奇心によるものじゃないですけど…。」
私は子供の頃以来、久々に聞いた単語に驚きつつ、彼の主張を認めた。
「だろ?よほど、俺への好意がないとそんな事しないだろ?
結婚前提の付き合いとなると、夜の事だって避けては通れないだろう。
それなのに、君は俺とそういう事をするのは、嫌だという…。
おっぱいを見せろと言われ、怒り出す…。
だから、君は俺の見合い相手なんかじゃない。お店から派遣された新人の女の子「チェリーちゃん」なんだよ。」
「うっ。うぐっ…。ううっ…!」
乱暴な論法ながら、妙な説得力があり、私は思わず唸ってしまったが、もちろん反論の余地はあった。
「けど、ちょっと待って下さいっ!それは男の人の理屈じゃないですかっ!
良二さんに好意を抱いていても、すぐにHな事をしたいかというとまた別です。
そういうのは、時間をかけて二人の気持ちを通わせながら、ゆっくり心と体の準備を…。」
そう主張する私を彼はとても哀しそうな目で見た。
そして、彼は語ってくれたのだ。辛い過去の事を…。
「ふう…。高校時代に付き合っていた彼女も同じ事を言ってたな。だから、俺は彼女とゆっくり距離を縮めていこうと思っていたんだが、あっさりイケメンリア充に寝取られた。そのイケメンは、一夫多妻制を利用する成功者になったよ。」
「!! ||||」
「そして、親から勧められた一人目の見合い相手はすぐに手を出せない俺を、「誠実で優しい」と言ってくれたが、何度か会った末、同じく一夫多妻制を利用するイケメンリア充に寝取られていた事が分かり破談になった。」
「!!!||||」
「そして、二人目の見合い相手は、見合い当日、一夫多妻制を利用するイケメンリア充の子を妊娠している事が分かり、破談になった。」
「!!!!||||」
「思うに、女の子がゆっくり時間をかけて関係を育てていきたいって言うのは、そんなに好きでない相手に言う常套文句ではないのかな?
実際は男だけでなく、女の子だって、結構肉食だよ。
自分の好みドンピシャの男だったら、体を開くのに躊躇いはしないと思う。」
「りょ、良二さんっ…。」
寂しい瞳で、そんな事を言う良二さんになんと言っていいか分からなかった。
確かに誠意を尽くそうとした女性から三度も裏切られる体験をしたら、そんな風に思ってしまうのも無理はないのかもしれない。
「うっ…。ううっ…。ひっ…く。」
良二さんの過去の傷を思い、私が涙を流していると、彼は温かい手で、私の頭をポンと叩いた。
「…!//」
見上げると、良二さんはとても優しい瞳をしていた。
「嫌な話しちゃってごめんね?人の為に泣けるなんて「チェリーちゃん」はいい子だなぁ…。」
「良二さんっ…。」
「ありがとう。もう十分話聞いてもらったから、君ももうお帰り?
ははっ。実はさっきから、かなり酔いが回って来ちゃって、意識を保ってるのがやっとなんだよね。
今の内にお金払っとくよ。こういうの利用するの、初めてなんだけどいくら?現金でいいのかな?」
「…!!」
そして、ゴソゴソとカバンを探り、財布を出し始めた良二さんを見て、このままでは、これ以上彼に踏み込めないことを知った。
嫌だ…!!
このまま、彼を受け入れず、サービスの出来なかった女性として彼の記憶に残るのはとても嫌だった。
私はギュッと両目を瞑り、拳を握り締め、ある一つの覚悟を決めた。
「良二さん、待って!!まだ追い出さないで下さい…!!」
「??チェリーちゃん…?」
不思議そうな彼に向かって私は宣言をした。
「私は、あなたのお見合い相手、財前寺桜です!!
私にとってあなたは好みドンピシャの男性だったから、例え見合いをすっぽかされても諦めきれずに、ここまで本心を聞きに来たんです!!
今からそれを証明して見せます。
よーく、見てて下さいっっ!!」
「チェ、チェリーちゃんっっ?!///」
プチプチッ。バサバサッ!!
私は着ていたブラウスのボタンを外して、勢いよく脱ぎ捨てると、白のレースの下着姿だになった。
「っ…!!!///」
良二さんは息を飲み、両手で顔を覆ったけど…。
ううっ…。良二さん、指の隙間から、こっちをじーっと見てる…。
は、恥ずかしい…。
男の人の前にこんな姿を晒したのは初めてで、私は顔も体も真っ赤になった。
けど、覚悟を決めたんだ。もうひと踏ん張り!!
「くぅっ…!!///」
プチッ。
私は更にブラのホックを外すと…、
パサッ…。ぷるん…。
「っ…!!!!!////」
「〰〰〰〰〰!!////」
ブラを床に落とし、上半身裸になり、双丘が露わになった私を見て、良二さんは、顔を覆うポーズを取るのもやめ、目を見開き叫んだ。
「ブラボー!!チェリーちゃん!!客の為にそこまでする心がけも、おっぱいも本当に素晴らしい✨✨
俺、こんな綺麗なおっぱい、初めて見たよ!
大きさといい、張り具合といい、まるで天女のようだ。
生きる芸術と言ってもいい。君は自分の美しさを世界に誇るべきだよ…!!!」
「え…?そ、そんなに…??///」
涙を流して私の裸を絶賛する良二さんに、私は目を瞬かせた。
「ああ、本当に素晴らしいよ。ちょっと、モデルみたいにポーズを取ってみてくれない?」
「しょ、しょうがないですねぇ…。ちょっとだけですよ?」
✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
「最初はすごく恥ずかしかったんですけど、あんまりに、良二さんが褒めて下さるので、
私、いい気分になってしまって、気付いたら、言われるままにポーズを取って…。」
「うわああぁっ!!もう、やめろっ…。頼むから、やめてくれぇっっ…!!」
「あの…。良二さん、大丈夫…ですか?」
昨日の俺のひどい言動を聞かされ、耐えきれず、耳を塞いで号泣していると、俺がお店の娘だと勘違いしていた「チェリーちゃん」=お見合いの「財前寺桜さん」である目の前の銀髪少女は、心配そうに声をかけて来た。
「い、いや、ごめん。被害を受けたのは、君なのに…。
本当に申し訳ありませんでしたぁっ!!」
加害者の俺は銀髪少女の前で三度目の土下座をした。
「いや、もう土下座はいいですからぁ…。」
銀髪少女は、呆れ顔になっている。
「そ、それで、俺は10才も年下の君にどこまで何をしてしまったんでしょうか…。
自分が犯した犯罪は、きちんと償うつもりです。教えて下さい…。」
「さっきから犯罪犯罪って言いますけど、私、19才で成人してるから、同意の上だったら、犯罪にはならないんですけどね…。
それに、それ以上何もありませんでしたし…。」
「えっ。そうなの…?」
「ええ…。良二さんは、私に2、3ポーズを取らせると、満足したように、その場にすぐに横になって、眠り始めてしまい、朝までそのままでしたよ?」
「よ、よかった。いや、よくはないけど…。」
俺は最悪の事態だけは避けられ、安堵したものの、お見合いをすっぽかした挙げ句、その理由を聞きに来たお見合い相手をお店の女の子と勘違いして、胸を露わにさせてしまった俺の罪は如何ほどになるんだろうと首を項垂れていると…。
銀髪美少女は、綺麗な青い瞳で罪深き俺を見詰め、両手を組み合わせ夢見るように言ったのだ。
「まぁ、そんな事もあって、私は確信したのです。あなたは、私の運命の人♡♡未来の旦那様であると…!!」
「ええっ?今の流れでどうしてそうなるんだっ!?」
昨日から、銀髪美少女にひどい事しかしていない俺は、犯罪者として、警察に突き出されてもおかしくないのに、未来の伴侶として好意を向けられる理由が分からず、驚くばかりだった。
「それはですね…。」
「ニャー…!」
「「…!」」
銀髪美少女が何かを言おうとした時、タオルケットの上で寝こけていた筈の、茶色い毛の生き物が、パッチリ目を開けて、こちらに向かって鳴き声を上げた。
「猫ちゃん、起きたんですね?」
「おお…。やっと起きたか…。」
銀髪美少女は、昨日俺が拾って来た子猫を見て、微笑むと、俺にちろっと上目遣いの視線を送って来た。
「良二さん、それを説明する前に、猫ちゃんに、ご飯をあげてもいいですか?」
「あ、ああ。いいけど…。」
*
「はぐはぐ…。」
「ふわあぁ…。✧✧毛並みふわふわで可愛いですぅ〜!!」
数分後、買い置きのツナ缶を一心不乱に食べる猫と、その背中をそっと撫でて、ぷるぷるしている銀髪美少女の姿があった。
子猫を愛でる銀髪美少女、なかなか絵になる光景だな…。
状況も忘れて俺が癒やされてじーっと見ていると、銀髪美少女は、俺の視線に気付き、顔を赤らめた。
「あっ。なぜ、私があなたを運命の人だと思ったか説明をするんでしたね。すみません。猫ちゃんの可愛さに我を忘れてしまいました。」
そして、銀髪美少女は瞳を伏せ、昔を懐かしむような表情を見せた。
「私は…、この猫ちゃんと同じように昔、あなたに助けられた事があるんですよ?」
「えっ?俺に?」
驚く俺に、彼女は大きく頷いた。
「ええ。その時、あなたは高校生で、私はまだ小学二年生で、ランドセルを背負っていました。」
…!!
『お兄さん、ありがとう…。』
銀髪の髪に、青い瞳…。
茶色いランドセルを背負った小さな女の子が呟いたお礼の言葉…。
突如、記憶の底から、呼び覚まされた情景が脳裏に浮かび、俺は銀髪美少女を指差して叫んでしまった。
「君…!も、もしかして、あの時の子…?」
「はい…。」
彼女は、瞳を潤ませて俺を見詰めると、静かに頷いた。
その恥ずかしそうな笑顔は、記憶の中の小さな女の子が見せた表情とそっくりだった…。