おまけ話 念願のお守り
「あっ。おかえりなさい。良二さん♡」
「ニャニャ~ン♡」
「さくら、あんず、ただいま。
あの、コレ…、お土産。///」
「え?」
いつものように仕事帰りの良二をあんずと共に玄関先で出迎えたさくらは、小さい紙の袋を渡されて目をパチクリさせた。
「開けてもいいですか?」
「ああ…。」
「ニャニャン??」
紙の袋の中には、更に小さな紙の袋があり、赤字で神社の名前が書いてあった。
「…!これって…!!ふわぁぁ…!!///」
さくらはその袋の中に入っている『安産祈願』と書かれたピンク色のお守りを取り出すと、感極まった様子でそれを高く掲げた。
「小さい頃、良二さんが私にくれたものと同じ神社のお守りだぁ✧✧嬉しいっ!!良二さん、すごく忙しいのにわざわざ買いに行って下さったんですね?ありがとうございます!!」
涙を浮かべて礼を言うさくらに、良二は照れたように言った。
「いや、丁度仕事で近くに寄る機会があったからさ。
今年、初詣で、あげたお守り返納しに行った時、さくら泣いていただろ?
その時が来たら、さくらにあげたいと思ってたんだ…。」
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《良二の回想》
お正月、神社の古札納所にて号泣する和服姿のさくら。
「うわあぁぁ…!!良二さんにもらったお守り、手放すの寂しいですぅっ…。
3歳から一緒だった、ぬいぐるみのくま美ちゃんとお別れした時より辛いぃっ!
びえ〜ん…!!」
ざわざわ…。
「何かしら?痴話喧嘩?」
「正月から、あんな綺麗な子泣かせて…。」
周りから、白い目で見られ、焦ったようにさくらを宥める良二。
「い、いや、でもさくら、古いお守りをずっと持っているのもよくないだろう?
上の社務所で、他の用途のお守り、買ってあげるからっ。おみくじも一緒に引こうっ。なっ?なっ?」
「は、はいぃっ。絵馬も買って『良二さんと一緒にずっと幸せに過ごせますように!』って書きたいです。ぐすっ。ぐすっ。」
鼻をすすりながら、良二に手を取られ石段の方へ向かっていくさくら。
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さくらも思い出し、赤面する。
「あああ…!!///
あの時は、子供みたいになってしまって、ご迷惑おかけしました…。あのお守りを持っていたら、いつか良二さんに会えるような気がしてずっと大切にしていたもので…。」
「ああ。あのお守りのおかげで、さくらに再会できたのかもな。
そしてこのお守りは、さくらと新しい命を守ってくれるよ。」
「はい…。大切にします…。そして、元気な赤ちゃんを産みます…。」
良二の言葉に頷き、お守りをギュッと抱き締め、下腹部を撫でた。
「ニャアン…↓」
お土産が食べ物じゃなかった事にがっかり気味のあんずに、良二はコンビニのビニール袋から猫用オヤツを取り出した。
「ハハッ。あんずにはこっちだよな?」
「ニャニャン…!↑」
カリカリと袋を引っ掻こうとするあんずにさくらは笑いかける。
「ふふっ。あんずちゃん、袋破けちゃいますよ?
リビングで皆、ご飯にしましょうね?」
「ああ、そうだな。」
「ニャッ!」
そうして、今日も石藤家のリビングで、美味しいご飯と共に家族団欒の時間が始まるのだった…。
✻あとがき✻
この話をもって、本作品完結とさせて頂きます。
今まで良二くん&さくらちゃんを見守って下さりありがとうございました! ✧(;_;)✧
たくさんの読者様のリアクション、コメントに支えて頂いていましたし、誤字報告や、設定上おかしいところなどのご指摘、助かりました。
執筆済みの話ではあるのですが、今回の投稿は、読者様と共にもう一度作品を振り返り、より良いものに作り変えていくいい機会になりました。
本当に感謝です!
本作品が、読者様にとって、最後まで読んでよかった。評価してよかった。と思って頂ける作品であれたら嬉しいです。
読者様への感謝の気持ちを込めてみてみんにAIイラストを投稿していますので、よければご覧下さいね。
https://42432.mitemin.net/i969294/
なお、実は本作品、もう少し先まで構想がありまして、続編(別作品として投稿予定)についてはまた活動報告でお知らせしたいと思いますので、ご覧下さいね。
また、他作品になりますが、現在連載中の「NTRビデオレターを送り付けてきた元カノと妹が入れ替わった瞬間、俺は妹への猛烈な愛に目覚める」 も、終盤に入り、6月中に完結予定となっております。
彼女にNTRビデオレターを送り付けられてしまった主人公が、実の妹や仲間に協力を得て、裏切った元カノ&間男と対峙し、結果的にざまぁを果たすものの、その後妹と元カノが入れ替わってしまうというドタバタの妹ものラブコメになります。
ご興味がある方はぜひこちらもお付き合い下さいませ。
今後とも各作品をどうかよろしくお願いしますm(_ _)m