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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第四章 白鳥へのざまぁ。そして、一夫多妻制の許された社会で俺は…。
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白鳥への制裁《白鳥慶一視点》


「何だ、これ…?僕の診察結果…? …???||||||||」


 僕は香織から渡されたその書類を見て、一瞬頭が真っ白になった。


「嘘…だろ?精子が確認出来ない…?

 僕が…不妊の原因っ…??」


 鈍器で殴られたかのように頭がガンガン鳴っている。


 こ、こんなの何かの間違いだ。今まで連れ添って来た夫を裏切り、石藤サイドにつくような女の言う事が信じられるものかっ。

 大体僕にはもう…。


「か、香織、いくら腹に据えかねたからってこんな質の悪い嫌がらせはや、やめろよっ…。


 僕には綺羅莉と舞香の間に三人の子供がいるんだぞっ?」


 冗談だと言えっ!祈るような思いで香織を見上げると、彼女は大きなため息をついた。


「私もそれが本当じゃなかったら、どんなに良かったかと思ったわ。

 あと、これ、彼女達の同意取ってないから、証拠書類にはならないけど…。」


 そして香織は、更に3枚の書類を僕に差し出してくる。


 嫌な予感がしながら受け取ったその書類には、

 DNA鑑定結果と書かれており、次のような文面が記されていた…。


『白鳥慶一は白鳥桃姫の生物学的な父として排除されます。』


『白鳥慶一は白鳥万里生の生物学的な父として排除されます。』


『白鳥慶一は白鳥瑠衣司の生物学的な父として排除されます。』


「DNA…鑑定??ち、父親の可能性を、排除…?!

 桃姫…、万里生…瑠衣司まで…?」


 検査結果の紙を震える手で握りしめ、復唱しながらも、どうしてもそれが現実のものとは思えなかった。


「う、嘘…。嘘だ、こんなの…。だって、三人は、ぼ、僕の…。


 き、綺羅莉と舞香は…今まで俺を謀っていたっていうのか?

 し、信じられん…。」


 だって、もしそうなら、子供が出来てしまったと泣きついて来た、あの時の綺羅莉と舞香は…?

 最近、子供がけいちゃんに似てきたと笑っていた綺羅莉と舞香は…?


 桃姫、万里生、瑠衣司が俺の子じゃないとしたら、彼女達はとんでもない裏切りをしていた事になる。


 そんなの信じられるわけがないだろう?


 子供を産めない香織が彼女達へのやっかみ、嫌がらせで書類を偽造したんじゃないか?


 そう思い、香織に疑いの目を向けたが、彼女はまるで僕に対する興味が失せたように無表情だった。


「そう思うなら、彼女達の同意を得て、もう一度鑑定してみたら?

 私は、もうあなた達との腐り切った関係をこれ以上続けていく気はないから、受け取って?」


 震えている僕に、香織はもう一枚の書類を手渡して来た。


「か、かおりっ……!|||||||」


 それは、第一夫人の欄を記入した一夫多妻制専用の離婚届だった。


 衝撃を受ける僕を香織は歪んだ笑いを浮かべ、見下ろしていた。


「香織さん…。」

「……。」


 財前寺桜と石藤がイチャコラ寄り添いながら、そんな俺達夫婦の最低な終わりを神妙な顔で見詰めている。


 何なんだ?この屈辱的な状況は?

 悪夢なら早く醒めてくれ…!!


 絶望のあまりその場に動けない僕に思いがけない人物が声をかけて来た。


「へ〜。スワンの社長さん、男性不妊だったのか。僕と一緒だね?」

「…!!」


 僕の方に屈んで話しかけて来たのは、思いがけない人物、雪森㈱の営業部長の山本だった。


「僕も分かった時はショックだったけど、閉塞性の無精子症だったから手術で精子が採取できて、今は妻との間に二人の子がいるんだ。


 だから、不妊だからといってそう悲観したものでもないよ?」


「山本営業部長…。」


 嫌味な奴だが、根は悪くない奴なのか?と思いかけた時…。


「今まで散々好き勝手して来た君に寄り添ってくれる妻がまだ残っていればの話だけどね…。ハハッ!!」

「…!||||||||」


 山本はニィッと底意地が悪そうに微笑み、僕は更に青褪めた。


「山本…!あんまり場を引っ掻き回すなよ。」

「こんな茶番に付き合ってやったんだ。言いたい事ぐらい言わせろよ。」


 ??…?!


 財前寺龍人が親しげに山本に話しかけているのに、違和感を覚えていると、財前寺龍人は、僕にニッコリと笑った。


「ああ。あまり世間には知られていないんだけど、山本は学生時代からの僕の友人でね。

 他企業も参加してもらう方が君に怪しまれないかと思って、この騒動にも一枚噛んでもらったんだ。」


「…!!」


「もちろん、イベントはフェイクではなく、本当に秋頃行われる予定だけど、

 イベントの参加者である娘夫婦に策略を巡らし、危害を加えようとするようなスワンさんには企画から降りてもらおうか。

 どうぞこのままお引き取り下さい?そして、会社にも家族にも二度と関わらないでもらう事を望むよ。」


「白鳥さん、永遠にさようなら!」

「白鳥、二度とさくらに近付くなよ!


「く、くそっ!お前達、皆最低だ!!覚えてろよっ…!」


 財前寺龍人に凄みのある笑顔で訣別の言葉を告げられ、財前寺桜と石藤に睨みつけられ、香織、山本、不審者の男、その場にいた全員に冷ややかな目で見られ、僕は這々の体でその場を去るしかなかった。


 

*あとがき*


 いつも読んで下さり、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます。


 白鳥のざまぁパート、白鳥視点(今回の話)→白鳥部下、青田視点→白鳥妻、綺羅莉視点とお届けしていきたいと思います。


 今後ともどうかよろしくお願いします。


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