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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第四章 白鳥へのざまぁ。そして、一夫多妻制の許された社会で俺は…。
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打ち合わせ当日《白鳥慶一視点》


『北欧イベントについてAグループ打ち合わせ』

 RJ㈱本社にてー。


「スワンとしては、財前寺桜さんを中心に、SQプリンセス24うまうまキッチンなど、アイドルや料理系ユーチューバーとコラボした派手な宣伝で盛り上げて行きたいと思います。」


 僕の素晴らしい提案に、周りからほぉっと感心する声が上がった。


「なるほど、スワンさん、なかなか面白そうな企画だね。さくら、そちらで今決まっている企画内容について教えてもらえるか?」


「はい。当日は今田素子先生と私、財前寺桜で、北欧の食品を使ったお料理を紹介する企画を行いたいと思っております。取り扱う予定の食品とメニューはこちらの別冊子にありますので、ご覧下さい。」


 RJ㈱社長の財前寺龍人の問いに、淡い桜色のスーツ姿のさくらさんは鈴を転がすような美しい声を会議室に響かせた。


 会議室の席には他にRJ㈱の幹部達、雪森㈱のあの嫌味な営業部長山本、MF㈱の営業部長とさくらさんの不釣り合いな現夫、石藤良二も並んでいた。


「その企画について使用する機材については、当社で用意させて頂きたいと思います。使用機材の一覧については、こちらの資料をご覧下さ…。」

「MF㈱さん、ちょっといいかな?」


 石藤の発言の途中で、財前寺龍人社長が手を挙げた。


「使用機材の一覧を見せてもらったけど、いくつかは今、出ている最新式のモデルではないよね?

 イベントに使用するのに適切かどうか再検討する必要があると思うのだが…。」


「…!」


 厳しい表情でそう指摘された石藤は、面食らったような顔で、義父である財前寺龍人を見返した。


「た、確かに最新モデルの機器ではないものもありますが、この企画に関しては従来のモデルで充分問題なく使用できますし…。」


「君はRJが総力を上げて行う『財前寺桜』のイベント企画に対して従来のモデルの使用で問題ないなどと、ランク低く見積もっているのかね?」

「……。(良二さん…。)」


「い、いえ…。決してそういうわけでは…!」

「(ひぃっ。石藤くん、何やってんの!||||)」


 財前寺龍人に睨まれ、さくらさんに悲しげな目で見られた、石藤は戸惑い、同じ会社の営業部長は青くなっていた。


「ご心配をおかけして申し訳ありません!当社、全て最新式の機材を用意出来るよう再検討致しますので!」

「小坂さん…!は、はい。その様に致します。申し訳ありませんでした!」


「当然だ。ぜひそうしてくれ。」


 MFの営業部長と、石藤は揃って頭を下げ、財前寺龍人はそれを一瞥すると、奴から視線を逸らした。


 周りの参加者は思わぬ緊迫した雰囲気にざわつき、顔を見合わせている。


 ふふっ。石藤め!いつも自分に味方してくれる筈の義父から急に厳しい対応を受けて戸惑っているな。


 実は、財前寺龍人には事前にアポをとって、石藤と香織の不貞について洗いざらい、話しておいたのだった。


 奴ら、少し接触する機会を作ってやったら、案の定焼き木杭に火がついたらしく、その後何度も連絡を取っていた。


 まさか、こんなに上手くいくとは…。

 ったく、石藤も香織も素敵な配偶者がいるっていうのに、どうしようもない奴らだぜ。


 内心呆れる思いもありながらも、この状況をすぐに利用させてもらう事にした。


 財前寺龍人は、最初は信じられない様だったが、証拠写真や音声を提出すると顔色が変わって行った。


 そして、イベントに対する石藤の仕事の瑕疵になることを指摘すると、財前寺龍人は、表情を和らげた。


「参考にさせてもらうよ。石藤くんは、然るべき責任を取ることになるだろう。


 君にとっても、奥さんの不貞で辛い事だろうが、教えてくれてありがとう。

 僕は君に対する評価を考え直さなければならないな。」


 財前寺龍人の僕に対する好感度も上がり、さくらさんとの未来についての障害が一つ取り除かれた。


 いつもながら、僕の計画は完璧だ。


「では、ここで休憩を入れさせて頂きます。午後の会議は13時からになりますので、時間になりましたら、またこちらの会議室にお集まり下さい。」


 RJの社員が告げ、それぞれの参加者が席を外す中、石藤が焦った様子でさくらさんに話しかけていた。


「さ、さくら。あの、ごめんな。さっきの機材の事だけど…。」

「良二さん…。私、ちょっと気分が悪くて。失礼します。」


「さ、さくらっ…。」


 必死に弁解しようとする石藤だが、さくらさんに逃げられてしまい、呆然としていた。


 ハハッ。不様だな。石藤。


 さくらさんには、お前の不貞がもうバレてるんだよ!


「し、白鳥!お前がお義父さんやさくらに何か言ったのか?」


 振り返り、俺と目が合った石藤は今度は焦ったように俺に迫って来た。


 言ったに決まってるだろ?


 内心ほくそ笑みながら、僕は心外だという表情を浮かべて、肩を竦めた。


「はあ?僕は何も言ってないよ。自分の至らなさを人のせいにしないでくれないか?

 上手くいかない理由が何なのか、胸に手を当てて自分のした事をよく考えてみればいいんじゃないか?」


「…!」


 胸を突かれた表情になった石藤を背に、俺は会議室を後にした。


「石藤くん、これは一体どういう事だい?」

「小坂さん…。」


 後ろから、石藤が同じ会社の営業部長に責められている声が聞こえていた。


 石藤、ざまぁ…!汚れ役お疲れ様!


 後は、王子の僕が石藤の不貞で傷ついているさくらさんの心を慰め、結ばれるだけだ。


 俺は、緩む頬を引き締めながら、さくらさんに指定された場所へ向かったのだった。


*あとがき*


 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m


 いよいよ、最終決戦。白鳥の運命を見届けて下さればと思います。


 最終話まで止まらずに更新していけたらと思いますので(既に全話予約投稿済)、今後ともどうかよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
白鳥騙すためのポーズだとしても、自分の娘の企画は最新式使えって会議でゴリ押すなよ笑
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