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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く  作者: 東音
第四章 白鳥へのざまぁ。そして、一夫多妻制の許された社会で俺は…。

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権田さんといっしょ 〜最後に愛はカツ計画〜《前編》

 白鳥を撃退する為の計画の一環として、さくらが白鳥に接触する予定の日。


 心配で仕方がなかった俺は、さくらから連絡が入り、彼女が無事で作戦も成功したと聞き、ホッと胸を撫で下ろした。


 その日は、部下に仕事を任せて早めに帰宅すると、玄関先でさくらが明るい笑顔で迎えてくれた。

「あっ。良二さん。おかえりなさい。本当に早く帰って来てくれたんですねって、わっ。わわっ?///」


 台所仕事をしていたのか、お玉を持ったままのさくらをギュウッと抱き締めると、腕の中の彼女はわたわた慌てていた。

「君が無事で本当によかった…!危険な目に遭わせてごめんな…。」


「い、いえいえ、そんな。///権田さんも待機して下さってましたし、そこまで危険な事はなかったですよ。

 良二さんのギュウが何よりのご褒美です。」

「さくら…。」


 可愛い事を言う新妻を抱く手に一層力を込めた。 


「ニャニャ?」


 様子を見に来たあんずが、そんな俺達を見て、またイチャイチャしているのか?というように、首を傾げていた。


        ✽    

  

『えっと。白鳥さん…。あの、大丈夫…?』

『りょっ…。い、石藤くん…。急に目眩がして…。ごめんなさい…!』


 リビングに備え付けられたテレビ画面には、体調が悪そうな香織が、目の前の通行人にぶつかり、支えたのが俺だったと分かり、びっくりしている様子が映し出されていた。


 あの日、香織の筆跡に似た怪しげな手紙

 の指定した日時と場所に行き、しばらく待ってみると、前からフラフラ歩いてくる香織が現れたのだった。


 動画は実は近くにこっそり隠れていた権田さんが撮ってくれていたものだ。


「具合の悪い香織さんを良二さんが助けているところを、一部分だけ写真にすると、あんな風に不倫をしているかのような場面のように映ってしまうんですね。

 何も知らずにあの写真を見たら、もしかしたら、かなりショックを受けてしまっていたかもしれません…。」


 夕食(さくらのロースカツ定食、言うまでもなく神うまかった!)を食べ終わり、改めてこの画像を確認していたところ、さくらは眉間に皺を寄せて、ううむと唸った。


「さくら!俺、浮気なんてしないよ!」

「は、はい。もちろん、良二さんが誠実だという事は分かっているのですが……」


 急いで主張する俺にさくらも慌てて頷いた時…。


 ピンポーン!


「ん?西城さん?」

「…ですかね?」


 家のチャイムが鳴り、俺達は咄嗟に、隣人の西城亜梨花がま酒瓶片手に飲みに誘いに来たのかと思ったが、インターホンの画面に映ったのはガタイのよい男性の姿だった。


「石藤様、さくらお嬢様、夜分遅くに申し訳ありません。重要な事をご連絡申し上げたく、お伺い致しました。

 少しお時間よろしいでしょうか?」


「「権田さん…?」」


 俺達は不思議に思い、顔を見合わせながらも、取り敢えず家に入ってもらう事にした。


         ✽



「これはあんず様…。お初にお目にかかります!」

「ニャアァ…?||||」


 権田さんは、初めての対面となるあんずに丁寧な挨拶をし、

 あんずは外見の怖そうな彼に、びびって壁際に張り付いていた。


「あんずちゃん、権田さんは優しい方ですから、怖くないですよ?」

「ニャ…?」


「私が強面なばっかりに、ご迷惑おかけします……」


 さくらがあんずを宥めていると、権田さんは、ひたすら恐縮していた。


 いつも送迎をしてもらっている権田さんだが、家の中まで入ってもらう事は今までなく、(さくらが一緒に何度か招いた事はあったが、固く断られていた。)それだけに、連絡したい事というのがよほど重要な案件である事を示していた。


「どうやら、盗聴器等仕掛けられているという事はないようですね。よかったです。」

「「は、はぁ…。」」


 しばらく、アンテナのついた小型のラジオのような機械を操作して、周りを歩き回っていた権田さんは、俺達に爽やかな笑顔を向けると、俺達と向かい合わせにリビングテーブルの席につき、カバンから取り出した資料をテーブルの上に置いた。


「では、早速本題に入らせて頂きます。まずは、この写真をご覧下さい。」

「「?」」


 資料の最初のページに、3枚の写真が載っているのを指差した。


 3枚の写真には、 

 ①道路の向こうでカメラを向ける暗い色のパーカーの男

 ②MF(株)のメールボックスに手紙を入れている黒いパーカーの男

 ③白鳥とスーツ姿の男性

 が映っていた。


「一枚目は、石藤様と白鳥夫人の写真を撮っていた怪しげな男を更に隠し撮りした写真、

 二枚目は、石藤様の会社のメールボックスに、怪しげな手紙を入れていた黒いパーカーの男性の防犯カメラの画像、

 三枚目は、雑誌掲載されていたもので、白鳥慶一とその部下である青田雅彦が並んで起業家のパーティーに出席した時の写真になります。」


「おお…。」

「まぁ…。」


 短期間にここまで調べ上げる権田さんに俺とさくらは感嘆の声を上げた。


「この3枚の写真を見てお気づきになる事はありますか?」


 一枚目の写真に映った男はフードを被り、マスクをしているので、顔立ちははっきりしないが…。


「えーと、どの写真も小柄な若い男性が映っている?」

「しかも、同じメガネをかけてるように見えますね?」


「そうです。一枚目、二枚目の写真と、三枚目に白鳥と映っている男はどうやら、同一人物のようなのです。」


「…!!という事は、良二さんを怪しい手紙で誘い出し、香織さんに会わせるように仕向けたのも、香織さんと抱き合った写真を撮らせたのも、白鳥の部下って事ですか?」

「…!!やはり、全部、白鳥が画策した事で部下に手伝わせていたってことですか?」


 権田さんに告げられた事実に、俺とさくらは衝撃を受けた。


「恐らくは…。ただ、やはり白鳥夫人は今のところ、白鳥の計略に加担しているわけではなさそうですね。

 もしそうなら、白鳥夫人自身が手紙を書いて、石藤様に送られた方が効果は高いでしょうし、白鳥夫人のバックに付けられた盗聴器に気付いていないご様子でした。

 石藤様が白鳥夫人に盗聴器の事をご指摘されたその後も、白鳥がさくらお嬢様に接触してきました。

 我々が白鳥の計略に気付いている事を白鳥は夫人から知らされていないという事

 になります。」


 権田さんの推測に俺も頷いた。


「白鳥が香織とギクシャクしてるというのは、案外本当の事なのかも…。

 盗聴器を付けられているのを知って、香織は白鳥に更に不信感を持っている筈だ…。こちらの味方になってくれるならよいが、そうでなかったら、容赦はできないな。」

「香織さん…。」


 ひどい別れ方をしたとはいえ、元カノの境遇に少し胸の痛む思いはしたが、白鳥を選んだのは彼女自身だ。

 場合によっては敵対する事もやむなしと割り切っている俺に対して、さくらは複雑そうな顔で俯いた。

 小さい頃に助けてもらった恩と板挟みになっているのかもしれない。


「それと、その部下の青田雅彦氏なんですが、別件で調べていた事件の関係者でもある事が判明しました。」


「別件?」


「そうです。この車に見覚えはありますよね?」


 権田さんが資料のページを捲ると、そこには、見覚えのある青いスポーツカーの写真が載っていた。


「…!はい。去年、家の近くでひき逃げをされたのと同じ車です。」

「…!良二さんをひき逃げした車…!」



「調べたところ、白鳥の車です。」

「「えっ?!」」


 権田さんの言葉に俺とさくらは目を剥いた。


「その日その時間、この付近でその車を運転していたのは、青田雅彦のようでしたが…。」


「…!!!りょ、良二さん…。」

「…!!!あ、ああ…。」


 俺とさくらは更に衝撃の事実を知り、驚いた顔を見合わせたのだった。

*あとがき*


 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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