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私が魔王の血脈だっていうなら確かめてみるしかないじゃない

──境界の山脈


「ごきげんよう!!!」


 山越え用の馬に乗ったまま声をかけることにした。


 私の声が傭兵たちと魔族のあいだに鳴り響く。


 魔族狩りの傭兵たちも龍教団の魔族たちも一斉に視線を向けた。


「魔族の皆さんに聞いていただきたいのだけれど」


 私は前置きを口にしてから語り始めた。


「いま傭兵団を退けても、いずれここに本格的な軍勢が送り込まれるのは明白よ」

「騎士団が掃討戦を始めれば、あなたたちに勝ち目はないわ」


 静まり返る龍教団の魔族たち。


 その一方で傭兵団の頭目らしき隻眼の女が私に話しかけてきた。


「急になんだぁ、お前?」


 それにしても女の割合が高い傭兵団ね……。


「私は馬車で山越えをしたいのだけれど」

「あなたたちが邪魔で困ってるのよ」


「邪魔だあ?」

「こちとら仕──」


「そんなことは……わかっている」


 龍教団の魔族による低い声が傭兵団長を制した。


「だが我らは龍神様の復活に備え……」

「長年、待ち続けてきた……」


 他の魔族も口を開く。


「この場を捨てることなど」


 彼らは苦しげに言葉を絞り出していた。


「なら、どうしてあなたたちは戦うの?」


「なに……?」


 魔族たちは戸惑う様子を見せる。


「龍神に仕える者なら、どうしてここで血を流そうとするの?」

「なぜあなたたちは生き延びようとしないの?」

「そもそも龍神の復活なんて、どこで待ってても変わらない気がするのだけれど」


 私は馬の手綱を引いて魔族たちの前に躍り出た。


「あなたたちには龍神への信仰心がないのかしら?」


 龍教団の魔族たちは息を呑んだ。


 すると龍教団の魔族で最年長らしき男が奥から出てきた。


「あ、あなた様は……まさか……」


 年配の魔族は震える声で呟く。


「この血の気配は……!」


「え?」

「なに?」


 私が発した疑問の声を余所に他の魔族たちも、さっきと違う表情で見詰めてきた。


「そんな……!?」


「こ、これは……!」


 魔族たちが次々に顔色を変えていく。


 えぇ~……ちょっとちょっと。


「我らが待ち望んだ魔王の血を継ぐ御方……!」


 年配の魔族が叫んだ。


 その瞬間だった。


 龍教団の魔族たちが一斉に跪く。


「……は?」


 私は思わず眉をひそめた。


「貴方様こそ伝承に記されし者!」


「教団の伝承にあるのです……」

「魔王の血を継ぐ者が現れし時、龍神様もまた目覚めると……!」


 伝承でもなんでも良いけど傭兵団の前で高々と宣言しないでほしかったな~……。


「そんな伝承があるの?」


「それが我ら教団の最奥のひとつ……!」


 彼らの目には完全なる服従と信仰の光があった。


「魔王の血統が現れし時」

「龍神は眠りより覚め、新たなる時代が始まる」


 うーん……そういえば魔王が封印されたのは千年以上前のことなんだっけ……。


 もうゲームの設定に関しては記憶が曖昧だ……。


「それこそが我らの信じる道……!」


 これだと……私の設定が魔族に作用しているのか、伝承が原因なのか分からないじゃない。

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