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魔族と人間が殺し合いそうなら私の力を使えばいいじゃない

──境界の山脈


 私たちが馬で向かった先にあったのは巨大な石造りの遺跡だった。


 崩れかけた石柱、苔むした壁面、いたるところに刻まれた龍の彫刻。


 間違いなく何かを祀った神殿だ。


「ここって、こういう秘境みたいな場所だったのね……」


 十中八九、強い龍とかの祭祀場なんだろうなぁ……。

 

 その一方で子供たちは別の存在に視線を取られていた。


 山道の近くには軽装をまとった傭兵らしき集団が30人から40人ほど。


 神殿の側には黒いローブをまとった大柄な魔族たちが対峙している。


 ひー、ふー、みー……って8人しかいないじゃない。


「……これって徒歩でも気付かれずに進めないわよね……」


「……獣道に入るしかなくなります……」

「……まさかここまで人数が多いとは……」


 馬に乗った私は前にシルヴィを乗せ、ルクテイアは前にラティを後ろにルミナを乗せていた。


「……ねえ、ここのこと知ってる?……」


「……ここは(おおやけ)には詳細不明の遺跡になっていますが……」

「……実際には龍教団と呼ばれる魔族の遺跡です……」


「……龍教団?……」


「……龍神を信奉し、その復活を待つ者たちです……」


「……人間のほうは?……」


「……恐らく一般的な魔族狩りですね……」


 私たちは遺跡の中腹を見渡せる斜面で話していた。


 ここを下っていかなければ山道を通れない。


 魔法使いなら、ここから一網打尽にできるのに。


 私がそんなことを考えていると近くの茂みからガサゴソと音がした。




「な、なんだお前ら!?」




 あ、やっぱり狙撃手が控えていたのね……。


「あー、辺境に行きたい子連れの旅人よ」


 私はルクテイアが斬りかからないように間に入りながら答えた。


「はぁ?」

「た、確かに女とガキしかいねーな……」


「あなただって女じゃない」


 短い金髪を刈り上げた如何にも弓手って感じの目付きが鋭い女だった。


「別にいいだろ」


「そうね」

「それなりに優秀な傭兵団のようだけど」


「よく分かってるじゃねーか」


 しっかりと高所に狙撃手を配置しているあたり、ある程度は考えがある傭兵団なのは間違いない。


「でも、ひとりなんて少なくないかしら?」


「今は別に攻め込むわけじゃねえんだ」

「お前らみたいなのが寄り付かないように」

「通り道近くの高所4つにひとりずつ控えてるんだよ」


「さっきは剣戟の音がしたのだけれど」


「あれはいきなり向こうが斬りかかってきたんだ」

「ったく……見てるこっちがヒヤヒヤするぜ」


 ふーん、なんだか私が思っていたのとは少し状況が違うみたい。


「これ、どうなれば正解なの?」


「あの魔族どもを追い払うように依頼が出てんだ」

「殺し合いになったら山慣れしてる向こうが有利だからな」

「無駄な人死(ひとじに)が出ないように人数で圧かけてんだよ」


 首都なら絶滅主義者も多い魔族相手に随分とお優しいことね。


 やっぱり実際の魔族の数が多くなる辺境に行けば行くほど現実的な対処が増えてくるのかしら。


 でもルクテイアから聞いた話を考える限り、彼らが山を下りることはないだろう。


 だって神を信じて、あそこに籠もっているのだから……。


 人数で圧をかけても意味がない。


「相手が龍教団だって傭兵団長は理解しているの?」


「あん?」

「随分と詳しいじゃねえか」

「分かってるにきまってんだろ」

「魔族の宗教家なんて何するか分かんねえから慎重に圧かけてんだろうが」


 あぁ……やっぱり教団側が強いのね……。


「色々と教えてくれてありがとう」

「受け取って」


 私は見張りの女に銀貨を1枚押し付けた。


「お、おぉ?」


「通してくれるわよね」


「どこ行くんだよ」


「少し後ろを通るだけよ」


「ヘレナ様」


 黙って聞いていたルクテイアが口を開いた。


「みんなをお願い」


「えっ、ヘレナ様……?」


「大丈夫、すぐ戻って来るから」


 よーし、私の魔王の血脈とやらを試してみる良い機会だ。


 あの魔族たちを下山させて、ついでに乗っ取り予定の魔王ダンジョンで働いてもらおう。

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