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好きなんだからいいじゃない  作者: 優蘭ミコ
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162.熱燗の季節到来!

昭和の常識・令和の非常識なんて申しますが私が子供の頃はこんなおつかいを親が子供にしても誰も不思議に思う事無く、更に偉いね~~~と褒められたりもしたんですが……

 立冬を過ぎてしまいましたね。私、春だけでなく秋の花粉症も凄いんですが今年は殆ど発症せず、その変化はティッシュペーパーの消費量に如実に表れてて夏場の減少量とほぼ変わりませんでした。ひょっとして秋の植物が殆ど出番無かったのかしら。彼岸花も見かける事は見かけたんですが、一瞬で散ってしまったような気がするし、何と言っても虫の音が殆ど聞こえてこなかったって言うのが一番の変化なんじゃないかって感じてます。もっとも、夏場に蝉の声もほぼ聴きませんでした。暑すぎて蝉も地上に出て来られなかったんじゃないかって噂もちらほらと漏れ聞きましたしね。日本は二季の国なのかなぁ。


 でも、寒くなれば美味しくなる私的に一番の物と言うと、日本酒ですよ。熱燗、良いですねぇ。炬燵こたつが有れば更に気分は盛り上がるのでしょうけれど、目の前でお鍋かなんかが煮えてて、その光景自体が熱燗のおつまみになりそうな気がします。あったかいお酒、日本人の大発明だと思います。


 熱燗はその歴史がかなり古くて登場する文献は奈良時代まで行けるんだそうですよ。あの有名な『万葉集』にも酒粕を湯で溶かした『糟湯酒かすゆざけ』を寒さしのぎに飲む様子が詠まれており、すでに温めた酒の習慣が存在していてこんな感じの長歌が残ってるんですよ。


     ★★★


 風まじり 雨降る夜の 雨まじり 雪降る夜は

 すべもなく 寒くしあれば

 堅塩を 取りつづしろひ 糟湯酒 うちすすろひて

 しはぶきし 鼻びしひつつ

 しはぶきし 頬ひ撫でつつ

 手まねきて 我を招くも…


『万葉集』巻第五・歌八九二『貧窮問答歌(山上憶良)』より抜粋


     ★★★


 奈良時代から平安時代の冬は現在と比べて必ずしも極端に寒かったわけではないそうで、むしろ中世温暖期にあたる比較的温暖な時期だったんだそうですが。8世紀初頭など一時的に寒冷化した時期も有ったそうな。そんな時期に詠まれた歌だとすると、その寒さがひしひしと伝わってくるような気がしますね。今みたいにスイッチ入れればエアコンが部屋をあっためてくれる訳じゃないですからね。電気と文明と化学と技術って、ありがたいなぁ。


 で、熱燗が一般的に呑まれる様になったのは江戸時代に入ってからなんですって。なんだか江戸時代っていろんな文化や風習が庶民に定着した時代なんですねぇ。この時代が日本人の基礎を組み立てたんでしょうか?平和な時代は文化も育てるのですね、大切ですね約300年続いた平和は基礎的な事を色々と発達させた様です。この頃ってお酒は一年を通して温めて呑んでみたいで居酒屋では『燗銅壺かんどうこ』って言う銅でできた小さな箱型の酒器を使って温めるのが一般的で、これは片側に炭火を入れ、もう片側に水を張って徳利を湯煎する仕組になってる奴なんですが昭和のテレビドラマでは居酒屋の場面なんかではよく出て来てたんですが最近はあんまり見かけないなぁ……って言うか、無くなりましたよね、ゴールデンタイムに放送されるドラマの中でお酒飲んだり煙草ったりするシーン。某、孤独なグルメの主人公も放送開始当初は劇中で煙草吸ってましたが最近のシリーズでは全く吸わなくなりましたものね。


 令和の時代は未成年の子供に対して親がこんな事を頼んだら、ひょっとしたら虐待って言われるかもしれませんが、私が子供時代は親からおつかい頼まれて、近所の雑貨屋さんや酒屋さんでお酒を買って来るなんて事は日常茶飯事だったんですよ。今、子供に酒買って来いなんて言うおつかいさせたらニュースになっちゃいますよね。何考えてんだこの親はって事で。でもまぁ当時は大らかな時代で、と言うか私がどこの何者かって言う事を近所の全員が知ってて、私がお酒下さいって言っても呑むのは親以外の何者でもないと言うのが常識でそれを疑う人なんて皆無でした。そう言えば煙草もおつかいしてたなぁ、当時はおつかい頼まれるなんて偉いねぇなんて褒められたりもしたものです。今じゃ小・中学生にお酒や煙草を渡すなんて事は絶対しないでしょう。そんな事したら国家権力から即刻営業停止を通告される事でしょう。ま、悪い事ではないと思います。酒呑になるのは大人になってからで十分ですよ。無理して呑んじゃいけないと言ってみたりなんかして。


 日本酒以外にもあっためて飲むお酒って言うのは世界中に結構有るんですが、季節の風物詩的な物とかイベントの一環なんかで飲まれる物が多くて日本酒みたいに年がら年中温かいのを飲むって言う物は珍しいみたいです。ドイツでは『グリューワイン(Glühwein)』って言って赤ワインにシナモン、クローブ、オレンジピールなどを加えて温めた物はクリスマスマーケットの定番なんだそうですよ。ホット・バタード・ラム(Hot Buttered Rum)はラム酒にバター、砂糖、スパイスを加えて温めたカクテルでアメリカの冬の定番ですし、韓国でも冬場はマッコリ温めて飲むそうですし中国では紹興酒をを御燗するそうですね。少数だけど温めて飲むお酒って言うのは無い訳では無い。でもそれは期間限定だったりイベント用で日本の熱燗みたいに常時あると言う訳では無いみたいです。やっぱり日本の熱燗は日本特有の味わい方って言ってよいのかなと思います。


 堂々とお酒が楽しめるお年頃になった今、子供の頃に戻りたいかと聞かれたら、渡したはっきりと『いいえ』と答えます。最近ほんとに思うんですよ、子供の頃より大人になってからの方が楽しい事が多いって。出来里事に対する制限が子供の頃に比べてはるかに少なくてそれこそ自由を謳歌できるのが大人。だから私は今を大切にしたいです。私の視線は常に未来、次の一歩と言い切っていいのかな。ま、そんな大それたものではないけれど、さりげない幸せを大切にしたいと思います。

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