125.梅干しは赤紫蘇で……
基本的に梅干しは好きな食べ物なんですが、青森から埼玉に出てきたときに初めて頂いた物に関しては、何となく馴染めませんでした。なぜか、こういう理由が有りまして……
私、青森の実家から埼玉に出て来るまで梅干しって言うのは完熟梅から種を取り出して半分に割って天日干しして、それを赤紫蘇で包んで塩で漬込んだものだって思ってたんですよ。だから、赤くて丸いまんまで漬込んだ梅干しを始めて見た時は軽いカルチャーショックを覚えました。そして食べてみたらカリカリとした食感の物が有ったり、ねっとりしてるんですが物凄く酸っぱかったり、その辺にもちょいとした驚きを感じた物です。よく考えてみたらそれまで私、梅干しって母が漬込んだもの以外、食べた事無い、梅干しイコール自家製って言う考えが有ったんですが、スーパーで売ってるのを見て改めて複雑な気分になった若かりし日の頃を今でも鮮明に覚えています。なぜ私の実家で梅干しは自家製だったか?あったんですよ裏庭に梅の木が……そしてその木は沢山の実を実らせて五月末頃には身を熟させ、それを収穫して天日干しして夏には梅干しとして頂ける様になってたって訳ですよ。
特に気の手入れをしていた訳でもないのに毎年健気に身を実らせる梅の木にはたまに鶯なんかも飛来して実を突いたてりしてましたが特にその実で商売してた訳でも無いので気にする事も無く、まぁ、その放任主義が良かったのかも知れませんね少なくとも大きめの壺一個分くらいの梅干しを漬込む事が出来ましたもの。そしてそのお味はと言うと、梅の果実を頂いている様な瑞々しさが有って紫蘇の香りも華やかで酸味は控えめなんですが、それでもおにぎりの具材なんかにするとご飯ととてもよく合ってめちゃめちゃ美味しく頂けました。中学の頃、夏休みに部活で学校に行く時に、母がたまにおにぎりにして持たせてくれる事が有ったんですが、暑い教室の中でがんがん楽器演奏して大汗かいた後に頂くと、よい塩分補給になってたのかも知れませんね。それに、程よく酸っぱい梅干しは、夏バテ気味でも食欲を増進させてくれました。私の夏休中の部活に対する熱量を支えていたのはひょっとしたら葉はお手製の梅干しだったのかも知れませんね。
だ、もんですから、正直に言うと埼玉で食べた酸っぱいだけでその裏側に何の味も感じられない梅干しには正直あんまり馴染めなくてほとんど食べなくなってしまいましたね。かりかり食感の梅干しが美味しいと言って頻繁に食べてた友人もいて分けて貰う事も何度かあったんですが、正直あんまり嬉しくなかったなぁ……勿論、頂いたらちゃんと食べてましたけどね。
成人してお酒を飲むようになって、焼酎のお湯割りに梅干しを入れてって言うのが美味しいと感じるのは実家の梅干しでそれをやった時だけで、埼玉の梅干しでそれをやっても酸っぱさだけが先行してお酒の味(と言っても、甲類の焼酎って味自体はあんまりないですよね)を少し尖らせてしまう様な気がしてこれまたあまり好きになれず、お湯で割るならそのままを飲んでしまう事が多くなりました。だからゴールデンウィークや夏休みお正月休みで帰省した時には必ず梅干しを少し分けて貰って持って帰ってました。と言っても作れる量が多くは無いので毎回持ち帰れるかと言うとそうは行かず、そういう時はどうしたか。ふふふ、実は私の実家、お隣が個人経営の雑貨屋さんでそこで実家とほぼ同じ作り方をした梅干しを販売していたのですよ。それお買い求めて持ち帰っては焼酎のお湯割りに投入して毎夜々至福に時間を過ごしておりました。
母の梅干しが食べたみたいと思っても、既にそれはかなわぬ過去のお味になってしまって残念ながらと言うところなんですが、こう言う梅干しの作り方している地域って他には無いんですかねぇ。少し探してみるとしますか、そして夜の至福の時間を復活させてみたいと思う真冬を過ごす私でした。




