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好きなんだからいいじゃない  作者: 優蘭ミコ
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116.アルプスのチーズ

憧れてるんだけどそれを口に出来ない食べ物って有ると思いません。特に物語ん赤に出て来る食べ物、私にとってそれがアルプスのチーズなんです。

 私がチーズと接したのは何歳ごろの事なんだろう。記憶をたどってみてもその辺はぼんやりとしててほぼ不明と言って良い状態です。正直あまり得意では無かった記憶しか思いつかないチーズですが、絶対値比較で考えれば納豆よりは遥にマシな筈なのにチーズに対する悪いイメージの方が途轍とてつも無くに大きかったような気がします。でも、大人になった今日この頃、チーズは私のお友達、親友と言っても良い領域に達しておりまして、酒飲む時に似合うつまみが何もなくても冷蔵庫の奥の方に転がってるこれさえ有れば気持ちは晴々、そのまま深い酔っ払いの世界に入り込んだり致します。


 チーズ文化の日本導入の背景には明治時代の開国と西洋化、北海道開拓と乳業の発展、戦後の欧米文化の浸透等々色々と小難しい理屈をこねられそうな気はするんですが私の肌感覚からすると、特に1997年あの『ボジョレーヌーボー』の輸入が本格的に始まって、それに合うつまみって言う事でチーズがクローザップされてそのあたりからわっと広がったんじゃないかって言う気がします。更にイタ飯とか言って、赤坂、青山のあたりにはイタリアンレストランが乱立しイタリア料理が大流行、モッツァレラ (Mozzarella)、リコッタ (Ricotta)、マスカルポーネ (Mascarpone)といえばイタリアチーズの三大巨頭みたいなもんじゃありませんか。チーズと言えばベビーチーズの日本人にとってそのお味は衝撃的でしかもお洒落で輸入物に弱い国民性の中で流行しないこと自体が不自然な状態に陥って国民総イタリアン状態になったのがバブルの末期ごろのお話で御座います。


 ブームが去ればそれは古い昔の物で懐かしい想い出として処分しがちな日本人ですが、チーズはそのまま定着し、今でも違和感なく流通しておりますね。で、あの訳の分からないブームの中で食べるより今の方が美味しく感じるのは私だけなのかしらん?それに、最近の物の方が洗練されてて品質も良くて味も上がってる様な気がするんですがそれは時の流れが熟成させただけのお話では無いような気がします。


 実は私、食べてみたいチーズが有ってそれは未だに叶っていません。そのチーズとはですねぇ。皆さん『アルプスの少女ハイジ』って言うアニメ、ご存じですが?1974年1月6日~12月29日まで、フジテレビ系列で毎週日曜19:30 ~20:00の時間帯で放送されたアレです。テレビのチャンネルがNHK、NHK教育テレビ、RAB、ATVの実質三局しかなかった青森県においても全国ネットの時間帯に放送された珍しい作品でして、高畑勲さん、宮崎駿さん、小田部羊一さんなど等々、錚々《そうそう》たるメンバーがスタッフに名を連ねる世界的な名作です。


 その中に出て来るチーズなんですが、山羊のミルクで作ったチーズでそれを暖炉の火で焼いてとろっとしたのをライムギパンにのっけて頂く、それだけの物なんですが、あれ、憧れたなぁ。現在の所謂『ジブリ飯』に繋がる物がそこに有る様な気がして、アルプスの大自然が育んだチーズの味をテレビの画面から想像してハイジがそれを美味しそうに頬張る姿をめちゃめちゃ羨ましく感じながら見詰めていたのを今でも鮮明に覚えています。


 勿論、山羊のミルクで作ったチーズはネットショップなんかでも販売されててお値段はピンキリなんですが取り寄せて頂く事は可能で、比較的お手軽に手に入りそうな雰囲気なんですが、やってみたいのはそこでは無いんですよ。そう『暖炉で焼いて』この工程が必要なんです。勿論ガスレンジの炎とかフライパン温めてっていうやり方も無い訳では無い。でも、暖炉なんですよ暖炉、まぁ、そんな物を入手する事は私の人生においてまず無い事だろうから、百歩譲って最低限実家で営んでたお店で冬場に使ってた薪ストーブ……でも、これも夢のまた夢だなぁ。


 アニメで見たあのとろぉりなチーズをパンにのっけてはふはふ頂く事は残りの人生全部使っても、私にはちょっと無理な様です。

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