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初恋

当て馬令息恋を知る、庭園パーティで1


初投稿です。よろしくお願いします。つたなく、読みづらい点、誠に申し訳ございません。


ソフィアは今流行りの悪役令嬢の小説を読んでいた。当て馬令息が恋に落ちる直前で、続編が出ず、やきもきしながら、ずっと発売を待っており、何度も読み返しているのだ。


ソフィアの横ではメイドのメアリーが、ソフィアが3ヶ月後に参加する帝国主催の城の庭園会へ着ていくドレスのデザインを選んでいる。


ここで、帝国主催の庭園会とは、社交界シーズンのはじめ、王城の庭園で開かれる、まだ婚約者がいない上位貴族を中心に集めた昼間のパーティ、目的は王太子の婚約者を選定することで、年1回開催で今年が3回目、王太子が15歳になる年から始まっている。ちなみにゴールド帝国の社交界デビューは平均15歳。王太子の婚約者は過去の2回で決まらなかったから今年も続けられている。


メアリー

「ソフィアお嬢様、今度の帝国の庭園会はどんな色のドレスがいいとかありますか?」


ソフィア

「んー、色はないけど、あまり目立たないようにしてほしいわ。周りより一年早く出るから知り合いはいないの、だからあまり楽しみじゃないし、目立ちたくないの。」


メアリーのセリフ

「ああそうですね、お嬢様はこれから2年隣国のサファイア帝国に留学するから、旦那様が通常より一年早く出席するようにおっしゃったんでしたね。でもいいんですか、せっかく王太子様の目にとまるチャンスなのに。」


ソフィアのセリフ

「いいのよ、あまり興味ないの。王妃になっても辛いことが多いとこの今読んでる小説に書いてあるし、私は今のまま、この小説の主人公のように今くらいの貴族の位置を保っていられたらいいなと思っているの。小説の続きはよくわからなかなってしまっているけど。」


メアリーのセリフ

「そうですか、まあ、このゴールド帝国の貴族はブルー、レッド公爵家それぞれいずれかの貴族勢力に属していますが、その二つの巨塔の一角、ブルー公爵家の第4子(長男 後継、結婚済み、長女 隣国に4年前に嫁入り済み、次女 隣国王子と婚約中)であらせられますソフィア様は十分すごいですけどね。じゃあ、これに決めました。」


と、メイドのメアリーが差し出したのは、とても鮮やかな黄色い布の見本だった。フリルをふんだんに使ったドレスが似合いそうである。


ソフィアのセリフ

「え、これ?ずいぶん派手に見えるけど。」


メアリーのセリフ

「わかってないですね、お嬢様。地味な色のドレスなんかで出たら、逆に悪目立ちしてしまいますよ。王太子であるソラ様の髪は黄金なので、それに似た黄色のドレスがよく選ばれ、例年庭園会で多いと商人がこの前話していました。日が明るく照らす緑あふれる庭園の中、これが一番目立たないと思います。これでフリルたっぷりのドレスを仕立てたら、遠くからは丸くてぼんやりして見えるかもしれませんが、近くでおしゃべりする位置関係からお嬢様を見たら、この黄色いドレスが日光を反射させ顔を引き立たせ、お嬢様の洗練された感じの雰囲気がひきたち、魅力に気づくと思います。」ぼそっ


「えーよくわかんない、最後の方がよく聞こえなかった、けど、一見目立ちそうな黄色が逆にいいの?そういうもの?」


「そうです、そういうものです。」


うんうんと頷くメアリーにソフィアは納得できないでいたが、メアリーに何度も説得され、


「まあ、メアリーに任せるわ。いつも上手いことやってくれるし。」


と、最後ソフィアは折れたのだった。


ということがあり、無事、帝国の庭園会に着ていくドレスのことはメアリーに任せ、黄色い布で仕立てられることになった。ちなみにメアリーは転生者で、前世でこの帝国が舞台の小説を読んでいた。ちなみに、この年の庭園会で唯一青色、ブルーのドレスを着たブルー公爵家のソフィアが挨拶した際、王太子ではなく、王家の目に留まり、(ちょうど釣り合いのとれる貴族令嬢がいたと発見され)婚約者となり、留学は取りやめ、王太子が通う学園に飛び級入学するが、学園ではすでに平民のヒロインと王太子はできあがっており、学園でひとりぼっちになる(一応悪役令嬢ポジション)。数年後には王太子と結婚し、将来的には王妃とはなるが夫の王と側室となったヒロインとは疎遠で寂しい人生を送るというシナリオだった。メアリーはなんとかこのシナリオを打破してあげたいと考えていた。ソフィアが気に入って読んでいる小説の作者である。ソフィアが王太子の婚約者に興味を持たないよう物語を進めていた。


庭園会の朝、ソフィアがハンガーにかけられたドレスを見ると、ドレスは光沢のある素材でできており、陽の光を浴び、キラキラ輝いていた。フリルもふんだんに使われて妖精のようだと思った。


「ねぇ、メアリー、これはちょっと派手すぎない?」


「いいえ、これでなければいけないのです。」


と、ソフィアはまたメアリーに力説され、そのドレスを着て出かけた。


庭園会の会場では、少し早めから2番目の姉、マーガレットが付き添ってソフィアと参加しているが、マーガレットはもうすぐ隣国に旅立つことが決まっており、友人達と話すのに夢中でソフィアはひとりぼっちである。


この後予定されている王太子への挨拶、上位貴族から順番、ブルー、レッド派閥交互に、王太子に距離がある位置から挨拶する儀式もまだ時間があり、手持ち無沙汰だった。


ソフィアはひとり、ケーキでも食べにいくかと立食エリアに向かうことにした。王太子の席近くのメインエリアから噴水を隔てた反対側に立食エリアはあり、14歳の慣れないヒールの靴を履いた令嬢には芝生は酷で少々疲れた。


食べ物のエリアには先客がひとりいて、見たことない赤毛の、がっちりした体格の、見た感じ剣士のような令息が、大皿にスパゲッティーやらステーキやらを大盛りにしているところだった。


ソフィアはケーキを食べに来たものの、この大規模なパーティに出るのは初めてで勝手がわからない。


そこで少しぼーっと、令息を眺めていた。


すると令息が気づいたのか、


「ここは初めてか?あそこの食器はなんでもつかっていいぞ。」


と話しかけてくれた。


「ありがとうございます。」にこっ。


ソフィアはその令息に笑顔を向けたが赤毛の令息は料理を選ぶのに夢中だったのか、興味がないのか見ていなかった。


2人で料理のエリアをいったり、きたりしているうちにソフィアの皿には綺麗にケーキが2つと果物が2種綺麗に盛り付けられた。


赤毛の令息は一番上等そうなソファ席にどかっと腰掛けると、どこからともなく係の給仕がやって来てお茶の準備を始めた。


ソフィアはそれをみて、あの給仕の方はあの方の家の方なのかしらとぼけっとまた見入ってしまった。


「なんだ、食事の仕方もわからないのか。こっちへこい。」


と赤毛の令息に促され、隣の別のソファ席で横に並んで食べることになった。もともとこんな早い時間に食事を取りに来る者などおらず、2人しかいないから、他にも席は沢山空いているが。


この赤毛の令息は、見た目通り剣士で、軍所属だったから、集団で食事をすることに慣れていた。軍の新入り隊員に食堂の使い方を説明する要領でソフィアに話しかけていた。この庭園会も4回目の参加で、ちなみに国の二大派閥レッド公爵家の嫡男、長男、アーノルドである。下に七つ下の弟がいる。王太子の1つ年上の19才、まだ婚約者はいない。端正な顔立ちで令嬢に人気は出そうであるが、社交界にほとんど姿を現さないのと、背が高くがっちりしているため寡黙で近寄り難いだともっぱら噂されている。この日は早朝から城の訓練場で乗馬をし、汗は城の部屋で落とし、着替えて、お腹を減らして早めにここにやって来ていた。


レッド、ブルー公爵家は国を代表する家柄だが、それぞれの門閥貴族が多すぎて自然とパーティ等では端と端の距離になり普段の付き合いは限りなくないに等しい。社交界デビューしていれば、それでも自ずと面識はできるが、アーノルドとデビューしていないソフィアはお互いを知らなかった。


初めてのパーティで見ず知らずの令息と食事を隣のテーブルでとることになったことに少し戸惑ったソフィアだったが、こんなものかと赤毛の令息の独特の口調、雰囲気に流されて、指定された席に着いた。


先に着くと何処からともなく給仕がやってきて、給仕してくれた。


ここははじめてか、などと軽く話すと2人はまもなく食事をはじめた。


しばらく、ものすごい量を食べるな、ドーナツなんてどこから取って来たのかしら、と赤毛の令息をチラチラ見て思いながら自分のケーキと紅茶をいただくソフィアだったが、ある時、ふと赤毛の令息と目があった。


「なにか私の顔についていますか?」


「いや。」


ここで赤毛令息ははたと気づいた。普段の軍の連中と食事をとる際のやかましさとも、見合いでの令嬢との張り詰めた緊張感とも、令嬢がカタカタ震えながらのお茶会とも、1人大きなテーブルでとる公爵家での食事とも違う、会話を邪魔しないよう食器の音が微かに聞こえ、心地よい雰囲気に包まれている今の雰囲気は幼少期の家族との団欒に似ている、と。家族仲はいいが、領地経営で忙しい父、子育てと社交に忙しい母、幼い弟とは時間がすれ違い、もう、しばらく家族でゆっくり食事を囲んでいないが、この静かで心地の良い空間は、家族との食卓の雰囲気そのものな気がした。


この静けさは、この令嬢はもしかして食事をしていないからだろうかと覗くと、令嬢は令息のペースと同じくらいに食事は進んでおり、一緒に食べ終えそうなところだった。


なぜだ?


なぜだかもうアーノルドはこの茶髪の令嬢から目が離せなくなっていた。


一方、ソフィアも家族と共にとる食事のような心地よさはうっすら感じてはいたが、家族がいない状況でのこういった社交の場は初めてであったため、案外どこにいっても一緒なのね、というくらいに特に意識にのぼっていなかった。2人に面識はなかったが、同じ帝国で二大公爵家で生まれ育ったため、育った環境は似たり寄ったりでお互い自然とシンパシーを感じ取っていたということになろう。


令嬢は黄色いドレスを着ている。アーノルドはドレスには詳しくないが、この庭園会に参加している令嬢のドレスに黄色が多いこと、王太子に好感度が高くなるよう、令嬢が黄色、王太子の黄金の髪の色で王太子の色を帝国内で意味するドレスをこぞって選ぶことを知っていた。この目の前の茶髪の令嬢のドレスの黄色は、色自体はよくある選択だが、とても品がいいのか、今まで見たドレスと全く違い、どこか光沢があり、日光の光を浴び、令嬢全体を輝かせていた。とても綺麗だった。


「君も帝国内の令嬢と同様、王太子を狙っているのか。」


令息がギロッと睨まれた気がしてソフィアは少し硬くなったが、気を取り直し答えた。


「そうですわよね、側からはそう思われるでしょ。でもね、逆に目立たないようメイドにリクエストしてこの色になりましたのよ、信じられないでしょ。黄色いドレスが多いから黄色が無難なんですって、これでないといけないとも言われましたわ。私はこのドレスは目立ちすぎると思っておりますの。王太子様はおそれ多いですわ。」


と、ソフィアが答えると、答えに満足し、令息の目がやわらかくなったようにソフィアは感じた。まさしくアーノルドの機嫌は完全になおったのだった。


「あっ!」


と、今度は何かに気づいた令嬢が声をあげた。王太子との挨拶の時間に遅れそうなのに気づいたのである。ちなみにソフィアの順番は全体の2番目、アーノルドの次である。


「私、王太子様への挨拶の時間が迫っているのに忘れておりましたわ、もうもしかしたら間に合わないかもしれませんが、お先に失礼します。」


と、席を立とうとすると、


「問題ない。私の馬で一緒に行けばよい。」


「王宮で馬?」


ソフィアの頭には疑問符が浮かんだが、気にすることのない令息がソフィアを馬が芝生をはんでいるところにエスコートし、あれよあれよという間に馬にのせられ、気づくと庭園内なのに馬に2人乗って高速で移動していた。


一連の動きが速すぎてソフィアは身動きができずされるがままになっていた。


2人が庭園横の道を走り抜け、パーティ会場付近までくると、馬が止まり、ゆっくり降りて歩き出すとやっと呼吸が整ってきた。


「いまのはいったい。」


「ああ、俺は短時間だけ高速移動ができる魔法を使えるんだ。使ったのは君を持ち上げてから馬に移動するまでの間で、それからは馬を走らせていただけだ。」


「そうですか。普段の乗馬とあまりにも違っていて。」


などと話しながら歩くうち、程なく2人は貴族達の集団の最前線まで来て、なんならこの機会に一緒に王太子との挨拶に行くか?、などと意味のわからないことを令息が話しかけていたが、雑踏でソフィアの耳には入らなかった。代わりにソフィアには程なくソフィアの姉がキョロキョロソフィアを探しているのが目に入り、即座に失礼しますといって姉の方に向かって移動するのと、アーノルドの順番が来て呼ばれるのが重なり、なんとはなく2人は離れた。


挨拶を終えたアーノルドは、令嬢の挨拶の順番にはまだ余裕があるだろうから、そのまま待っているかもしれないと期待して挨拶から早々に戻ったが、ソフィアの影はなく、辺りを探すが、見当たらなかった。ソフィアはその頃、前で王太子に挨拶を無事済ませており、ほっとしていた。


家に帰って、メイドのメアリーに今日赤毛の令息と会ったことを報告すると、なぜかメアリーの目には涙が浮かんでおり、


「え、王家には呼ばれなかった?赤い髪の知らない令息に助けてもらった?よい出会いがあり、本当に、よかったですね、お嬢様。」


とたいそう喜んでくれたのが、ソフィアにはうれしかったが、反応が大きすぎて謎だった。


パーティの日の1ヶ月後から2年間、ソフィアは父の「選択肢は多い方がいい」という教育方針に従い、ブルー公爵領の隣のシルバー王国に留学した。留学が済めば、貴族への嫁入り(自国、他国問わず)、城勤、家庭教師、家の手伝い、など第4子のソフィアが自分で好きな道を選べるという約束を父親と交わしていた。父親は上の2人の姉がどちらも他国王室へ嫁入りして寂しく、一番下のソフィアには好きな道を選ばせたいと考えていた。もしできるなら、家に留まってくれるのもいいなと淡い期待をしているのだが、どうなることやら。


留学先では気楽に楽しむだけのつもりが、隣国の王太子の婚約者ジュリアと友達になり、また、その隣国王太子ラファエルからも気に入られ、落ち着いたら第2王妃として迎え入れると留学から帰国する間際、告げられるまでの関係となるのだが、話が長くなりそうなので今回は省略したい。


そんなこんながありつつ、ソフィアはデュビタントを済ませるためという口実のもと、隣国の友人の反対を押し切って逃げるように帰国するのだった。ちなみにラファエルからソフィアは魅力的なわがままな悪女という印象になっている。

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