表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

残業をしたくないのは、他にやりたいことがあるから

作者: まめめめ

 毎日定時で帰っている諸君からしたら、そんなのは当たり前のことだろうと思う。

 何を今更偉そうに言っているんだと、そんな気持ちにもなるだろう。


 例えば、家に帰って推しの配信を見たいとか。

 例えば、友達とゲームをする約束があったりだとか。

 本を読みたい、アニメを見たい。

 あるいは、小説を書く時間を一秒でも長く確保したいとか。


 人それぞれに、本当にやりたいことがある。

 仕事は、それを成立させるためのお金稼ぎの手段でしかない。

 仮に残業することによってお金がもらえるのだとしても、

 それによって「本当にやりたいこと」ができなくなるのでは、本末転倒も良いところだ。



 だけど、それがわからなくなってしまう人がいる。

 平気で深夜まで残業をする人。あるいはそれを、他人にまで強制しようとする人たちだ。

 彼ら彼女らは、悲しいことに、やりたいことがないのだ。

 特に趣味もなく。

 つまり家に帰ってもやることがない。ただ横になって無為に時間を過ごすだけ。

 それならば、会社に残って残業代を採掘した方が、有益という気持ちも理解はできる。


 そんな空虚な人間に、今更何を言っても無駄だ。


 一つ例を挙げる。

 その人は、普段から子供の自慢をしてくる人だった。

 うちの子と、キャッチボールをしただとか、習い事を始めさせただとか。

 だけどそんなその人は、毎日超楽しそうに残業をしている。

 特に「今日やらないといけない」用事もないのに、会社に残って仕事をしている。

 つまりその人にとって、何よりも自慢の子供というのは、自慢をするための道具でしかないということだ。

 私には、その人の気持ちが全く理解できなかった。

「早く帰って子供の相手をしたくないのですか?」

 なんて聞いたらどうなるのだろう。そんな無駄な諍いを起こそうとは思わないが。


 いずれにせよ、理解できない人間というのは、存在するのだ。

 実の子供のことでさえ二の次にできてしまうような人間が、存在するのだ。

 そんな人間に、早く家に帰りたい人間の気持ちを理解してもらおうなんて、おこがましいのかもしれない。

 そんな人間と、相互理解を結ぼうなんて、無駄な努力でしかない。


 だから私は、彼らに説明しようと努力はしない。

 君たちも、やめておいた方が良い。帰る時間が遅くなるだけだ。

「お先に、失礼します……」

 ただその一言だけを残して、私は静かにその場を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] うちの社長が言うには「会社のことを思い、会社の役に立つ人間こそが立派だ」 同僚のおじさんが言うには「仕事なんかテキトーに終わらせて帰りにパチンコ打って勝ったらカラオケ行きてー。わしの唯一…
[一言] 家に居場所がなくて無駄に残業する人いますよね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ