コロニーチケット
近未来、滅びゆく地球で私たち人間は限りある資源を奪い合うことになった。人々はひとつの国の中でも温暖化や天変地異に耐えうるべく建設された、巨大ドーム型コロニーという単位にわけられ生活することになり、そこで分断がおこり、あらゆる場所で戦争や紛争がおこり、星は荒れ放題だった。だがたったひとつだけ一定条件化のコロニーだけ、ある島国のモデルだけが成功した。数時間単位の節電や必要物資の削減に協力してもらうかわりに。仮想現実使用権、ガチャチケットが与えられる。我慢してもらう代わりに人気の仮想現実ゲームやその仮想現実自体へのアクセス権を配ったのである。若者はもちろんそれで納得したし、老人にも仮想現実はその時代、すでになじみあるものとなっていた。若者はなぜそんなもので納得したのか、そこには残酷な事実も存在していた。コロニーの分け方だが、人口増加を抑制するため、限られた人間以外は男性と女性を別コロニーに、人々が亡くなるときまで完全に分断したのである。仮想現実の妙もここにあり、男女はそこでしか密に合う事はできない。もちろん、この島国がもとからそうした仮想現実やゲームやガチャに抵抗がなかったことも功を奏したわけだが、こうしてこのモデルケースは、資源を浪費しすぎず、生活することができたのである。だがある学者はいう。
『もっと早くこのような策をこうじていれば、地球はこれほど温暖化がすすまず住みづらくもならなかったのだろうが』
コロニー内の人々はいう。
『今と同じ生き方なんで、そんな残酷なこと、権利や尊厳に慎重でうるさかった人々が許容したでしょうか?我慢のたりない過去の人間にはできませんよ』