縫い人の旅
目を開けるとそこには何もなく真っ白だった。
ーここはどこだろう?いつからここに立っていたんだだっけ?今何時だろう?
疑問ばかり浮かぶ。自分を改めて見直すと、昨日学校に行くときに着ていた白いセーター、水色のスカートに靴下と、青いスニーカーを履いている。そして祖母からもらった虹色のマフラーを首に巻き、ショルダーバッグを身につけていた。
ーそっか、学校に向かってた時の夢を見ているのかな。
こんなにも見渡す限り真っ白な世界は初めてだった。上を向くと雪のように白いふんわりしたものがゆっくり落ちてくる。手のひらで受け止めるとしゅわっと消えた。触ったかも分からないくらいに感触のない綿毛のようだった。音もなく降り続ける綿毛のような雪のようなものは、下に落ちて積もっているようで、一歩踏み出すとふんわりとした感触が靴底を通して感じた。
道もないので進む方向に迷っていると、先の方に黒い影が見えた。目を凝らしてもそれが人なのか物なのかよく見えない。
「進んでみよう」
りこはわざと声を出して言った。何も音もしない、真っ白な世界に取り残されたような気がしたので自分の気持ちを奮い立たせたかった。いつこの夢は覚めるのかなぁと思いながら数分歩き続けていくうちに、その影の数メートル手前で立ち止まった。
黒い影は一本の黒い街灯だった。杖を逆さまにしたような形の街灯で、光は真下だけ照らしていた。しかし不思議なことに、その街頭の光は真っ黒だった。暗い夜道を照らすための街灯のはずが、白い空間の中にぽっと丸い黒の光空間を作っていた。そしてその黒い丸の中に、白いうさぎが涙を流しながら泣いていた。
☆小学6年生の主人公りこが動物たちの死後の世界で冒険に出るお話です
ーここはどこだろう?いつからここに立っていたんだだっけ?今何時だろう?
疑問ばかり浮かぶ。自分を改めて見直すと、昨日学校に行くときに着ていた白いセーター、水色のスカートに靴下と、青いスニーカーを履いている。そして祖母からもらった虹色のマフラーを首に巻き、ショルダーバッグを身につけていた。
ーそっか、学校に向かってた時の夢を見ているのかな。
こんなにも見渡す限り真っ白な世界は初めてだった。上を向くと雪のように白いふんわりしたものがゆっくり落ちてくる。手のひらで受け止めるとしゅわっと消えた。触ったかも分からないくらいに感触のない綿毛のようだった。音もなく降り続ける綿毛のような雪のようなものは、下に落ちて積もっているようで、一歩踏み出すとふんわりとした感触が靴底を通して感じた。
道もないので進む方向に迷っていると、先の方に黒い影が見えた。目を凝らしてもそれが人なのか物なのかよく見えない。
「進んでみよう」
りこはわざと声を出して言った。何も音もしない、真っ白な世界に取り残されたような気がしたので自分の気持ちを奮い立たせたかった。いつこの夢は覚めるのかなぁと思いながら数分歩き続けていくうちに、その影の数メートル手前で立ち止まった。
黒い影は一本の黒い街灯だった。杖を逆さまにしたような形の街灯で、光は真下だけ照らしていた。しかし不思議なことに、その街頭の光は真っ黒だった。暗い夜道を照らすための街灯のはずが、白い空間の中にぽっと丸い黒の光空間を作っていた。そしてその黒い丸の中に、白いうさぎが涙を流しながら泣いていた。
☆小学6年生の主人公りこが動物たちの死後の世界で冒険に出るお話です