愛してるゲーム
短編の青春ラブコメです。
短編なのであえてキャラに対する説明はほとんど入っていませんがよろしくお願いします
『これはある日の昼休みに起こった出来事……』
「白森さん、愛してるゲームって知ってる?」
「ええ、もちろん知っているわ。お互いに愛してると言って、先に照れた方が負けのゲームのことでしょう」
「うん、それそれ。丁度良いから俺とやってみない?」
「どうして私があなたなんかと……」
さっきまでの友好的な表情はどこに行ったのやら、彼女は呆れた顔で神崎のことを見つめる。
「頼むよぉ白森さん。俺、白森さんに愛してるって言われたくて言われたくて、ここ最近は夜しか眠れないんだよ」
「それだけ眠れれば十分よ」
「分かってないな白森さん。普段の俺であれば授業中も寝るのが当たり前なんだよ!!」
神崎は誇らしげな表情を浮かべながら声高らかにそう宣言する。
しかし、その内容はあまりにもくだらなく、そしてどうしようもない。
「……馬鹿なの?」
白森が軽蔑の眼差しを向けるが神崎は全く気にしていない。
「それじゃあ俺からスタートね」
「ちょ、ちょっと!! 私はまだやるなんて……!!」
「白森さん……」
途端に先ほどまでふざけていた神崎の表情が真剣になる。今までここまで真剣な表情をした神崎を見たことがあっただろうか? いや、見たことがないとそう断言できる。
白森の心の声:(えっ、何でそんなに真剣な顔してるのよ。そんな顔で見つめられたら私、愛してるって言われる前に照れちゃうよぉおおおお!!!!)
「な、何よ?」
「あ・い・し・て・る」
白森の心の声:(きゃああああ!! 神崎くんの愛してる来たー!! もういい、私死ねる。死ねるよぉおおおお!!!!)
「きもい」
「辛辣!! もう少し感想はオブラートに包んで!!」
「きもい物はきもいんだから仕方ないじゃない」
「そんなぁ……」
肩を落とし悲しむ神崎だが、確かに客観的に見ても愛してるゲームとは言え神崎が白森に愛してると言うのはそれなりに見ていて気色悪い。
「まぁ、仕方ないから私もやってあげる」
「まじで!!」
さっきまできもいなどと言われていたことを忘れたかのように神崎は歓喜して見せる。
「ええ、それじゃあいくわよ」
「ああ、ドンッと来い!!」
「「……」」
二人の間を短い沈黙が通り過ぎた後、白森が神崎の耳元でその口を開いた。
「き・も・い」
「グフゥッ!!」
いきなりの罵声に神崎は大ダメージを受け、床に倒れ込む。
「あら、どうしたの神崎くん? そんなに動揺しちゃってもしかして照れてるの?」
「誰が照れるか!! 愛してるとは正反対の言葉が飛んで来たわ!! そんなので興奮すんのは一部の歪んだ性癖を持っている奴らだけだからな!!」
「……私はてっきり神崎くんもその歪んだ性癖を持つ一部の人たちだと思っていたのだけれど」
「勝手に人をドⅯな変態にすんな!! こちとら普通の男子高校生だ!!」
「それよりいいのかしら、ゲームの決着はまだついていないんじゃない?」
「お前が愛してるって言えなかったんだからお前の負けに決まってるだろ」
「なっ!! べ、別に言えるわよ愛してるくらい!!」
「それじゃあ言ってみろよ」
「――あ、あ、愛して……」
あと少しで白森の愛してるが聞けるという所で思わぬ邪魔者がそれを妨げた。
「雫、先生が読んでるよー」
声のした方を見ると教室の後ろの扉から顔を出した少女が白森のことを呼んでいる。
「う、うん、分かったすぐ行く」
白森は椅子から立ち上がると何事もなかったように歩き出す。
「えっ? ちょ、ちょっとゲームの続きは? 愛してるは?」
「また今度ね」
愛してるが聞けずに戸惑う神崎にそれだけ言うと白森は教室から出て行った。
「そんなぁ……」
教室の中には神崎の悲しみの声が響いたのだった。
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教室から出た白森の顔は少し赤く火照ていた。
白森の心の声:(丁度良く教室を出れて良かった。そうじゃなかったら私、神崎くんの前で真っ赤になるところだった……)
「……愛してるなんて、言えるわけないじゃない。だって私はあなたのことを愛してるじゃ足りないくらいに……」
「愛してるんだから」
思いついたのをいきなり書いたので文章が読みづらくてすいません。
あとこれからの更新も思いついたのを書いていくので不定期です。