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第4話 結果と機士と特例

今回は少し早めにかけたかなと自負する自分。

そして、お読み頂けたら幸いです!


 試験休み後の学校で翔は授業を受けながら、昨日の青年について考えていた。

 青年から教えてもらった魔力を隠すということを、今朝やってみたが目に見える変化は無いものの体が普段より少し軽く感じる程度の変化を感じた。

 思ったとおりに魔力を収めれた?という事に驚き、青年の助言は()ではなかったということが尚更、この時代では魔術を使うものがいないと思っていたことを(くつがえ)した。いないんじゃなく潜んでると言うべきなのだろうか?

 などと考えているうちに授業が終わり、休み時間になってしまった。

「次筆記のテストの返却だよね?」

「俺はまったくもって自信が無いんだけど……」

「実技の方が点数高いって話だし大丈夫じゃない?」

  クラスメイト達が、そう話すなかクラスの担当が入ってきて翔に教員室へ来るように告げられた。翔は席を立ち先生の方へ向かうとき常磐(ときわ)が話しかけてきた。

「月本くんなにかしたの?」

「いや、なにもしてないけど……」

 思い当たる(ふし)ならある、むしろそれ以外に呼ばれることはないと思う。

 翔は先生の後ろを歩きながら、呼ばれた理由それは――

「なんで呼ばれたかはわかるか……」

「なんとなくですが……」

「そうか、こちらとしてもしっかりして欲しいんだよ」

 翔を呼び出した教員の名は真堂(しんどう)。生徒思いで情に厚い先生。

「筆記のテスト全然できてないぞ?」

「……え?筆記ですか?」

 翔は実技試験のことを言われると思っていたため、つい呆けた顔と返事をしてしまった。

「それ以外になんだと思っていたと言うんだ」

「先生そんなに酷いんですか?僕の中では満点だったんですけどね」

 筆記は全く問題なく終えれたと思ったのに?そんな馬鹿なと思って(おど)けて聞いてみるが、先生の表情は変わらない。

「すこぶる悪い」

「え……」

 真堂は手元にあったテストを翔に見せた。ズレでミスなどではなく単純に答えがあってないだけの答案。

「いや、さすがに驚いたぞ?こんなの初めてだからな。実技が良くても筆記がこれじゃ……」

「これって何かの間違いじゃないんですか?」

「回答なら何度見ても間違いだな、そして今の状況も何かの間違いと俺自身も思いたいところだ。授業を真面目に聞いていて、真面目な生徒って他教員からも褒められてるんだぞ」

 授業中、翔は授業など聞いていなかったことの方が大半だ。その間考えていることなんて決まって魔術のことと錬金術の為に過去の知識の精査をしている。

「先生、僕勉強は正直なことを申しますと、自身の興味が湧かないと集中が続かないようでして」

「唐突に何をと思ったが、それは仕方ないことだ。本来ならまだ無邪気に遊ぶ年頃だからな、私たち教員も理解しているつもりだが……せめてこの学校に通う以上は機構騎士の事などは解けて欲しかったがなー……はあ、まあ口うるさく言うつもりは無いし本題はテストじゃないんだ。これを見ろ」

 真堂が机に置いていた別の用紙を翔に差し出した。

「これは……」

 内容は至って簡潔なものだった。―明日、月本翔氏と面会を申し込む―とだけ綴られている。

「先生なんですかこれ?」

「機士様からの電報だそうだ。明日学校に直接来るとのことだ」

「なんで僕に?まだ入学して間もないですよ」

「実技試験の時だけ、お忍びで教員に紛れて機士様も来てたんだよ。多分それでだろうな。お前の最後の手合わせは、どの生徒よりも群を抜いて早く鋭く決まってたからな逸材と思ったのかだな」

「あれは――」

 翔は言いかけた口を閉じた。魔術のことを勢いで言いかけてしまうところだった。

「あれは?」

「あれは……轟くんの隙を突いただけですよ」

「そうだとしても、それは明日訊いてみることだな。訊くとしてもあまり急がずゆっくりとだぞ」

「はい、分かりました」

 翔がそう答えると真堂は立ち上がり教室へ向かう準備をして、翔と共に教室へ戻った。

 実技は良くても筆記が散々な結果と終わった試験。翔は再度返された答案を見ると小さいため息をついて、初めて授業中に机へ()したのだった。



 午前全ての科目が終わり、本日は午後の授業は無く自由時間が設けられているが翔の周りには何故か人集(ひとだか)りが出来ていた。

「月本くん、平気だったのかい?」

「月本!お前の剣術すごいな!?今から教えてくれよ!」

「馬鹿かよ、家の型を簡単に教えれるわけないだろ?」

 周りの生徒だけで勝手に盛りあがっているが、平気じゃないし、常磐に既に教えているよ。心の中でそう返答しつついた。その人集りを掻き分けるかのように大きく手を広げながら小さい女生徒……常磐が出てきた。

「月本くん!せんせーが呼んでるよ」

「わざわざありがとう」

「ううん、礼はいらないよ!日直で教員室行ったらせんせーに言われただけだからね」

 常磐は試験前までは、この様に皆の前で話しかけることを一切出来るような子ではなかった。だが、試験での実技が自信に繋がったんだろうな……いい事だな。

 翔は人集りをわけつつ、ごめんねと一言だけ言って教員室へ向かった。

 向かう途中真堂が翔を待っていた。

「月本、実はあの手紙なんだが確認を(おこた)っていて昨日届いていたみたいでな、今機士の方々が校長室に来られているんだよ」

「あぁ、本当ですか心の準備全然出来てないんですけど」

「大丈夫だろう、なんせお前のお父さんもいるから詰問みたいなことは無いだろうし、普通に実技でのお前を見込んでの訪問だろう」

「父さん来てるんですか!?」

 真堂は小さく頷いた時には校長室の前に到着していて、真堂はドアをノックした。

「月本連れてきました。入ります」

 木製のドアを開けると、そこには父さんともう1人中年の男性がいた。

「えーと……どうもお初お目にかかります。月本翔ですよろしくお願いします」

 翔がそう挨拶すると輝紀、翔の父が話し始める。

「翔、久しぶりだな。電報の手違いで寮に届かず教員の滞在していない休日に、学校に届いていてしまっていたことをまずは詫びよう。そして、コチラは機構騎士魔祓隊九士団の神代(じんだい)(せい)団長だ」

 自己紹介された神代は手を翔へ差し出した。

「翔くんだね。いつも彼から話をされてて一方的に君のことを知っているのだが、今回は実際に会うことが出来て嬉しく思うよ」

 翔は差し出された手を握り、軽い会釈をした。

「立ち話ではなく席につこうではないか、真堂教員ありがとう。ここからは私たちと彼だけで話をしたいので、申し訳ありませんが校長と一緒に席を外していただけますでしょうか」

 聞くやいなやガタッと音を立てて校長は立ち上がり、真堂を連れ一緒にこの場から出ていった。

 それを確認すると神代は席へ翔を(うなが)し全員腰を下ろした。

「親子の再会で話したいこともあるだろうが、すぐ本題に入っても構わないかい?月本団長」

「あ、はいもちろんです!仕事できてますので、顔を見れただけでも私は十分です」

「では、翔くん。話は聞いているかもしれないが、実技試験の時に君が異常に速く動いたと話を聞いてね?それが少しばかり気になって来た次第なんだが、君はどう思うかね?」

「どうと申されさても、僕自信が不思議に思っているのです。父との稽古の際には今回のようなことがなかったので」

 神代は自身の顎に拳をそっと当てて唸った。

「うーん、では次の質問なのだが、試験の際に速く動いた際に何か強く思ったことはあるかい?」

「一瞬の隙を狙い相手に一撃を入れることは考えていました」

 その話を聞くと何かに納得したかのように神代は小さく2度頷いた。

「なるほどな。実は私達の方では(おおむ)ね検討がついていたのだが、読み通りだったというのが分かったよ」

 神代は立ち上がり、父輝紀に歩み寄った。

「いいかな月本団長」

「……はい。でも本当に宜しいのでしょうか?告げて……」

「そう告げるよう仰せつかっているではないか」

「そうですね」

 輝紀は(ふところ)から筒状に丸めた紙を取り出し、それを広げて読み上げ始める。

「月本翔。本日をもって貴殿の学園での生活を一時休学とし、明日(みょうにち)より本都市より追放とす―――」

「ちょ!?え!?」

 思わず立ち上がり声をあげた翔を神代は静止し座るよう促した。

「まだ続きがある、落ち着きなさい」

 神代は輝紀に続けるよう促し、輝紀は再度読み上げ始めた。

「続けます。ただし3年間の期間だけとし、その(かん)貴殿は自身が信頼出来る、同じ学び舎の学徒と2人1組で行動を共にし精進し合い、3年後に本都市に戻り本国の規定より早く()()を執り行い、行動を共にした者と本国直属の機構騎士魔祓隊に加入することを書面上にてここに命ずる。尚万が一貴殿が3年後戻らなかった場合は、死亡扱いとさせていただくことを最後に(しる)させていただきます。以上です」

「君のことをまるで分かっていたかのような書面で些か不思議に思うだろうが、現王自ら書き上げられたものらしい。これは……特例だ。今までこのようなことは()()()以来だな、月本団長」

「……ええ。20年振りですね」

「あのー……えっと、つまりは僕は誰かと一緒に3年間帰ってこないで生き延びてこいってことですか?」

「その通り、場所は我々がちゃんと生きる上では困らない場に案内するつもりだ」

「ですが、外は魔の物が……!」

「大丈夫だヤツらは出てこない。だが魔獣はいる」

「ま、待ってください、まじゅうってなんですか」

「魔の物の配下といったところだろうか、それらは徘徊しているだろう。決して弱い訳では無いが強くもない。まあ、そのような所でないと君らも成長は出来ないし、そこで命を落とすようなら、その程度のだったという判断だ」

 そう告げる神代の顔は酷く冷たい表情をしていた。

 その横の父は無表情ではあるが、なにか言いたげな表情を神代の最後の言葉の際に浮かべ口を開いた。

「神代団長、すみません。やはり私は嫌です、息子を国の命令とはいえ危険な場所へ送り込むのは酷く心が痛みますし、なんでこのようなことを現王はさせるのですか?」

「うん、本来は有り得ないことなのだが、教皇様が仰ったのではないだろうか」

「教皇……様ですか、そうだとしても―――」

「落ち着きたまえ、月本団長の気持ちはわかっているつもりだ。なんとなくなんだが、きっと翔くんなら平気ではないだろうか?」

「神代団長……職務ではあるとはいえ、我が子をこういう形で送り出すのは、結構くるものがあります」

「だったら月本団長、翔くんを送り出しても平気だと思えるように納得出来れば平気だな?」

「え?それはどういう意味でしょうか?」

 意味がわからずに声を出した輝紀に、神代は自らの腰付近を軽く2回叩いた。

「自分と打ち合えばいいじゃないか、真剣勝負でやれば彼も実力以上の何かが、また垣間見ることが出来るのではないか?」

「模擬刀で行うのですか……?」

 神代は小さく首を振った。

「真剣だ。真剣勝負と言ったろ」

「息子に刃を向けろと!?」

「わがままを言うな、これでも納得できるように考え、父としての君が笑顔で送り出せるように考えた結論だ、それとも私自らが相手をすれば納得できるか?」

 苦虫を噛んだような表情を浮かべた輝紀は小さく頷く。

「息子に刃は向けれません……!」

「わかった。では訓練場にて執り行うとしよう、いいかね翔くん」

 半分以上置いてけぼりな状態で居たため、翔はコクコクと頷くことしか出来なかった。

 一瞬だが、会話の中で輝紀に向けてなのか、はたまた翔へなのか殺気とも言える威圧を感じた翔は小さなその掌に書いた汗を拭いさり、校長室を出ようとする神代の後ろを少し震える脚でついて行くのだった。



 ―――――その頃、深い森の中で翔を訪ねて来た青年と木を挟んで女性がいた。

「どうするの少しばかり大変なことになってるんじゃないの?」

「最悪の場合は俺が動くつもりだ」

「私は何もしないわよ。もちろん他のみんなも」

「まったく……気にかけてるくせにそういう所薄情だな?ここの連中は」

「当たり前でしょ、どれだけの命をあいつらに奪われたと思ってるの?魔術師を発見するなり殺されてきた数々の命を思えば……仕方のないことよ」

 そういうと女性はスっとその場から消えていった。

「最悪の場合は…………の……準備……をして…………」

 ボソボソとぼやく青年の声は木々にかき消され、青年の姿も消えていた。


お読みいただきありがとうございます!


いやー、これを書いている時にですね

僕非常ににやけて書いてました。

「いやーこれ次回ワクワクだな〜」ってな具合にワクワクでにやけてました。


にやけてた理由を早く次話投稿できるようしますね!

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