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第1話 新たな暮らし

ほぼ出来上がっていたのに書く時間が全く取れずやっと書きあげ……!

 レンガ調の壁に天井。

 そしてゆりかご。上手く喋れない。しかも赤子として今この場にいる。

カチャ。僕のいる部屋のドアが開いた。

  「(かける)、起きてるかな〜?」

  月本翔。これがこの世界での僕の名前だ。そして奇妙なことに僕の覚えている前世。前世の父と母に、今の両親は瓜二つなのだ。

「起きてるな、このほうけてる顔は俺に似ちまったのかな……」

「似ちゃったと言うより瓜二つよ」

  抱き抱えられあやされる感覚、何かこそばゆい。

「翔……」

  どうしてこんな悲しそうな顔を母はするのだろう。父はすごくニヤついた顔で見ているのに。

  でも思う。この父と母は僕が守らなきゃ、今度こそあんな思いはしたくない。

 僕が生きていた時代では名をほとんど聞かなかった和国。

 ここで育つことに胸が踊る。


  月日が経ち2歳になった僕は両親が驚くほど礼儀や言葉を覚えるのが早かった。喋れるようになってからはこの世界のことを絵本などでわかった。

この世界は僕のいた時代より1000年以上も経った世界。そして機械によって企業や生活が大きく支えられ、世界の中心となっていた。

 1番の驚きは僕の時代で「魔の物」というものが生まれている。そしてそれを倒すための組織―悠久(ゆうきゅう)機士(きし)―機士は機構騎士(きこうきし)の略称。彼らは現在の技術最高峰の武器を渡され魔の物と闘う。

  そして機士になれるものが選ばれる日が、15歳の誕生日に受ける「洗礼(せんれい)」によって決まる。その洗礼によって選ばれし者には古代遺物が選定される。古代遺物が渡されれば機士の団長への推薦が受けれる。現状で1番の役職だ。そして洗礼は―審判の教会―で行われる。


  ―――それによって人の運命が大きく変わる―――


 3歳になる年には双子の妹が産まれ、名前は(みちる)(ひかり)

元気そうな妹たち、温かい家庭。前世とは全く違うこんな穏やかな日々に感謝だ。

  3年の月日が経ち昼過ぎに僕は街から少し離れた洞窟(どうくつ)で、前世の記憶からできる限りの魔術を試しに行っていた。魔力の元となるマナがすごく溢れている。現在魔術を使うものがいないのだろうか? 僕の時代では練ることが大事だったのに、今はその必要が無い。

 ある程度の魔術は使えるようだが、この身体ではまだできるものが少ない。無理をして怪我をするわけにもいかない。

  錬金術も同様に試すがこれも不思議なことに()よりかなり上手くいく。今回試したのは金属の成形だ。バラバラな破片が綺麗な鉄板に成った。

「こんな感じかな……。うん、いいぞ……!!強度も問題ない普通だけどちゃんとした鉄板だ!」

  出来上がった鉄板を壁に立てかけて、今日のことを整理するためにゆっくりと帰り支度を始めた。

  すると、洞窟の奥から風を感じ驚いたが、何かがある証拠だ出口……。いや、そんなはずはない。ここは山の(ふもと)にできてる洞窟だ。

「行ってみるか……」

  近くから太い枝を拾い、魔術で火をつける。以前のように詠唱や練り込みがないだけ、負担も時間もかからない。

  奥へ進むと大きく広い空間に出た、頭上は吹き抜け。ここから風が来ていたのか。

  しかしここは何なんだ、なぜこんな空間があるのだろう……。

 よく観察してみると奥にトビラのようなものがある。それ以外に目立ったものがないが妙にここの地面は平坦だ。

「なんでトビラが……一応警戒っと」

  作り上げた鉄板だけしかないがこれで、万が一は防御も攻撃も出来……できるかな?

「悩んでいても仕方ない!!なるようになれ!!」

 ガチャっとスムーズな開閉ができ、奥に陽の光が微かに入る。すると見えたのは、書物や機械の数々。

「これは……もしかして!!」

 転がっている一札に手を伸ばす、すると和国の字で(つづ)られていたが……

「これは魔術の本じゃないか……!なんでだ!?しかも僕の知らないものばかりだ」

 機械の方もよく見ると魔術の痕跡が多数ある。しかも……

「これは……錬金術と魔術の痕跡だ!!」

  どういうことだ、錬金術が和国では普通だったのか!?今では使うものがいない技術旧時代に研究してた人がいたんだ……ん?これは!?

  よく書物を見ると和国の言葉ではあるけど、全部前世の僕の家にあったものばかり、錬金術の本も見たことないものも多い。

「これは和国の術が記載されてるのか」

  それから数時間、気づけば夕暮れ。すごいぞ!和国は魔術より式神を使う、陰陽(おんみょう)祓魔(ふつま)が長けていたのか。これは覚えれるものなのか……降霊術(こうれいじゅつ)

「すごいな……本当に。降霊術は覚えてみたい。どういうものなんだ」

  僕は陰陽と祓魔より降霊術への興味が隠せなかった。時間が無いからこれは持ち帰ろう。バレたらどやされるな……。

「えっと……使えるかな?」

 前世でも使っていた魔術。解除の魔法がその対象に使われるまで隠せる魔術。

「イン・ペイン」

  和国の魔術本と降霊術の本これを隠し家路に着いた。


「ただいま」

「おかえりなさい、どこで遊んでたの?」

  母が妹たちをあやしながら訊いてきた。

「近くの川でお魚が捕れないかなーって、こう、クマみたいに!」

 クマの鮭を獲る仕草を真似しながら説明すると、くすくす笑ってくれた。

「そうなのね、捕れた?」

「ううん、だめー全然捕れない!手洗ってくる!!」

 そういうと足早に洗面所へ向かい手を洗い、部屋へ駆け込んだ。

 こちらからの声が漏れないように防音できる生活魔術を行使し、ベットの上で本への魔法を解除し、和国の魔術の書物を広げた。

 基本的に、僕の使っているものは和国で表すと、ファイアボールなら、火球。といった。直訳に繋がる。

「これは……!?隠蔽(いんぺい)……イン・ペイン……」

  和国の言葉が僕の時代の魔術に和国の言葉が混ざってる……。

  コントー。これは昏倒……。ヒショウなんて、そのまま飛翔だ。ただこの飛翔は、僕の時代だと飛び続けられるが、これは跳んで空を駆けていくイメージだ。

「色々と違いや同じ部分が多い……これはどっちが先なんだ……くぅ!知的好奇心くすぐられるなぁ!!」

  コンコンとノック音が部屋に響いた。

「翔。ご飯だよ〜」

  母の声だった。本を隠し下に降りた。

「翔、今日は何をしてたんだ?」

「今日は川で遊んだりしてたよ?」

「1人でか?」

「うん……」

  すごく探ってくる感覚今日行ったばかりなのにもうバレたか?

「父さんな、川で1人で遊ぶのは危ないって言いたい」

「……え?あ、そうだよね……ごめんなさい……」

「いや、お前はすごくしっかりしてるから、心配はしてないんだが……周りの人目もあるからさ。1人では気をつけるんだぞ?」

「わかったよ、お父さん」

「はい、じゃあご飯にしましょ?冷めちゃうじゃない」

「いただきまーす!」


  食事を終えて部屋に戻った。

 次は慎重に動かなければまた心配をかけてしまう、魔術と錬金術でなにか作れないだろうか、持ってきた本を読み漁った。

 土にクラフトを使い風魔術で整形してゴーレムを作成。そこに自立できるようにすることと、声を伝えられるなにかを作れば誤魔化せる。

「……作ったことないぞ、上手くできる自信が無い、創作(オリジナル)魔術は難しいんだよなぁ……さすがに今の僕では、創れない」

  この方法以外だと……複製魔術。これしかないが、やったことすらない……この本にないか?数冊ある中から和国の魔術の本をおもむろに開き読み進めていく。

「あった!なんだ?ニンジュツ?魔術では無いがニンジュツというシノビの術のひとつでブンシン……」

  魔術じゃない独自の術、ニンジュツ!なんだこれ!?すごい……!和国は進歩している!これはすごいことだぞ!?独自の知識を応用していくなんて、創作魔術と同じくらいの偉業だぞ!?

  「でも、無理だ……これは出来ない……」

  自信が無いわけじゃないけど、新たな知識は現状必要はない。これは仕舞っておこう。

  仕方ない。今は子供らしく元気に遊ぼう。遊びながらマナの調整、魔術のコントロールしながら過ごそう。

  一息ついて、歯を磨いて、両親と妹たちに挨拶をしてベッドに入った。


  そこからの日々は、お父さんの意向で僕の鍛錬と肉体の成長に合わせて、筋力と剣術をつけていった。

  そして冬が終わる頃、僕は寮制の学校へと通うことになった。

 月本家は代々機士の家系 機士養成学校へ行くことになっている。

 この学校へ通う子は、9割がほぼ機士へとなれる見込みのあるものから、家系の子供達が集まっている。いわばエリート学校というわけだ。

 洗礼を受けていないから、ここで学び鍛えられ機士へなるための肉体と知識と精神を養う、そして洗礼を受け将来が定まる。5年間通い洗礼までの年月は、

 自身の得た知識等を養う期間として独立しなければならないらしい。

「気をつけるんだぞ」

  お父さんはそのように言うと、僕の頭を優しく撫でてくれた。

「近いとはいえ心配だわ……怪我しないでね翔」

「そ、それは難しいかもお母さん」

「そうよね、元気ならそれでいいわ」

  お母さんはそっと僕を抱きしめてくれた。

 僕は望んだ平穏を過ごせている気がした。嬉しかった、だが不安だった。

 家を離れているうちに何者かに襲われないか。だが……。

 この家には全くもって心配いらない。だって、お父さんは機構騎士(きこうきし)魔祓隊七士団(まふつたいしちしだん)団長(だんちょう)月本輝希(てるき)。襲撃者なんてあろうものなら即座に返り討ちだ。

  「お父さん、お母さん。行ってきます。長期の休みに入ったら必ず顔を出しに来ます。光も満にも会いたいですからね」

  小さな妹たちが僕を見つめ手を振ってくれたのを見て僕は家の戸を開けた。

「行ってきます」

  戸を閉めて、空を見上げ少しばかり歩いて、振り向くと妹たちがドアを少し開けてこちらを見ていた。ソっとまた手を振る妹たちに手を振り返して歩みを進めた。


  学校、そこがまた大変なことになるとは思わないでいる僕は、やはり幼い子供だった。

今回も読んでいただきありがとうございます。

今後はなるべくペース良く更新を続けていけたらいいなと思っています!

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