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夜はクラウディアとお互いの親睦を深める事に集中したいと思う。
それでいい感じになれば、その、あの、・・・ウォッホン・・ゴホッ。
夜も更け、寝着に着替えて自室から繋がる寝室へ行く。
クラウディアはまだ来ていない。
寝台の中心より左側に入り、座った姿勢をとり枕をクッション代わりに腰部に当てる。
しばらくするとクラウディアの私室に繋がる扉がガチャリと開いた。
入ってきたクラウディアが何やら戸惑っている様子なので、わたしの空いている右側を軽く二度叩いてみる。
するとモソモソとわたしの右側に入ってきた。
「もう少し後ろへ。」
そう促すと、わたしの腕とクラウディアの腕が軽く当たる。
それだけなのに最高に楽しい。
隣に柔らかく温かい存在があるだけで胸が高鳴る。
わたしは布団の中で片膝を立てる。理由は聞かんでくれ。
「話をしよう。今まで話した事があることも。話した事がないことも。」
それからたくさんの話をした。
好きな本や好きな音楽。
好きな場所や好きな菓子。
初めて会った日のことも話した。
あれはクラウディアにうまい菓子をたくさん食べて欲しくてあんなことをしてしまった。そしてうまそうに食べる姿を見ていたかった。今思えば子供過ぎて恥ずかしい。
クラウディアは怖かったそうだ。
「一目惚れだったのだろうな。」そう言うとクラウディアは驚いたようだ。
「最近のお気に入りの小説は『読書家の成り上がり』という物語ですわ。」
「あぁ。それだったらわたしも読んだ。非常に面白かった。特に面白かったのは領地を賭けて玉入れ争奪戦したところだな。」
「わたしもその場面は大好きです。青の軍隊がとても素敵でした。」
「最近は『楯の英雄大冒険』を時間のあるときに読んでいる。」
「わたしは途中で止めてしまいました。楯の英雄の性格が変わってしまう場面がありますでしょう?
それがどうしても受け入れ難くて。」
「ならばそこは読み飛ばせばいい。その後の闘いなどなかなかのものだぞ。」
「そうしてみますわ。殿下は『末っ子だなんて聞いてない。』ってご存じですか?」
「いや、知らないな。」
「きっと気に入っていただけますわ。」
こんな風に他愛もない会話をしていると時間はあっという間に過ぎて行った。
このまま話し続けていると夜が明けてしまいそうなので、そろそろ寝ようと思う。話しの続きはまた明日。
クラウディアの手を取り「また明日。」と言いながら指先に口づけをする。
ぐっすり眠って欲しいので額にも口づけをする。
いい夢を見て欲しいので瞼にも口づけをする。
これでクラウディアの頭の中がわたしでいっぱいになればいいのに。
やはりクラウディアは秒で寝た。