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新婚王太子はようやく妻を上手に愛せるようになりました  作者: 斉藤加奈子


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誤字脱字報告ありがとうございます。感謝です。

 夜、そろそろアレクシスが寝室にやって来る頃クラウディアは待ち構えていた。


アレクシスの私室へ繋がる扉の前に立つ。


脚を肩幅大に広げ、腰に手をやる。


少しでも怒っていることを知らしめるために睨む角度に顎をセットする。


カチリ。扉の取っ手がひねられた。


ゆっくりと扉が開く。

今までにない扉の開け方だ。

さてはマリアンナから報告が上がってるな。


そろりそろり

肩が見えた。


そろりそろり

黒い頭部が見えた。


そろりそろり

目が見えた。


目が合った。

あっ!引っ込んだ!


何かブツブツ言ってる。


「で・ん・か?」


「・・・はひ。」


しょぼくれた殿下が出てきた。

どんなにしょぼくれていてもダメなものはダメなのです。


「殿下。わたくし、殿下のお部屋に入れていただきたいんですけど?」


「いや、入ってもいいことなんて何もないぞ?」


「それでもです!」


半ば無理やり部屋に押し入ると、そこは昼間と変わらない、ただカーテンが閉められ照明の点けられた明るさが違うだけの部屋だ。

わたしは昼間こっそり部屋に入った時と同じように、壁に飾られたわたしの過去の作品たちとわたしの姿をかたどった婚礼衣装姿の人形の前に立つ。


「・・・なぜこのような事を?」


「其方の手作りの物が欲しかったんだ・・・。」


殿下はしょぼくれたままだ。


「殿下が『クラウディアの手作りが欲しい』とひと言おっしゃってくださったのなら、わたしは喜んで作って差し上げましたわ。」


「其方が描いた絵が欲しい。其方が刺繍を施したハンカチが欲しい。そう言おうと何度も思いはしたんだ。

だが、わたしが『欲しい』と言ってしまったら命令になってしまう。

無理強いでもなく、命令でもなく手に入れる方法がこれだったんだ。」


「わたしは婚約者ですわ。そんなことにはなりませんのに・・・。」


わたしからアレクシス殿下へ贈り物をするとき、何が喜ばれるのか全く解らなかったためよく悩んだ。

素人の手作りなんて相応しくないと思い、必ず一流の工房の最高級の品ばかり贈っていた。

わたしもアレクシス殿下と話し合い、何が好きで何が欲しいのかちゃんと聞けばよかったのだ。


アレクシス殿下の本当のお人柄は不器用で優しい人だと分かった。


そして、心からわたしを愛してくれている。


「・・・引いたか?」


「・・・少し引きました。でも殿下が不器用だけど優しいお人だということが分かりました。

そしてわたしを愛してくれていることも。

わたしたちは話し合わなければなりません。


何が欲しい、何して欲しい、何をしたい、どうして行きたい。

おっしゃって下さい。


わたし、もっと殿下を知りたいですわ。

そして、殿下もわたしを知って下さいませ。」


「こんなわたしを許してくれるのか?」


「はい。もちろんです。

わたしたちはようやくスタートラインに立てたのです。」


「ああ・・・。クラウディア・・・。」


アレクシス殿下がわたしを強く抱きしめる。


「殿下。何かして欲しいことはありますか?」


「君を抱きしめたい。」


「もう抱きしめてます。く、苦し・・・。」


「愛してる。」


「わたしもです。ち、力を弱め・・・。」


「離れないでくれ。」


「離れたりしませんわ。そろそろ放し・・・。」


「結婚してくれ。」


「・・・もうしてますっ。」






言いたいことをようやく言えたアレクシス。

この後、クラウディアは刺繍を施した飾り用ではないハンカチと、いつでもいいからと絵画を贈ることとなった。


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