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慈しみにたゆたう

小さなリリアは、大きな腕の中にくるまれてとろとろとまどろんでいました。


ふわふわゆらゆらと心地よい揺れがリリアを眠りへと誘います。


すぐ近くで、くすりと笑いをもらす声が聞こえました。



『すっかりお父様ですね。



ささやくような、やわらかさが心地よい女の人の声です。


穏やかなまどろみの中、リリアはその女の人とリリアを抱える誰かがそっと笑いあうのを感じました。



『せっかくぼくのところへきてくれたんだからね。



嬉しげに、優しい声がリリアを包みこみます。



『きみがつわりで苦しんでいても、陣痛でつらくても、ぼくには何もできなかった。

でも、今はこうやって触れることができる。

抱きあげることができる。

きみも、リリアも。

泣いてる姿だって、とっても可愛い。

そりゃ、泣き止まない時はつらいなって思うこともあるけど、それでも、生きてるんだな、一生懸命生きてるんだなって、すごくいとおしいんだ。

小さな手で、小さなからだで、全力で頑張って生きてる。

リリアをみてると、本当にそう思えるんだ。



『ふふっ。

ティールはとても心配してくれましたわ。

だからわたしも頑張れたのです。

リリアにもきっと、お父様が待っていてくれていることがわかったんですよ。



二人がしのびやかに幸せにほころんでいるのを感じて、リリアはこれ以上ないといえるほどの安心をおぼえました。



『―――……、産んでくれてありがとう。

ぼくと一緒にいてくれて、ありがとう。

ユリシア、愛しているよ。



『ええ。

ティール、わたしもです。

……ティール、愛しています。



静かに静かに、リリアは睡眠の淵を滑り落ちていきました。



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