オーディション
いよいよオーディションです!
家に帰り、ママにこのことを話すと、頑張りなさいと、何度も何度も言ってきた。
そして、私の猛特訓が始まった。
オーディション用の紙には、
「かんなちゃんは優しい子だよ。
大丈夫。自分を信じて。
今すぐ行ってあげて。
今すぐ!
もしも喧嘩になっても、私が悩みをきいてあげるから。
ね?
ほら、早く!」
と、かいてあった。私はそれを常に持ち歩き、時間さえあれば練習した。
そうしてる間にじかんはあっという間にすぎ、オーディションの日がやってきた。
時間よりも二十分早く来て、番号プレートをもらい、フロントで待った。
今回はちょい役だったから受ける人数も少なく、一人ずつだった。
「6番さん」
私の番号だ。
部屋に入ると、審査員がざわめいた。
「君、さいかちゃんの妹さん?」
審査員の一人が訪ねる。
「はい。」
七光りは嫌だったから、履歴書には書いてなかったはずだけど、顔でばれたようだ。
「じゃあ、やってみて。」
「はい。」
私は心を落ち着かせた。
「か、かんなちゃんは優しい子だよ。、、、、」
私が一通り台本を読み終えると、審査員の人たちは特に表情なく、紙に何かを書いていた。
「じゃあ、もういいよ。」
「ありがとうございました。」
私は部屋をでた。
フロントに戻ると、ママが落ち着かない様子で待っていた。
ママは、オーディションの時には必ずきてくれる。
「どうだった!?」
私を見たとたん走ってきた。
「うまくできたよ!」
わたしは笑顔で答える。
それから席に座り、審査の結果が出るまでしばらく待った。
緊張で、黙っていた。
雨の音がやけに響いていた。
第八話です。ありがとうございました。