演技のレッスン
事務所での反応は、、、
あれから、何事もない日が日続いた。
変わったことといえば、みおと一緒に、佐々木先生と話すようになったことぐらいだ。
今日は日曜日なので、私たちは事務所に来ていた。
ただし、さいかはべつのクラスに移動することになった。
さいかはろくに練習もしないのに、演技はクラスで一、二を争っていたのに加え、さいかが有名人になり、ドラマや映画のオファーが来るかもしれないので、特別クラスに入ることになったのだ。
ちなみに特別クラスは奨学金が出るので、シングルマザーのママは嬉しそうだった。
そして私は、そのまま。演技もうまくないほうだし、有名にもなってなかったし。
まあ、私の方がさいかの三倍練習してるんだけどね。
で、今日もレッスンが始まった。
発声、ダンス、バレエまではよかったんだけど、演技の時はかなり郵つだった。
今日の演技はグループをつくって演技するってやつだったんだけど、さいかはいないし、いつもさいかの友達と、さいかと、私って感じだったから、もともと人好き愛も苦手なせいか、グループが作れなかった。
それで、先生に決められたグループでやることになった。
三人グループだ。
それぞれに台本が配られ、セリフを覚える。セリフを覚えるのは簡単なんだけど、表現ができない。
いや、顔はできるんだけど、声がやけにはきはきしすぎて感情が伝わらない。
でも時間はあっという間に過ぎていき、私たちの番がやってきた。
「ねえ、何なのあのメール?」
「何って何が?」
二人が次々にセリフを言い合う。
「だって!」
いよいよ私の番だ。
「ねえ二人とも、何してるの?」
と、二人の顔を覗き込む。
「ダメ、ダメ!そんなんじゃだめ!いつも言ってるでしょ!言葉に表情をつけなさい。」
「はい。」
私が怒られてると、みんながくすくす笑ってた。
そして、誰かがつぶやいた。
「さいかとは大違い。」
その一言で、他の人もつぶやきはじめた。
「さいかはあんなにうまいのに。 」
「本当に双子なの?」
そして、せんせいまで、
「さいかのように頑張りなさい。」
と言ってきた。
ひどい。私はさいかよりも頑張ってるのに。
レッスンが終わっても、私はまだもやもやしてた。
そんな時、先生からオーディションの紙が配られた。
「これは連ドラのちょい役です。オーディションは来週の土曜日。それまでにこのセリフを覚えてきてください。」
と、一枚の紙を渡された。
これだ!これで見返してやる!
私は紙を握りしめた。
第七話です。ありがとうございました。