ビンタ
お母さんが、、、
それから、さいかには三つぐらいのバラエティーのオファーがきてた。
そして、今日はそのうちの一つが放送される。
その日は、さいかと家に帰った。
ガチャ
ドアを開けたとたん、
「さいか!」
と、ママがかけてきた。
「いよいよ今日は放送ね!ママ緊張するわ。さいかのために、今日は唐揚げにしたからね!始まるのは七時だから、その前に勉強とかすましちゃってね。」
そう言いながら、さいかの肩に手をまわしてリビングに行った。
一人残された玄関で、私は何ともいえない寂しさを感じていた。
私はそのまま自分の部屋にいった。
もう、泣きはしなかった。
泣くぐらいなら、私もオーディションに受かってさいかを追い抜かしてやる。
心の中でそう唱えながら、私はノートを広げた。
その日、豪華な夕食を食べながら、テレビの前に座った。
「いよいよね!」
ママが声を弾ます。
しばらくCMが続いた後、
「始まりました!早ダネ!」
という司会者の声で、早ダネが始まった。
え、うそ!
さいかの出る番組って、早ダネだったんだ。
早ダネは、その名の通り、いち早く情報を提供しつついろいろなコーナーもあり、大人気の番組だ。
「さあ、今回のゲストはこちら!川上さやかちゃんです!」
パチパチパチパチ
「よろしくお願いします。」
さいかが写った。
さいかはほんのり化粧をして、別人だった。
「じゃあさいかちゃんのプロフィールを見ていきたいとおもいます。」
司会がそういうと、奥からスタッフがボードを持ってきた。
私が知り尽くしてる情報がずらずらといわれていく。
中でも、「双子の妹がいる」っていうのは興味を引いたようで、司会者の人が、
「さいかちゃん双子なの!?」
と聞いた。
「はい。ゆめかっていいます。」
「へー、芸能活動とかしてるの?」
「はい。この歌のオーディションにも参加してましたよ。」
「うわそうなの。さいかちゃんだけ受かっちゃって、妹さんどうだった?」
「帰ったらがん泣きでした。うふふ、ちょっと気まずかったですね。」
「ハハハ、がん泣きだったの。そりゃ気まずいね。仲悪いの?」
「あー、ちょっと喧嘩するけど、結構仲いいですよ。」
「さいかちゃんみたいな大物の妹っていいねえ。」
「そうですかね。ちょっと嫉妬深いですよ。うふ」
「嫉妬ぶかいの?そりゃ大変だ。」
「ええ、でもまじめなんです。」
「さいかちゃんもまじめなの?」
「いいえ、私はあんまり練習してなかったんですけど、受かっちゃいました!」
「そっかー、まじめちゃんはそんだよねえ、僕が中学生の時も、、、」
何、これ?
「何これ?なんで私の悪口みたいなことばかり話してるのよ!」
思わず立ち上がって叫ぶと、さいかが泣きながら、
「ごめん、私も何も言ってない間に台本決まっちゃったから。」
と謝った。
「あんたじゃなかったらだれがこんな事わかると思ってるのよ!」
思わずさいかのほっぺたを思いきりたたいた。
「痛い!」
さいかの悲鳴と同時に、耳元で風が吹いた。
かと思ったら、頬に激痛が走った。
「痛っ」
何が起きたのかわからず上を向くとママがすごい形相で睨み付けてきた。
「さいかの顔に跡でも残ったらどうするの!大して有名人でもないあなたが、さいかにちょっと笑われたって当然でしょ。文句を言うなら、あなたも有名になってから言いなさい!」
ママが、いつものままではなかった。
私がリビングを抜け出そうとしたその時、
「あなたのこと教えたのは、私よ!」
ママが冷たい声で言い放った。
ママが言った言葉の一つ一つが私の心を切り裂いた。
部屋に行って、ベットに寝転がった。
ママ、ママ、ママ!
いつの間にか、涙がでてきた。
声を押し殺して泣いた。
泣いていると、
ガタン
とドアが開いた。
ママだった。
「まま、、、」
ママは私の隣に来て座り、
「ごめんね、ママかっとしちゃって。」
と言って、頭をなでてくれた。
「ママ」
やっぱりママはママだ。
「大好き!」
「私もよ。」、
第六話です。ありがとうございます。