遅咲きブレイク
あれから二人は、、、
あれから、特に何もなく平穏な日々が続いた。
そして、いよいよさいかが主題歌を務める映画が公開された。
私たちも見に行った。
さいかは相変わらず下手だった。
これじやあ、ブレイクは無理か。
そう思ってた次の日、教室に入るや否や、女子の大群に囲まれた。
「ねえねえ、さいか、すごいじゃん。」
「ねえ、これにサインもらってきてよ!」
「私にも」
とまあ、大したものだった。
どいてくんないかなあ。
心では思うものの、そそういうことをはっきり言える性格じゃなかったので、大変困っていると、グイっと腕を引っ張られた。
親友のみおだった。
「みお、ありがと」
そういうとみおは、
「いいの、いいの」
といって、ニコっとわらった。
「ねえ、なんでみんなさいかのこと知ってるの?」
さいかの希望で、学校には言わないはずだった。
「え!知らないの?さいか、ネットですごいうわさだよ!」
みおが大げさに目を見開いた。
「え?だってさいか、へたくそだったよ。」
そういうと、
「もう、わかってないなあ。そこがかわいいの。六年生にして、遅咲きブレイクってさえあがれてるよ!」
とあきれた顔で見られた。
「つ、つまりさいかは、有名人。」
ドンっと石が落ちたような気がした。
私は売れない子役。姉は有名人。
泣きたいぐらい、ショックだった。
第三話です。ありがとうございます。