主題歌のオーディション
第一話です!これからよろしくお願いします!
「30から39番の人、どうぞ。」
奥の部屋から、スタッフのお兄さんの声が聞こえた。
隣で、ママが私の手をぎゅっと握った。
「頑張って」
ママが呟いた。
「「うん!」」
私とさいかは部屋に入った。
ここは、オーディション会場だ。
私とさいかは双子で、共に一年前から子役をやっている。
ちなみにママがきっかけだった。
本当は一年生からやらせたがってたけど、パパが猛反対で、結局、パパと離婚した一年前、ママは私達を事務所に入れた。
でも、それから一年、なんの成果もなしだった。
で、今回来たのは映画の主題歌のオーディション。
ママはすごいステージママで、オーディションに落ちたらかなり落ち込んじゃうから、私は今日のために頑張った。それに、歌には自信あるんだ。
さいかは怠け者だからいつも全然練習してない。それなのにいつも、私より上手くできる。きっと才能だよね。
でも今回の歌はさいかに勝つ自信あるよ!
「では、一人ずつ、さびの部分を歌ってください。」
部屋に集められた子達が、次々に歌う。
つぎはさいかの番だ。
「あーしたもー、はーれろー、あしーたもおー、はれーろ」
下手くそ。
ってことで次は私の番。
「あーしたーも、はれーろ、あーしたーも、はれーろ」
うん、良くできた!
で、当日の結果発表だったから、待合室で待ってた。
20分位すると、審査員のひとが、待合室にきた。
すごい緊迫した空気の中、審査員は一言、
「38番」
と言った。私は素早く番号プレートを見る。
39、、、
とたんに虚しさと悔しさが込み上げてきた。
さいか、また、ダメだったね。
さいかの方を見ると、さいかが顔を真っ赤にしてた。
「さいか?」
するとさいかが、番号プレートを差し出した。
「え、、、まさか。」
そこには、しっかりと38と書いてあった。
なんと、さいかが受かってしまいましたね!