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異世界に召還された三人目  作者: こたつねこ
第一章 三人目の×××
3/46

1-3 三人目×××を悟る

基本的に一度投稿したら、改稿いたしません。

数回見直して、それでもミスがあったら、そのまま私の黒歴史となります。

今回も読んでいただけたら、嬉しいです。

 壱章ノ三 三人目×××を悟る


「おい、しっかりしろ!」


 門前で崩れ落ちて、倒れた俺を門番の人、三十才位のおじさんが、

 引きずりながら、街に入れてくれる。

 街に入って、すぐ近くに植えてある街路樹だろうか、

 その木陰に寝かせてくれて、俺に話を聞いてくる。


「どこから来た? 何があった?」


 あー、えーと、どうしようかと考え、そう言えばと女神様から聞いた、

 村に関する話から使わせてもらうことにした。


「南の村から……」


「南の村からって、お前ぇ、あそこはもう……」


 自分は村を離れて旅をしてた。

 戻ったら村が盗賊に襲われて、家族を無くし、傷心のままここに来た。

 と言う頭の中で設定をたて、門番のおっさんに話をする。

 亡くなった村の人に申し訳ないが、俺も村人(仮)だった事にする。


「そうか……、お前、知らなかったのか、

数ヶ月前に村へ行った行商人が知らせて来たんだ。

村中が死体だらけだったと、盗賊に襲われたに違いないって。

生き残りは一人も居なくてなぁ、

それで調べに行ったヤツらで、死んだ村のモンを手分けして埋めたんだ」


 なんて言いながら、気の毒そうにこっちを見てる門番のおっさんに、

 心の中で手を合わせて謝罪しながら、(盗賊こぇぇ)なんて思ってたりする。

 罪悪感でいっぱいになり、早々に退散することにした。


「そうか、村のみんな……」


 下手だなぁとか思いつつ、三文芝居を演じながら、

 ふらふらと立ち上がり、歩きだそうと……あ、そうだ。


「なにか仕事がもらえる所、無いだろうか?」


「そんな剣、持ってるくらいなら、少しは戦えるんだろ? 

そんなら、冒険者の組合に行ってみたらどうだ? 何か仕事はあるはずだ。

ここからまっすぐ北へ向かえば、西側にある大きな建物が見えるだろう」

 

 お? やっぱり冒険者居るんだ、いいね。

 顔がにやけそうになるのを堪えて、寂しそうな笑顔を浮かべて、

 門番に礼を言って、そこを後にする。

 ……自分の大根役者ぶりに、後で悶絶しそうだ。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇



 言われた方向に行ってみると、確かに大きな建物が見える。

 入り口の上には看板があって、読めない文字が……

 あれ? 普通に読めるぞ? 


(冒険者組合イマニアム支部)


 なんで読めるんだ? やっぱり変な力持ってるんじゃないのか? と、

 思いながらも中に入る。

 イマニアム、この街の名前でいいのか? 

 おぅ、名前で思い出した、自分の名前どうするか。

 そのままヤマダケンジ、ケンジヤマダ? 違うな、ダメだ! 

 そのまま使ったら、いつか一人目、二人目の同郷人に見つかるかも知れない。

 あ、いや、見つかってもいいんだけども、うーん? 

 まあ一応、別名にしといた方がいいかな。

 ヤマケン、ケンヤマ、ケーマ、ケージ……ケイン、

 よし、ケインにしよう。


 建物に入り、中を見渡す、左側に受付カウンターみたいで、

 正面の壁には依頼書なのか羊皮紙が数枚張ってある。

 右側ではバーカウンターで木製のジョッキで酒らしき物を、

 飲んでいるのが数人居る、昼間から椅子無しの立ち飲みかよ。


 受付カウンターに向かうと、結構コワモテのオヤジがこっちに視線を向ける。

 この場面なら若いお姉さんじゃないのか? と、毒づきながらも受付へ。


「仕事もらうのなら、ここに行けって言われたんだが」


「見ねえ顔だな、どこから来た? 」


「ああ、南の村の出だ、しばらく離れててな、戻ってきたら……」設定大事です。


「……そいつは悪い事聞いちまったな、そんで、初めてなら登録すんだろ? 

出身は、まあ、それならイマニアムでいいな、お前ぇの名前は?」


「ケインだ」


「ケイン……と、剣持っているから、それなりに戦えるんだろうが、

それでもどれだけ戦えるか、ここの裏で腕前、見せてもらう。

後で刻印打った認識板渡すから、明日でも取りに来い。

登録料は銀貨一枚だ、持ってるか? 出世払いでもいいがな」


 そう言いながら、受付のオヤジはニヤリと渋い笑みを作る。

 出世払いと言う言葉に、嫌な予感がした。

 袋から貰った銀貨を一枚取り出してオヤジに渡す。

 そういえば、このお金も村人の遺品なんだよな、大切に使わせてもらおう。


 オヤジの名前は別に知りたくも無かったが、ミゲルと言った。

 その後について行き、建物の裏側にある訓練場へと向かう。

 広さは昔見た、故郷の市民プールぐらい? の広さだ。

 訓練場には向こうに弓用? の的と、手前に太い丸太が地面に五本程刺さっている。


「剣持ちなら戦士か? 戦士なら傭兵で活躍できるな」


 とんでも無いことをミゲルが言い出す、盗賊相手でも人殺しが出来るなんて、

 まだ思ってもいないし、生き物を殺すと言う覚悟も足りないのに。

 出世払いの言葉の裏はこれか? と勘ぐる。


「いや、戦争に行く気は無い、獣相手だな」


「そうか、獣や魔獣を狩るんなら、剣は最後のとどめぐらいだな。

だったら弓で足を止めて、槍で弱らせるのがいいかもな」


 なるほど、遠くからの攻撃か、そっちの方が安心できるな。


 ミゲルは練習用の使い込まれた弓と五本程の矢が入った矢筒を俺に渡す。

 ふむふむ、弦が硬いけど引けないことも無い。

 的に向けて、なんとなく弓を構えて矢を射る。


 ビィンッ! ヒュゥッ……ゴッ! ──初めてなのに、的の中心付近に深々と刺さる。


「ほぅ、やるな、さすがだ」


 え! ? なに言ってるの? さすがってドユコト? 

 と言うか、どうして俺、弓使えるん? 

 

「今まで見た、初登録に来たヤツの中で、一番くらいな腕だな。

もう弓はいい、次は槍で丸太突いてみろ」


 もうちょっと弓の練習したかったんですけど……

 余計な事を言わずに、練習用の槍を受け取り、丸太へ向かう。

 気合入れてやってるとやばそうな気がして、少しを力を抑えて突いてみる。


 ドガッ、ドガッ、バキッ! ……抑えたはずが丸太が折れた。


「すげえな、猪……いや、熊の魔獣でも相手出来そうだな」


 自分でも初めて知りました、なんなんコレは? 

 まさか、異世界補正とかじゃないよね? でも剣は駄目だったし……? 

 

 その後はミゲルから妙な称賛を受けて、顔をしかめる。

 異世界補正って言ったら、そこはカワイイヒロインじゃね? 

 オヤジじゃ、やる気が出ないんですけど。

 

 げんなりとしながら、また明日来ると言って、手を振りながら建物を出る。

 次は宿を取ってから、買い物とかしたかったんだが。

 なんか昨日から色々疲れる事ばかりだし、思考が低下してくる。

 昼食取ったら、宿でそのまま寝た方がいいかも、そうしよう。


 道行く人に場所を聞きながら、目立つ大きな宿に向かう。

 この街の規模からすれば普通なんだろうか、朝夕食付きで銀貨二枚らしい。

 もう疲れてて、宿の食堂で銅貨五枚払って昼食を摂ったら、

 夕食は要らないと言付け、思ったより硬いベットに飛び込んで、

 すぐに意識を深いところに沈めた。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇



 次の日の朝、宿の女将さんの朝食に呼ぶ扉を叩く音で目を覚ました。

 思ったより悪くない体調でベットから起きる。

 部屋の床には、昨日投げ置いた剣と袋が転がっている。

 袋はともかく、剣の扱いは気を付けないといかんなぁと思いながら、

 女将に聞いて宿の裏の井戸へ顔を洗いに行く。

 

 (あー、昨日の昼、何食べたか覚えてねぇし、パンとスーブだったか?)

 

 出てきた朝食を見たら、何か昨日の昼食とまったく同じ気がする。

 ……気のせいだと思いたい。


 女将さんに頼んで、弁当代わりに燻製肉を挟んだ黒パンを二個ほど、

 銅貨八枚で作ってもらい、宿を出る。

 冒険者組合に行った後に、街を歩いて見て廻り、色々と必要な物、

 買い揃えないといけないなと、頭の中にメモしていく。

 女神様に貰った硬貨で足りるかな?と、 

 袋を確認すると、金貨二枚、銀貨二枚、銅貨十七枚……まだ余裕だと思う。

 

 ……現実から目を背けてた訳じゃないけど、道行く人々に今更ながら目に付く。

 耳が横に長くてスレンダーな体型ってやっぱり森の人?

 美形が多くてうらやましい。

 他には、身長が低いのに筋肉でパンパンになった樽体型なヒゲ面な人とか、

 低い身長で子供みたいなのに、毛深い裸足の人とか。

 あ、でも頭の上に耳が生えた「ニャン」とか「ワン」とか「シャー」とか、

 言う人達は居なさそう、敵対種族じゃないことを祈りながら、

 出来れば、その内にお会いしたいものです、「ブヒッ」はお断りしますがね。

 

 冒険者組合の建物に入ると、昨日とは違って結構な人数の野郎共ばかり。

 補正は役に立たねぇな! と恨み言を心の中で吐きながら、カウンターに向かえば、

 ミゲルはまだ来てない様子、職務怠慢だ。

 時間潰しに壁の依頼票を見てみる、なんとなく読める文字に、


(見るんじゃない、感じるんだ)

 

 ひとりこの世界の不条理を悟りながら読んでいく。



『傭兵募集、応募の者は北へ向かう馬車へ……』

『アチク支部での常時冒険者を募集、応募の者は北……』

『王都の北部で大規模な魔獣狩りを実施、応募の者は北……』



 ふむふむ、なるほど、北が胡散臭いのね。

 ぜってー行かねぇ。北に向かうのは厳禁と魂に刻み付ける。


 時間が経つにつれ、野郎共は仕事が決まったのか、それぞれ出て行く。

 バーカウンターに居る人間も、酒じゃなく朝食のパンをかじっているようだ。

 俺は今日は買い物をする予定なので、まだ仕事する気は無い。

 もし、するとしても北以外の配送や護衛、それも人数いっぱいが良い。

 まだ獣とか盗賊、おっかないからね。


 しばらく待って、ようやくミゲルがカウンターに現れる。

 その手には銀色のドックタグみたいな紐付きプレートを持っていた。


「よう、待たせたな、これが認識板だ」


「これが新人、と言うか初級者用の物なのか?」


「いや、中級者用」


「なんで!?」ついつい声に出してツッコミを入れてしまった。


 馬鹿な! そんなイベントはやってないよ!?  

 一からコツコツとやっていこうぜ!? 


「昨日の腕を見れば分かる、早く組合の為に活躍してくれ」


 ミゲルはニヤリと……、くそぅ、オヤジのスマイルはのーさんきゅー。

 


 

やっと主人公の名前が出ました。

すぐに偽名となりましたが。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

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