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異世界に召還された三人目  作者: こたつねこ
第二章 三人目の村の生活
14/46

2-5 三人目、村の生活の協力者

予約投稿になります。


読んでいただけると、うれしいです。

 弐章ノ五 三人目、村の生活の協力者



 逃げた鹿については群れの者で追いかけて連れ戻す。村人で狩った鹿についてはどうしようも無い。今回の迷惑料と思っていただければ、と長に言われた。

 

 なんだろう。頼みごとをされてるのに、何だか脅迫されてる気がするのは。どうしてだろうね。多分、俺が一番美味しく鹿をいただいたからかな?

 

 色々話を聞いていて、帰るのが遅くなってしまった。村でも心配して待っている事だろう。とりあえず続きは明日の昼に俺がこっそり森に行くから、と言う事で話はついた。急いで村に戻らねば。

 

 狼達を手を振って見送り、村へ走って帰る。案の定、村では多くの焚き火が焚かれていて、狼の襲撃に備えている様子だった。……こちらも色々な驚く事があり過ぎて、忘れてたんだ、許して欲しい。

 

 

 村に戻ると村長や顔役、あの場に居た狩人達から心配してた、怪我は無いのか、狼の群れはどうなった? とか色々聞かれた。

 

 申し訳なくなりながらも、狼達は鹿を追っているみたいだった。俺の姿を見ても何の関心も示さなかった。俺は狼が見えなくなるまで見張りをしてた。こんな言い訳で信じてくれるか? とか心配したが、すんなり聞いてくれた。

 

 怪我が無くて良かった。お前に何かあったら申し訳ないと思ってた。とか、狩人達に涙ながらにそう言われて、お互い怪我が無くてよかった、心配かけてすまんと謝った。

 

 とりあえず村長と顔役が村の者に、今日はもう何も無いから安心して帰れと言って解散させた。俺も疲れた体を引きずって家に戻る。明日の朝、起きれるか心配だ。

 

 ……ゼピュローラに匂いを嗅がれ、どこで浮気して来た? みたいな顔された。


 ち、違うぞ! 狼だし、相手雄だし! ……雄だよね?



  ◆◇◆◇◆◇◆◇



 次の日の朝は大変だった。ゼピュローラの世話をする時に、まるで浮気して来た旦那が女房に言い訳するみたいに、丁寧にブラッシングして機嫌を取ってた。なんで俺がこんな目にあわねばならんのだ。

 

 気が重くなりながら簡単な朝食を取り、今日の狼達との話し合いを考えてた。あ、鏑矢も拾い忘れてた。はぁー、またウェイドに言って一から作ってもらわないとなぁ。怒られるかも。

 

 それから村長宅に行って、もう獣は襲って来ないだろう。しばらくは注意は必要だが、その内普段通りに戻るだろう、と説明しておいた。まあ、その前に俺が一仕事しないといけないんだが。

 

 ちょうど居た村長の奥さんから昨日の料理が残っているから持って行くかい? と言われたので、鹿の串肉をパンに挟んだ物を二個作ってもらい、昼食として布に包んでもらった。

 

 その足でそのまま森に向かう。人が居ないのを確認しながら、こっそり見張り小屋を遠回りで避けるように。見つかると説明に困るからね。

 

 誰も見てないよな、と後ろを確認しながら森に入る。昨日は現実感が薄かったから、森林狼と平気で話せていたが、今考えると失禁モノである。ドキドキしながら進んで行くと目線の先に一頭の灰色の狼が現れた。

 

 おおぅ、昼間見ると結構でけぇな。ビビリながら俺はその狼に向かって、長に会いたいと告げた。言葉分かるかな? その心配を余所にその狼は森の奥に走り去って行く。

 

 この場所で待っていれば良いのか? 奥に進もうかと悩んでいると、奥から小山のような大きな銀狼が現れ、こちらに向かって来る。カッコイイが、別の意味で失神寸前。

 

「ようこそいらっしゃいました。か……どのようにお呼びすれば?」

「あー、ケインだ。ケインと呼んでくれ。ところで長は何と呼んだら良いのだろう?」

「名前はありません。そのまま森の狼族の『長』と呼んでいただけたらと」


 さすが、『見守る者』の女神様の眷属、名前には無頓着な訳ね。

 

「では長よ、説明をしてもらって良いだろか?」

「はい、ではこちらへ」


 そう言って、少し奥にある広場へ連れて行かれ、俺に倒木に座らせ、長はその目の前に横向きに伏せ、顔をこちらに向けて話だした。……どうやら雌みたいである。

 

 

 雪が降って消え、また降るまでの時の半分くらいの前、この森の東、ここから南東方向に魔獣が現れた。それは虎の魔獣で、森を荒らし回った。その時近くに居た人間達も食い殺されたらしい。

 

 それからも少しずつ我ら森の狼族の縄張りを侵し始め、猪や熊、我らが育て増やしている鹿まで襲うようになった。我らも恐れる事無く迎え撃ったが、虎の魔獣は木々の間を飛び跳ね、逃げ回ったと。

 

 我らは一頭はともかく二頭なら負けはしない。しかし、木々の間を自由に飛び回る虎の魔獣は捕らえる事が出来ない。先日とうとう縄張り中心に居た鹿の群れを我らが手薄の時に襲われ、そのまま鹿の群れを北へ逃がす事になってしまった。

 

 ちょうどその時に、鹿を追いかけていた我らの一頭が村の川近くで神様の光を見たと、それが俺と言う事だった。──あちゃー、見つかったのかぁ。

 

 それはともかく、少し聞いて見た。虎が襲った人間達は村に住んでた人々だろうか?

 

「いえ、その者達は森の中で襲われた後だったそうです。群れの者に聞きましたが、その前から南の村には人間は見なくなっていたと」


 うーん? もしかして、虎に食い殺されたのは南の村を襲った盗賊だろか。それなら南の村人の敵討ちになって問題ない? 俺は微妙な気持ちで考えた。

 

 まあいい。どちらにしても過ぎた事だな。

 

「鹿の後に熊が出たのはどうしてだ? 長達が来る前に熊が出たんだが」

「恐らく虎に追われて逃げていたんでしょう。虎も好んで熊を襲いますから」


 熊肉を好んで喰らう虎か、想像したらおっかねぇな。

 

 どうやら狼達も熊を食べるらしい。たまに食べると歯ごたえがあって旨いとか。周りに居た狼達がウォフウォフ言って同意してる。……そのおかげで村は平和です?

 

 それから今でも森の狼が何頭か、鹿を追って連れ戻してる最中とか、他にも森の周辺で虎が村を襲わないように見張っているとか。ホントありがとうございます。

 

「さて、それでケイン様にお願いがあります。我らと一緒に虎を退治していただきたい」


 ──まあ、そうなるだろうとは思ってた。話をしてみると森の狼達に悪い感情は持たないし、女神様に関係して親近感も有るし? 村も助かってるみたいだからね。

 

「それは良いが、その方法は? 俺が考えてもいいのか?」

「我らではもう、どうしたら良いのか分からなくて困っていたのです。虎は狩りの力は我らと同じか、それ以上。我らに出来る事は虎がどの辺りに居るのか分かる程度でして」


 ふむー、虎の位置は狼達に教えてもらえる。狼達は二頭なら怖くない。虎は木々の間は自由に動ける。熊が好き、いや熊肉か。

 

「熊肉は生餌じゃないと駄目なのか? 肉だけじゃ喰わないのだろうか?」

「我らは自分達で獲った肉しか食べませんが、虎はその限りではありません。我らの獲った熊の肉でも掠め取る事がありました」


 なるほど。もしかして使えるかも知れんな。それで作戦を考えようか。とりあえず準備するから今日はこれで帰ると言って、狼達に大体で良いから虎の場所の特定を頼んだ。

 

 帰る時に、群れの一頭が無くしたと思った鏑矢を持って来てくれた。壊さないようにそっと咥えた姿を見て、思わず硬い毛皮を撫でた。……尻尾を振るんじゃない!

 

 これも使えば何か出来るかも知れない。作戦に組み込もうと思う。


 さあ、明日は虎退治だ。

 

 

※ 実際の虎は自分で狩りをした獲物を少し古くなっても食べる程度らしいです。


ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

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