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イベントがあるごとに書いてく短編集  作者: もげラッタ星人
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Halloweenの奇跡〜前編〜

200年前のあるハロウィンの日に魔女に魔法をかけられた男が何かを探して旅する日々の中に

2016年のハロウィンの日に出会った女が彼を変えていく。


始まり

一年のうちにはいろんな心踊る行事がある。お正月、バレンタインデー、節分、ホワイトデー、ひな祭り、こどもの日、七夕、ハロウィン、クリスマスなどなど。そんな一年の中でもハロウィンは僕の中でワクワクする一日だ。バレンタインデーよりもクリスマスよりもワクワクするんだ。

そしてついにハロウィンの日がやってきた。一年の中で最も素晴らしい日が!

ああなんて素晴らしい1日になることだろう。日付が変わるまであともう少し。胸の高鳴りが収まらない。

この感動を誰に伝えようか。さあ素晴らしい一日のはじまりだ!



ハロウィンマンのお話

私はハロウィンマンと呼ばれている。いつからそう呼ばれていたかはわからないが、

私は元は人間だった。

200年前から世界を歩き回っている。200年前のハロウィンの日にいたずら好きの魔女に魔法をかけられた。

あるものを見つけるまで死ねないという魔法を。

最初のうち私は探し物は得意だからすぐ見つかるさ、と意気揚々と出かけていった。まずは、身近な場所から、次にとなり村、次に街、次に国全体へとどんどん範囲を広げていった。しかし、探し物は見つからなかった。一度自分の村に帰ることにした私は村についた時ある変化に気づいた。

村人たちが全て見たことない人ばかりだった。村を間違えたかと思い、農耕具を持つ

村人に尋ねたがやはり間違えてなかった。自分の家があったところに行くと、私は呆然と立ち尽くし力なく

座り込んでしまった。家族はもういなかった。そこにあったのは寒々とした空き地だった。

私は心の中で何かが崩れ落ちるのを感じた。とても大事な何かが。

それは、人間としての感情を削り取ってしまった。家族への悲しみももはや消えてしまった。

私は、それから世界の全ての国々を歩くことにした、抜け落ちたものを代わりのもので埋めるように。

魔女の探し物など、どうでもよかった。もはや死ぬことの許されない肉体は疲労さえも忘れてしまった。

10年、20年、50年、100年、200年と経ったが、何も見つかりはしなかった。

ハロウィンをこよなく愛していた私の幼い心は死にたがる大人の心へと変わっていった。

この青い星を何周したことだろうか。行ってみたかった都市は、ただの通過点だった。

私は、生きていく中で何度も都市や町の名前が幾度も変わるのを体験した。

私は、ハロウィンになると頭がかぼちゃになることに気がついていた。そして、今日水たまりにかぼちゃの

頭が写っているのを確認した。

時代の移り変わりは激しい。松明の光で照らされていた街並みは電気によって照らされ、歩いて移動して人々は鉄の箱に乗って移動するようになていた。

鉄の箱は人に当たると、一片の慈悲もなく生命を奪っていく。

それなのに、人々は乗り続ける。自らの命を奪う死神に。

また、ハロウィンになると血まみれの格好をした人々が何やら薄い鉄板でしている。

私はその人々を見ると、複雑な気持ちになる。

そしてハロウィンの今日朝から血まみれの人々があちらこちにまた見れる。

街行く人々は、その人たちが見えていないように足早に先を急いでいるようだった。

私の今の格好はかぼちゃの頭にボロボロの服だった。血まみれの彼らのように私もまた同じように

無視をされていく。200年の間、生きてきた私は気にもとめず、何かを探して歩く。

そんな中私はある女に出会った。その女は私の外見などいとわないように話しかけてきた。

「あなたはハロウィンが好き?」

幼さが残る笑顔は何か惹きつけられるものがあった。永く乾いていた私の心が潤うかのような感じが

背筋を撫でた。私は何を思ったかは分からなかったが、私は

「ハロウィンが好きなように見えるか?」と冷たく言い放った。女は少しも怯えることなく。

「ええ、その頭から見てとても好きなように見えるわ。」

微笑みながら、私の方に近づいてくる。

「あなた、私のところに来ない?」

「は?」

素っ頓狂な声が思わず出てしまった。これが私とあいつとの出会いだった。

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