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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

転生したら私はゴブリンだった。

掲載日:2015/08/24

生まれたぞーい!ドドーン!!!!

ヒャッホーイ!


あ、どもども。

私はカンナと申します。

ついさっき、日本人としての生を終えまして。


神様が直々に会いに来た上に、特別に労いの言葉をいただいて、美少女にして貰って

異世界に転生させてもらった

【特別な、スペシャルな、唯一無二の存在】

カンナちゃんでーっす♪


凄いでしょう?

凄いでしょう?

私は神様から直接労いの言葉を貰える位に素晴らしい存在よ!







なんて思ってた時期もありました。


ね。黒歴史ね。

特別な存在だから転生とかじゃなくてさ、普通に転生なんだよ。

生物は全て。

んでもって、神様が直々に来たのは、魂達の調節のために皺寄せが私に来たから。

来世で大変な思いをさせるからの労いの意味だったとかね。

マジね。

ありえねー。


最初はさ、生まれたてで目が開かないから姿は見えないけど、暖かい両親の愛に包まれて育ったんだよ?


でもさ、誰が想像できるかな?

目を開けた瞬間に、

「目を開けたわ!私達の可愛いベイビー!」

なんて叫ぶゴブリンがドアップでこっち見てるとかさ・・・。

叫んで泡吹いて気絶した私は悪くない。


そう、私はゴブリンに転生してた。

両親もゴブリン。

そう、一生付き合う顔がゴブリン。

マジね。自分の顔を水辺で見るたびに

【化け物!】

って気絶しそうになる私は15歳になった今では、もう通常運転です。


目を開けた瞬間に気絶してから、ゴブリンとしての生を受け入れられる様になるまで、私は毎日、気絶した。

母親の顔を見ては気絶し

父親の顔を見ては気絶し

兄弟の顔を見ては気絶し

見舞いに来た親族を見ては気絶し

お隣さん家族を見ては気絶した。


おかげで、私はゴブリンの集落では

【体と気の弱い病弱な女の子】

という存在になった。

幼かった私は言葉がまだ喋れないから助かった。

「化け物ー!」

「ギャーキモイ!!」

「来るな、近づくなー!」

と怒鳴っていたなど知られたらマズイ。



しかもさ、私、神様に美少女にされちゃってるのよね。

ゴブリン基準での。

そう、ゴブリン基準での美少女。

分かる?

人間じゃなくて、ゴブリンとしての美少女!!

《骨の目立つ頬骨》

《骨の目立つ指》

《アバラ骨の目立つ腹部》

《薄くて鮮やかな緑の皮》

《大きいのにひし形みたいに変形してる瞳》

《裂けるように大きな口元》

マジ、美少女なんだってさ。

どう考えても化け物だろ?

そうだろ?

神様、私が嫌いだったんだろう?

私が前世で大罪人だったんじゃねーの?


マジでさぁ、勘弁してよ!


化け物みたいな顔を持って産まれてきただけでも前世を恨むくらいにショックなのに、

他のゴブリンからモテモテとかフザケンナよ!!


15歳になって婚期に入った私には毎日の様にプロポーズの言葉が降り注ぐ。


「目が潰れそうなくらい可愛いね」

「君のためならオークと戦える」

「その瞳にずっと俺だけを映していてくれ」

「俺の子供を産んでくれないか?」

「俺と子作りしようぜ」

「死んでも側にいて欲しい」

「一生、家で一緒にすごそう」


とか。

なんか、ゴブリンにもヤンデレがいるんだけど!?


実力行使とか有りそうでガチで怖いんだけど!?


しかも、親も弟たちが残ってるからって、さっさと嫁に行けって感じなんだよね・・・。

すぐに気絶して役に立たない娘はとっとと別の野郎に養って貰いたい的なさ。

生まれた時からの愛情は既に薄れてるみたいだね。

ママン。パパン。


そんな方々をどうにか丸め込みつつ、平和な日々を過ごしていたら今日、洞窟で大変な目にあってます。


そう。

パパンとママンに連れてこられた洞窟で。

待っていたのは集落の未婚の男達。


誰でも良いから、選んで子をなして、嫁げと。


洞窟の扉は無情にも、集落の長とパパンとママンによって閉められた。

泣けた。

今世での母親と父親に捨てられたのだ。

もう、とっくに愛など無いのだろう。


なんて悲しんでる場合じゃない。

後ろには野獣、いや、ゴブリンの男ども。

こいつらをどうするかだ。


もう、いっそ戦ってやろうと思った。


が、

突然、閉められたはずの洞窟の扉が開いた!

パパンとママンが助けてくれた!

そう思った。

「オークの大群だ!全員、戦闘準備!」


と中にいる若い男どもに声がかかり、全員が走って持ち場に戻った。

助かった。

のか?

オークの大群ってやばくね?


今世は超ハイパー鬼畜モードなんですか?


もういい!

私は一人で生きていく!

ゴブリンが最弱!?

知ってるわ!んなもん!

でも、しょうがないでしょう!?

親にも見捨てられて、ゴブリンに嫁いで

だったら、今世はもう自由に、希望にかけるわよ!



集落とは反対に走って走って走って。

途中で手頃な石を拾って、服を裂いて先の方に包み込んで、即席武器にする。

遠心力を使っての投擲武器としても、ハンマーとしても使えるだろう。


そして歩き続けた深夜。


朝日が上る頃に、懐かしい言葉が、女の子の叫び声が聞こえた。

「いやぁぁぁぁ!!助けてぇぇ!!パパ!!」


気付けば私は走っていた。

足は痛いのに、もう限界なのに。

そして見えたのは、2匹のウルフに囲まれてる親子。

父親は既に足を怪我して動けず、娘を必死に体の下に隠していた。


私は激昂した。

私はパパンに見捨てられた。

なのに、この父親は娘を命懸けで守ろうとしてる。

この父親の愛は本物だ。

しかも、この父親、私の前世での父親にそっくりだ。

ならどうするべきか?

決まってるだろう。

犬っころをぶっ飛ばす!!!!


まず、闇に乗じて後ろから

ウルフの頭に即席石ハンマーを体全体を回転させて体重を乗せて、強打!!!

うわぁー。

エグい。


そして振り返ってきたウルフに向かって、即席石ハンマーが火を吹くぜ!!


そして倒れるウルフが2匹。

あれ?私、集落の戦士より強くね?


ま、まぁ、いいや。

とりあえず、女の子と父親に近づいてみると、父親は意識が朦朧としているのか、私に

「娘を、娘を、村、まで・・・すぐ、近く、に村が、、、」

なんて言って気絶した。

私が人間に見えてんの?

思ったより重症じゃない?


なんて見守ってたら、女の子が叫んだ

「助けて!パパを助けて!お願い!」

なんて言う。

え?

ゴブリンに頼むのかい?

少女よ。それは無理があるだろうよ。

まあ、普通ならね。

乗り掛かった船なので、私は力を貸す事にする。

馬が逃げた馬車の荷台から水の壺と、清潔な布。

そして嗅いだことのある薬草。

集落では傷薬、痛み止として使われてたやつ。

これを取って降りた。


父親のズボンの布を切り裂き、傷口に水をかけて、清潔な布で拭き取るのを数回繰り返し、薬草を噛み潰して塗り込み、清潔な布で傷口を覆う。


そして荷馬車を確認して、少ない荷物を全て降ろし、幕や馬が引く部分の不要な部品を外し、板に車輪が付いている簡素な状態まで分解してから、女の子を父親の下から引きずり出した。

そして伝える


「チャ、チャチャ、チャチャオヤ、ノ、ノセウ、ヒク、フタウ、フタリ、ヒク、ムラ」


難しい。

父親を荷台に乗せて二人で引いて村に行くぞ!

って意味なんだが、伝わったか?少女よ。


「パパを乗せて、私と、あなた、で連れて、くの?分かった!分かった!私、道分かる!お願い!助けて!」

泣きながら頼む少女。

いや、だから助けるって。

「イソグ、イソグ、フタリ、ムラ、イク」

そして二人で引きずる父親。

すまん(笑)

二人じゃ持ち上がらなかったわ。


そして二人で解体されて軽くなった馬車を引く。

思ったより、軽く進むので助かった。

村についたのは30分位歩いた頃だった。


村の門番が私達に気付いた

「おい!どうし、・・・ゴブリンだ!!集まれ!ゴブリンが来やがったぞ!!」


あ、マズイ。

私、ゴブリンでした。

少女も巻き添え食うんじゃないか?これ?

と思ったら、この少女、凄かった。


「パパを助けて!この妖精さんがウルフから助けてくれたの!でも、傷が酷いの!パパを助けて!パパを助けて!妖精さんが助けてくれたの!」


って、近寄ってきた皆、ポカーンですよ。

ゴブリンが妖精さんって。

少女よ。

それは無理があるだろうよ。


まあ、私は両手を挙げて降伏のポーズをしておこう。ついでに

「イソゲ、イソゲ、チャチャオヤ、キゼツ、アシ、キル、ヤクソウ、ダケ、イソゲ、チ、ナイ」

おら、急げよお前らー。足切ってんだぞー。出血多いからヤバイぞー急げよー!


そしたら驚く村人、そしてパパを助けてと泣き出す少女。

そら、助けますわな。

んで、私の扱いなんだが・・・。

少女が私を離さない。

有り難うと、妖精さんを繰り返してな。


父親は治癒魔法で助けられるらしい。

が、この村には今、そこまで魔力が高い人間がいないらしい。

なんだよもー!

助け損かよ!

と思ってたら、また少女が

「助けて!妖精さん、力を貸して!」

って、だから、それ、ゴブリンに頼むことじゃないってば。

今回ばかりは無理だろう。

と思ってたら、村人がザワザワしてる。

何?なんか、見られてる?


「こいつなら、俺らより魔力あるから大丈夫じゃないか?」

「馬鹿言うな!ゴブリンに魔法なんて教えられるわけないだろう!」

「いや、治癒魔法だけならいいんじゃないか?」

「行商さんはうちの村の大切な恩人だしなぁ。この人を助けるためなら」

「ゴブリンが群れに帰ったらどうするんだ!?討伐しても回復されるんだぞ!?」


そうですよねー。

「私が飼うもん!私が、責任もって、パパと一緒にこの妖精さんを飼うから!」


って少女よ。

お前、私をペットとして飼うつもりか?

妖精さんを飼うつもりとは、恐れ入るぞ。

少女よ。


その言葉に後押しされたのか、村人の恩人であるらしい少女の父親を助けるために、治癒魔法を教えられました。


魔方陣を正確に書き写して、その上に父親を乗せて、完治をイメージ。

そして呪文を唱えると・・・。


あー。

治ったね。

結構、体がダルいんだが。

一応、治ったみたいだね。


喜ぶ少女。

ちょ、お前、気絶した父親の顔を叩いて起こすとか、鬼畜か!?


「パパ!パパ!良かった!治ったのね!あのね、この妖精さんが助けてくれたの!この妖精さん、今日から一緒に暮らすからね!」


と、父親の前に出される私。

驚く父親。

しかし、頷く村人。

そして、私と会ってからの出来事を事細かに語る少女。

少女よ。だから、妖精さんは無理があるだろうよ。


だが、父親は私を妖精さんとして納得した。

【小さな緑の服を着た少女が助けてくれたと思っていた。】

と私が助けた事を朦朧としつつも覚えていたらしい。

おかげで、私は村人達にも妖精さんとして認定された。


だが、これだけは言っておかねばなるまい。

「ワタシ、トクシュ、ゴブリン、テキ、チカク、ダメ。ゴブリン、ダメ。ワタシ、ヘン。ワタシ、ゴブリン、チガウ。ワタシ、ニンゲン、スキ。」

そう。普通のゴブリンは敵だ。近寄るな。

私は変種だ。特殊だ。人間好きだぞー。害はないよーと。アピール!!!


そして、私は今日も村で人間と生きる。

時々、治癒魔法を頼まれ、

火の魔法を教えられて宴の火起こしを頼まれ、

土の魔法と水の魔法を教えられて貯水地を作る手伝いをし、

木の魔法を教えられて家造りや、橋造りを手伝い、

光魔法を教えられて作物がよく育つように調節を手伝い。



なんか、すげえ使われてます。

でも、そのおかげで私は今日も村で妖精さんと呼ばれる幸せな日々を過ごしている。

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