1月4日 森を探検 (1)
うっすらと雪が残る人気のない森の中に、女の子のかわいらしい歌声が響きます。
「ユウが女の子らしいところを見せるなんて珍しいね。歌うときはちゃんと女の子の声なんだね~。もしかして、普段無理してる?」
さっきまで歌っていた女の子、ユウに寄り添う猫がユウよりも少しだけ高めの、幼い子供のような声で問いかけます。
「むぅ…トパーズはいつでもおしゃべりだよね」
町に出かけた次の日、ユウは一晩中悩んで黒猫にトパーズと名付けました。黒猫の綺麗な瞳はたしかにトパーズのようです。
「私が猫なのにしゃべる理由は”おしゃべりが好きだから”ってくらいだからね」
どこか誇らしげに宣言するトパーズに
「そんな理由でしゃべれたら、世の中にしゃべる猫がたくさんいると思うけど…」
ユウは冷静に指摘します。そんな会話をしながら、二人は森を散歩中でした。雪が少し残るような森の中をワンピースだけという薄着で歩くユウは、他の人から見たら不思議に見えるかもしれません。
「そろそろ、引き返す?」
「トパーズから帰りたがるなんて珍しいね」
たまに森を散策するときは、いつもユウの方から帰ろうと言い出します。
「べつに、今すぐ帰りたいわけではないけどね。さっきから、なんとなく人がいたような気配がするから」
「…変なこと言わないで欲しいな」
トパーズが辺りのにおいを嗅いでいるのを見て、ユウも落ち着きを無くきょろきょろと辺りを見回します。
「べつに、お化けとかそういうんじゃないよ?どちらかというと、ユウの方が幽霊とかに見えそうだし…」
「それなら早く言ってよ…」
「ユウ、もしかしてお化けが怖いの?」
クスクスと笑いながら問いかけられ、ユウは言葉を詰まらせます。
「可愛いところあるんだね~」
「うるさい」
からかうトパーズを軽く叩き、急ぎ足で引き返します。
「日が暮れるから、そろそろ戻ろう」
「やっぱり怖いんじゃないのー?」
トパーズの問いかけに、ユウは答えません。
「じゃあ、今度また見に来て見ようよ」
「やだ」
「やっぱり怖いの?」
この場所が気になって、また来たいと思っているトパーズに乗せられていることに気づかず、ユウはそんなことない、今度またこよう。と答えました。
「じゃ、今日はてっしゅ~!」
元気の良く宣言するトパーズを置き去りにして、ユウはもう歩き去っていました。
「あっ、置いてかないでよ~」
森にトパーズの声が響き、また静かになりました。
ユウたちが歩いてきたところから少し進めばこの森に住む少女が使っている小屋が見えることは、2人共知りませんでした。はりきるトパーズに連れられたユウがその小屋を見つけるのは少し先の話です
随分遅くなってしまいましたが、更新です!
近々、桜月りま様の所の雪姫さんとコラボしたく、今回は小屋だけお借りしました!
ようやく黒猫の名前を出すことが出来ました!次の更新は早めに…できるといいなっ(出来る限りがんばります!)