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12月29日 うろな町でびゅー?

「今日こそはでかけようよ!」


朝、元気な声が屋敷に響きます。


「急がなくても町は無くなったりしないよ」

「そう言って、ずっとでかけてないじゃん!」


外に出ると決めてから一ヶ月ちょっと手前。ユウは黒猫をあの手この手でごまかして、結局屋敷から出ていないのでした。


「あ。もしかして、外が怖いとか?」

「それはない」

「じゃあ、出かけてもいいじゃん」

「うぐ…」

「大丈夫だって、準備は私がしておいたから!」


黒猫はどこからもってきたのか、色々なものを取り出します。


「…これ、世界地図?」

「迷子にならないようにってね」

「これは…鈴?」

「熊避けに使うんじゃなかったっけ」

「ええと…これは?」

「野営セット。テントと寝袋、着火材、その他色々だよ」

「これ、何か違うと思う…」


でも、どこかズレているようでした











町が見えてきた辺りで黒猫が口を開きました。


「ふぅん、あそこが町かー」

「来たことがあるんじゃないの?」


ユウが首を傾げます。きょとんとした表情(猫なりに表情を変えて)で、知ってるだけで実際に来たことはないと答えた黒猫にふぅん、とだけ答えて、のんびりと歩きます


「あ、ここから私はしゃべらないからよろしく」


ふと、黒猫が気がついたように言いました。猫がしゃべるのは普通ではありえないこと、人に見られたらややこしいことになるから、と簡潔に説明をしてそれっきり猫はしゃべりません。ユウが話しかけても「にゃー」とわざとらしく猫の真似をするだけな黒猫を、ユウはため息を吐いて追いかけました。








「ええっと…ここからどうしよう?」

「にゃー」

「それはもういいから…」


町について、ユウはまず最初に食料の売っていそうなお店を探しました。黒猫に話しかける男の子(服装や髪型は男の子のように見えます)に、町の人が不思議そうな顔をしますがそんなことは気にしません。


「どこに行けば食べ物が売ってるのかな?」

「なーぅ、うにゃー」


町を歩き回るユウが商店街に着くまでには、もう少しかかりそうです。










「なんとか欲しい物を買えたね。親切なおじさんがいて良かったよ」

「にゃーぅ」

「それはもういいでしょ」


夕方、日が暮れて薄暗い森の中。ユウたちはなんとか買い物を終えて、今は屋敷に戻る途中です


「天狗の仮面をかぶった不審者相手に対応できたユウはすごいと思うよ」

「あれでも緊張してたんだけどね…」

「表情、固かったもんね~。無表情で、人形みたいだったよ。あ。でも他の人の前でも同じような感じだったっけ」


からかうようにクスクスと笑う黒猫を連れて、ユウはむすっとした表情で歩きます。


「町でもそんな風に表情見せれば良かったのに。ユウは美形なんだからさ、男装とかせずに笑顔でいれば、もてると思うよ?」

「興味ないからいい。それと、男装してるつもりはないよ」

「それなら、自分は女の子ですって言えばいいのに」

「面倒だからいい」


そんな会話をしながら歩いていましたが、ふとユウが立ち止まりました。ユウのすぐ後ろを歩いていた黒猫はユウにぶつかって文句を言いましたが、全く気にした様子もなく口を開きます。


「そういえば、キミの名前、聞いてなかったよね。なんていうの?」

「いまさら?…まぁ、いいや。私には名前なんてないよ。必要もなかったしね」

「ふぅん…なら、今度考えておくよ」

「へ?」


黒猫が聞き返したのを聞いているのかどうなのか、返事をせずに歩き出します。


「あ、待ってよー」


薄暗い森に、黒猫の声が響きます。その声は、どこかうれしそうにも聞こえました。

今年初の投稿です!

随分と間が開いてしまいましたが短いです。申し訳ありません…お正月は遊んでました!もう一度言います、遊んでいました!進行が遅いのはコレが原因です!ごめんなさい!

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