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12月6日 「町へ行こうよ」

「…お腹空いた」


「だから昨日起こしたのに…」


早朝、日が昇り始める時間にユウは目を覚ましました。


「昨日の昼も食べてなかったよね?」


黒猫の問いにユウは少し考えるような素振りを見せて、


「そういえば昨日の朝と…一昨日の夜も食べてなかったっけ」


と、いつもの調子で答えます。その後、「あ、一昨日の昼もだったかな…」とつぶやいていましたが、黒猫は聞かなかったことにしました。


「私が来てから、何か食べてるのを見たことがないんだけど。実は光合成でもしてるとか?」


「それはない。だから…お腹が空いて力が入らない」


ユウは力なく呟いて、壁にもたれ掛かります。


「…はぁ…早めに食べておけばいいのに。食べ物はどこに置いてるの?」


「地下の倉庫」


「あっ、待ってよー」


黒猫はさっさと歩いていってしまうユウをとてとてと追いかけます。








館の地下には、たくさんの箱や袋が置いてあります。あまりにも数が多いので、ユウが中身を知らないものもあります。


「へぇ、随分広いね。で、食べ物が入ってるのはどれ?」


ユウは黒猫の問いには答えず、入り口近くの箱を開けました。箱の中には少し古そうな小袋に入ったビスケットのようなものが半分くらいまで入っています。


「いかにも保存食って感じだね。ずっとこればっかり食べてるの?栄養とか大丈夫なのかな」


「ちゃんと考えてるよ」


隣の箱を開けると、そちらにはビタミン剤が入っていました。











「やっぱり、不健康だと思う」


朝食の後、黒猫が不満げに呟きます。


「大体、あのビスケットは何さ。甘くもないし堅いし…」


「猫が食べても平気なの?」


「それは、私は普通の猫とは違うからね。人間と同じものを食べても平気…って、そうじゃなくて!」


少し誇らしげに話す黒猫でしたが、すぐに話を戻します。


「あんな食事だと、不健康だし、味気ないと思う。ってことで町に行くよ!」


「…へ?」


突然の宣言に、ぽかんとするユウを気にせず、黒猫は話を続けます。


「この近くに町があるから、そこまで食べ物とか買いに行くよ!」


「あまり行きたくないんだけど…」


「町には色々あるよ?服を売ってる店とか、レストランとか」


「…気になるけど、お金がない」


「お金は倉庫にあったのを見たけど?」


「うぐ…」


ユウが反論するものの、あっさり説き伏せます。


「せめて準備を…」


「準備なんているの?」


「部屋の整理と、外出用の服探し。あと、鍵も探す。この家、広いから時間がかかるから」


「はぁ…家が広すぎるのも考え物だね」


少し町のことが気になり始めていたユウは、呆れたように呟く黒猫と一緒に捜し物を始めるのでした。

次回は町に出させたいです・・・!

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