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⑺『数秒の電気霧』
⑺『数秒の電気霧』
㈠
電気霧が、本当の霧の様に、人生を暗くしてしまわない様に、俺はなるべく、歩くことにしていたが、それでも、足への痺れは、一向に治る気配を見せない。不可思議なものだ、俺は一体、何故こんなことになってしまったのだろうか。
㈡
しかし、数秒だから、安心して居られる、病院へも行かない、そして、この小説を書いて少し経つが、少しずつ、ほんの少しずつではあるが、痺れが治まってきている様に感じるのだ。電気霧は、而して、晴れてくれるのだろうか。
㈢
いや、どうだろう、分からないな。ただ、如何にも、電気、と言う言葉は適切ではなくなったと思う。電気というよりは、電流というか、痺れというよりも、少しの痛みと言う感じで、俺は少しずつ、安堵している、という訳なのである。