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鹿児島娘 VS 沖縄娘

「メンソーレ!」


──どうしました、イチローさん。


「沖縄と言ったらメンソーレですからね!」


──そうですね。


「ちなみに鹿児島では『おじゃったもんせ』と言うらしいですよ」


──ああ、そうなんですか。


「おじゃったもんせ!」


──いつになくテンションが高いですね、イチローさん。


「ええ、もちろんです。ラストの戦いですからね。爪痕を残したいんですよ」


──(あ、爪痕って言っちゃった!)イチローさんならいろいろやらかしてるからもうバッチリだと思いますよ。


「あ、そうですか。それはよかった」


──(褒めてないんだけどなあ)さあ、イチローさんの爪痕問題は置いといて、いよいよ第一回戦ラストの試合となりました。残るは鹿児島娘と沖縄娘の対決です。この二人の戦いはいかがでしょうか。


「ラストの戦いに相応しいと思いますね。なんといっても鹿児島娘と沖縄娘は全都道府県娘の中でも群を抜いた強さですから」


──そうなんですか。


「まず鹿児島娘はですね、剣豪として有名なんです。気に入らない者はすべて斬り伏せるという習性をもっています」


──それは大変やっかいな習性ですねー。


「大変やっかいですよー。しかも相手を斬り伏せる時、『チェストー!』と叫んで斬り伏せるので、ついたあだ名がチェストざむらい・鹿児島娘」


──ださっ。そのあだ名を付けた人が斬り伏せられてなければいいのですが……。


「ですが本人はそのあだ名が大層気に入ったらしく、技名にも取り入れてしまってまして。【一刀入魂・チェストザムライ】という必殺技まで身に着けております」


──あ、気に入ったのならいいですね。対する沖縄娘はどうでしょう?


「沖縄娘はまさに太陽の申し子とも呼ばれている娘でして、あの前人未到の10連覇を成し遂げている北海道娘がライバルと宣言するほどの娘です」


──なんと! あの北海道娘がですか。


「北は北海道娘、南は沖縄娘と言われてますからねー。全都道府県娘が認めるライバルといっても過言ではないでしょう」


──剣豪・鹿児島娘に太陽の申し子・沖縄娘。確かに想像するだけで楽しみになって参りました。さあ、両者の入場です! まずは鹿児島娘。ご覧ください、桜島の形の笠をかぶった素浪人のような娘が登場して参りました。


「おいどん芋を持っていますね」


──これは武器なのでしょうか? 食べ物なのでしょうか?


「武器ですよ」


──武器なんですか? おっと、両手に持ったおいどん芋をおいしそうにパクリと一口。


「あ、食べ物でした」


──適当に答えないでください、イチローさん。


「てへぺろ」


──さあ、対する沖縄娘は……。


「沖縄の民族衣装・琉装で登場しましたね」


──さすがは沖縄娘! 太陽のような天真爛漫な笑顔をふりまいています!


「思わず踊りたくなる美しい模様が入った素晴らしい衣装です」


──あの手に持ってるのはなんですか?


「唐傘ですね。沖縄は日差しが強いですから」


──ああ、日傘ですか。


「ちなみに重さは100㎏でコンクリートに叩きつけるとコンクリートが割れます」


──(それ日傘じゃなくない?)お、恐ろしいですねー。


「ええ、沖縄娘は決して怒らせてはいけません」


──さあ、そんな両者が向かい合いました。それでは鹿児島娘 VS 沖縄娘、バトル開始です!




カーン!




──まずはやっぱり鹿児島娘! 手にした日本刀で「チェストー!」と叫びながら斬りかかりました!


「さすがはチェスト侍。猪突猛進ですね」


──対する沖縄娘、唐傘を開いて迎え撃ちます!


「あれで防ぐようですね」


──だ、大丈夫でしょうか? 遠目からは普通の日傘に見えますが?


「ああ見えて頑丈な唐傘ですから大丈夫でしょう」


──鉄か何かで出来てるのですか?


「さとうきびです」


──さ、さとうきび?


「沖縄といったらさとうきびですから」


──(それ、大丈夫じゃなくない?)とにもかくにも沖縄娘派あの唐傘で鹿児島娘の日本刀を防ぐようです! さあ、見事防ぎきることができるのか!




【一刀入魂・チェストザムライ】!!




──出たーーーー! 鹿児島娘の必殺技、一刀入魂・チェストザムライ! 剣戟の風圧がこちらまで届いて来そうだ! たまらず唐傘が叩き割られました!


「これはすごい! 沖縄娘の唐傘を叩き割るとは!」


──さとうきびですからね……。しかし沖縄娘、鹿児島娘の攻撃を難なくかわしてます!


「さすがは沖縄娘。なんくるないさーの精神ですね」


──さあ、今度は沖縄娘の反撃だ! 緑色のみかんのようなものを取り出しました!


「あれはシークワーサーですね」


──シークワーサーですか?


「ええ、シークワーサーです。沖縄名産の果実です」


──それは知ってますが……あれをどうするのでしょうか。


「どうやら【シークワァーシャーシャワー】を放とうとしてますねー」


──シークワーサーサワー?


「シークワァーシャーシャワーです。発音が違います」


──あ、大変失礼しました。それでその……シークワァー? シャーシャワー? がなんですって?


「沖縄娘の必殺技なんですよ、【シークワァーシャーシャワー】」


──そうなんですか。どんな技なんでしょうか?


「シークワーサーの果汁を凍らせて一気にシャワー状にして攻撃する技です」


──こ、攻撃なんでしょうか? 普通に食べてみたいのですが。


「食べないほうがいいですよ。すさまじい威力ですからね」


──あ、そんなに強力なんですか。


「ええ。無数のシークワーサーが氷の塊と化して飛んできます」


──な、なるほど。無数の氷の塊が飛んでくるとなると恐ろしいですね。


「鹿児島娘がどう防ぐか見物みものです」


──さあ、そうこうするうちに沖縄娘が取り出したシークワーサーがどんどん氷の塊と化していきました。


「あれでぶつけられたらたまったもんじゃありませんね」


──そして狙いを定めた沖縄娘。両手を前に突き出して発射の構えを見せております!




【シークワァーシャーシャワー】!!




──出たーーー! 沖縄娘の必殺技、シークワーサーサワーーーー!!!!


「シークワァーシャーシャワーです。発音が違います」


──あ、大変失礼しました。さあ、そんな氷の塊を鹿児島娘はどう対応するのか!?




【おいどん芋、あついでごわす斬り】!!




「出ました! 鹿児島娘の熱い攻撃、【おいどん芋、あついでごわす斬り】! ふかふかにふかしたおいどん芋が熱すぎて鹿児島娘が斬り捨てたという伝説の大技です!」


──ダサい! 限りなく技名がダサい! そして技の由来もダサい!


「しかし氷の塊である【シークワァーシャーシャワー】には絶大な効果がありますよ」


──な、なんとー! 鹿児島娘に襲い掛かる氷の塊を片っ端からその熱い攻撃で溶かしています!


「熱血ですね」




【シークワァーシャーシャワー】!!




──あーーーっと! 畳みかけるようにシークワーサーサワーを放つ沖縄娘ーーーー!


「ですからシークワァーシャーです」


──さすがに連続のシークワーサーサワーには対処ができません、鹿児島娘! 襲い掛かる氷の塊をまともに食らったーーーー!


「ですからシークワァー……(以下略)」


──さすがに鹿児島娘のおいどん芋の熱さはシークワーサーサワーには効かなかったようですね。


「ですからシーク……(以下略)」


──いやー、ラストに相応しい対決でした。


「聞いて!」




×鹿児島娘 VS 〇沖縄娘 【決め技:シークワァーシャーシャワー】

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