佐賀娘 VS 長崎娘
──いよいよ第一回戦のクライマックスが近づいてまいりました第二十二試合。佐賀娘 VS 長崎娘の対決ですが、いかがでしょうイチローさん。
「この対決も先が読めませんねー。佐賀娘といったら吉野ケ里荒野のガンマン、長崎娘はくんち拳法の使い手と言われてますからね」
──吉野ケ里荒野のガンマンに、くんち拳法の使い手ですか。
「要するに銃 VS 拳の対決ですね」
──それは面白そうですねー。どんな技を持っているんですか?
「まず佐賀娘は【吉野ケ里イッセキ・二丁拳銃】を使います」
──吉野ケ里イッセキ・二丁拳銃。ダジャレ感が半端ない!
「とはいえ、強烈ですよ。ただでさえ凄腕のガンマンなのに、二丁も持ってるんですから」
──あ、だからイッセキ・二丁拳銃なんですね。
「ええ、一石二鳥です」
──対する長崎娘はどうでしょう。
「長崎娘も強いですよー。日本で一番のカンフーマニアと言っても過言ではありません」
──あ、拳法家ではなくカンフーマニアなんですか。
「ええ、それはもうこちらが引くぐらいのカンフーマニアです。頭おかしいんじゃないかってほどのカンフーマニアです」
──そ、それは言い過ぎだと思いますが……。でもイチローさんが引くほどのマニアと言う事は相当ですね。
「ええ、相当です」
──どんな技を使うのでしょうか?
「いろいろありますが、なんといっても【くんち奥義:ちゃらんぽらん・ちゃんぽん】が有名ですね」
──ちゃらんぽらん・ちゃんぽん。技名がすでにちゃらんぽらんですね。
「名前でバカにしてはいけません。【ちゃらんぽらん・ちゃんぽん】はちゃらんぽらんな動きをしながら相手の攻撃をかわし、隙があれば確実にダメージを与えていく技ですから」
──なるほど。よくわかりませんが、なるほど。
「ちゃらんぽらんな長崎娘を佐賀娘がどうとらえるのかがカギですね」
──終盤にきて初めてイチローさんがまともなことを言った気がします。それでは両者入場です!
「気球でやってきましたね」
──な、なんとー! 佐賀娘、背中に小さな気球を背負い空からやって参りました!
「佐賀娘は気球の操作も一流ですからね」
──もしかして空から狙い撃つんですか?
「ええ。荒野のガンマンですから」
──(荒野関係ねえ~)そ、そうですか。そして対戦相手の長崎娘は……。
「おや、カステラですね」
──なんとー! 巨大なカステラに乗って登場してきました! 何人分あるんだと言うくらいの大きなカステラです! これは美味しそうだ!
「さすがは長崎娘ですね」
──入場と同時にカステラから飛び降りた長崎娘、大きく口を開けて、一口で今まで乗っていたカステラを食べてしまいました! まさに規格外! まさにちゃらんぽらん!
「やせの大食いという言葉は彼女のためにあるようなものですね」
──微妙にニュアンスが違う気がしますが、とりあえず両者そろいました。それではバトル開始です!
カーン!!
──まずは佐賀娘。懐から拳銃を取り出すと長崎娘に空から撃ちまくります!
「さすがは佐賀娘。地上に降りる気はないようですね」
──地上に降りたら長崎娘の土俵ですからねー。
「ええ。空から狙い撃ちしてた方が安全です」
──さあ、そんな佐賀娘の攻撃を、ちゃらんぽらんな動きでかわす長崎娘! 千鳥足で体幹も定まらない動き、本当にちゃらんぽらんだ!
「さすがに拳銃から発射された弾では長崎娘に当たりませんね」
──命中率が低いということでしょうか?
「いえいえ。佐賀娘の命中率は100発100中ですよ。問題は発射された弾が遅すぎてかわされてしまうということです」
──我々からしたら目にも止まらぬ速さなんですけどねー。
「お、もう一丁取り出しましたね」
──もしかして二丁拳銃でしょうか。
「一丁じゃとらえきれないと判断したんでしょう。出ますよ、佐賀娘の必殺技」
【吉野ケ里イッセキ・二丁拳銃】!!
──出たー! 佐賀娘のイッセキ・二丁拳銃! ぶっちゃけ、一石二鳥と言うよりも二丁の拳銃を使ってるので二石一鳥という感じですが!
「この二丁の拳銃にどう対応するか見物ですよ」
──撃つ! 撃つ! 撃ちまくる佐賀娘! まるでマシンガンばりの大連射だ! しかし長崎娘、ちゃらんぽらんな動きでこれを見事にかわしています!
「しかし限界がありますよねー」
──あーっと! 佐賀娘の拳銃が長崎娘の腹部に命中ーーーー! さすがにかわし切れなかったか、長崎娘! 致命傷を受けました!
「いえ、見てください。お腹の中から割れたビードロが出てきました」
──な、なんとー! 運がいい! 長崎娘の腹部に命中したかと思いましたが、お腹の中に隠していたビードロが弾を防いでいたようです!
「さすがは長崎のビードロ。拳銃の弾を防ぐほど頑丈でしたね」
──ぜひとも全国の警察官の制服の下に備え付けて欲しいですねー。
「ええ、まったくです」
──さあ、危機を脱したかに見えた長崎娘ですが、佐賀娘の攻撃は止みません。
「さらに激しく撃ってますね」
──相手が空にいては手の出しようがありません。長崎娘、どう反撃するのか。
「あ、また食らいましたね」
──あーーーーっと! 今度は胸部に食らってしまった長崎娘ーー! たまらず倒れ込むーー!
「これは致命傷ですよ」
──長崎娘、ろくな反撃も出来ずに終わってしまうのかー!?
「いや、立ち上がりましたよ!」
──な、な、なんとー!? 立った! 立ち上がりました、長崎娘! 胸を撃たれたにも関わらず、ピンピンしております!
「服の中からパリパリに割れた皿うどんが出てきましたね」
──これはまたもや運がいい! 長崎娘、服の中に隠していた(?)皿うどんで一命を取り留めました!
「長崎の皿うどんは固くてパリパリですからねー」
──ぜひとも警察官の制服の下にも皿うどんを備え付けて欲しいところ。あーっと! そうこうするうちに佐賀娘も攻撃を再開! 今度は頭部に命中ーーー!
「頭部はまずいですよ」
──さすがにこれは終わったか!?
「いえ、終わってません! 頭に五島うどんを巻いてました!」
──な、な、な、なんとー! 今度は長崎名物・五島うどんの弾力のあるこしの強さで弾丸を防ぎました! これはすごい!
「いやー、ぜひとも全国の警察官の頭にも五島うどんを巻いて欲しいですね」
──同感です。おっと! 今度は長崎娘がちゃんぽんを取り出しましたよ?
「【くんち奥義・ちゃらんぽらんちゃんぽん】を使おうとしてますよ」
──いよいよ反撃か、長崎娘! ですが佐賀娘が空にいたのでは攻撃できませんよね?
「そうですね。長崎娘がどう出るか……」
──あーーーっと! 長崎娘、突然あっちにヨロヨロ、こっちにヨロヨロとちゃらんぽらんな動きをし始めました!
「どこからどう見てもちゃらんぽらんな娘です」
──たまらず佐賀娘も動きが止まる! ちゃらんぽらんな動きを凝視しているようです!
「これはチャンスですよ」
──止まったところを長崎娘が手にしたちゃんぽんを投げつけたーーー!
「いや、佐賀娘もうまく対応してますね」
──かわした! かわしました、佐賀娘! 長崎娘の投げたちゃんぽんを見事かわしました!
「不意を突いた攻撃はよかったんですがねー」
【爆竹ちゃんぽん】!!
──どわーーーー! かわしたと思ったちゃんぽんが、佐賀娘の頭上で大爆発しましたーー!!!!
「爆竹ちゃんぽんです! ちゃんぽんかと思ったら中に爆竹が仕掛けられていたという恐ろしい技ですよ!」
──これは恐ろしい! 恐ろしすぎます! 今後、ちゃんぽんが食べられなくなりそうだ!
「食べてください」
──空中で爆発したちゃんぽんによって、気球が急速にしぼんでいきます! どうやら長崎娘の狙いは気球だったようです!
「やはり空にいられたら攻撃できませんからね」
──地上に降り立った、というよりも落ちた佐賀娘に一気に詰め寄る長崎娘!
「勝負に出るようですよ」
──しかし佐賀娘も黙ってはいません! 巨大なバーナーのようなものを取り出しました!
「【有田&伊万里ブースター】ですね。気球で使ってたバーナーを攻撃用に転じた技です」
──対する長崎娘も両手に風車のようなグローブをつけましたね。
「ハウス・天・BOSSグローブを使った【佐世保ヴァーガーウォリアー】を使おうとしてます」
──まさに技同士のぶつかり合い! さあ、どちらに軍配が上がるのか!
【有田&伊万里ブースター】!!
【佐世保ヴァーガーウォリアー】!!
──決まったー! 両者、同時に技をぶつけ合ったーーー!
「技の威力が互角なら相打ちとなりますが……」
──あれだけ銃弾を受け続けていた長崎娘ですから、体力的に少し分が悪いか。
「いえ、佐賀娘の方が倒れましたよ!」
──なんと!? 倒れたのは佐賀娘のほうだーーー! どういうことでしょう、イチローさん。
「答えは長崎娘のつけていたハウス・天・BOSSグローブですね」
──オランダにある風車のようなグローブですね。
「そうです。その風車で【有田&伊万里ブースター】の炎を無力化したのでしょう」
──それはすごい! さすがはオランダの風車ですね!
「それを使いこなす長崎娘もすごいですよ」
──今度オランダに行ったらハウス・天・BOSSグローブを買っておこうと思います!
「あれ、非売品です」
──あー……。
×佐賀娘 VS 〇長崎娘 【決め技:佐世保ヴァーガーウォリアー】




