大分娘 VS 宮崎娘
──さあ、戦いも佳境となってまいりました第二十一試合、大分娘 VS 宮崎娘です。いかがでしょうかイチローさん、この二人の対決は。
「そうですね、この戦いもかなり見ものですよ。なんといっても大分娘には【大回転・地獄めぐり】という大技がありますからねー」
──大回転・地獄めぐりですか。名前からしてなんとも恐ろしそうな技ですねー。
「ええ、相当恐ろしい技です。恐ろしさレベルでいったら唐揚げレベルではないでしょうか」
──唐揚げレベルですか。唐揚げレベルがどれくらいなのかまったく分かりませんが、とにかく恐ろしそうだ。
「唐揚げレベルは大分娘特有の恐ろしさの単位で、例えるなら、楽しみにとっておいた冷蔵庫のプリンがいつの間にか家族に食べられていた時のような恐ろしさと同等のレベルです」
──それは恐ろしい。想像するだけで寒気がしますね。
「ええ。殺されても文句は言えません」
──いったいどんな技なのか興味が出てきました。どんな技なんですか?
「タローさんはあの世の地獄というのは見たことがありますか?」
──いえ、一度も死んだことがないので見たことはないです。
「それは残念だ。一度死んで地獄に落ちたほうがいいです」
──まさに地獄に落ちろと言わんばかりのセリフですねー。そんなイチローさんは行かれたことがあるんですか?
「いえ、残念ながら私も死んだことがないのでわかりません」
──(ないんかーい!)それは残念です。
「ですが、私の集めた情報によりますと、大分娘の【大回転・地獄めぐり】はあの世の地獄の温泉が噴き出して襲い掛かって来る技なんだそうです」
──な、なんと! それは恐ろしい! あの世の地獄の温泉ですか。くらったら一発で死にそうですね。
「ええ。まず相当のぼせます。熱いですから。そして温泉の効能も抜群で血行促進、リウマチ、肩こり、便秘によく効くそうです」
──意外と健康に良さそうな攻撃だった!
「あと美肌効果もあるそうですよ」
──あ、美肌効果もあるんですか。
「ええ、地獄の温泉ですから」
──逆にくらってみたくなりますねー。対する宮崎娘はどうでしょう?
「宮崎娘も強いですよー。彼女には究極奥義【どげんかせんといかん砲】がありますからね」
──どげんかせんといかん砲ですか。それはなんとも、どげんかせんといかん感じの技名ですね。
「ええ、おっしゃる通りどげんかせんといかん技です」
──具体的にはどんな技なんでしょうか?
「どげんかせんといかん! と言いながら『どげんかせんといかんバズーカ』を放つという、どげんかせんといかん技です」
──はい?
「どげんかせんといかん! と言いながら『どげんかせんといかんバズーカ』を放つという、どげんかせんといかん技です。まさにどげんかせんといかん大技ですね」
──そ、そうですか……(もうこの人をどげんかせんといかんかもしれない……)。それでは両者入場です! まずは大分娘。ご覧ください、なんとバスタオルを巻いて入場して参りました!
「おお、これは素晴らしい! 『湯けむり美人・大分おもてなし温泉ツアー・ポロりもあるかも編』で来ましたか!」
──な、なんですか? それは。
「温泉と言ったら美女。美女と言ったらバスタオル。バスタオルといったらポロりを地で行くスタイルです」
──な、なんですか? それは(大事な事なので2回言いました)
「大分娘は別名・おんせん娘とも呼ばれてましてね。いつでも温泉に入れるよう常にバスタオルを巻いているんです。それが、あの『湯けむり美人・大分おもてなし温泉ツアー・ポロりもあるかも編』です」
──あ、じゃあバトルスタイルではないんですね。
「ええ、フリースタイルというやつですね。あの格好でバトルをしたらポロリどころじゃありませんから」
──それは安心しました。さあ、対する宮崎娘ですが……。
「……犬ですね」
──……犬ですね。
「……犬以外の何者でもありませんね」
──……犬以外の何者でもありませんね。どこに行ったんでしょう?
「ハッ! いや、待ってください!」
──どうしました、イチローさん?
「あの犬、どこかで見た記憶が……」
──おーっと!? なんと、ただの犬だと思ってた宮崎娘が、どんどん人の形になっていきます!
「ああ、思い出しました! あれは宮崎名物みやざき犬ですよ!」
──みやざき犬?
「宮崎でしか見られない幻の珍獣です!」
──幻の珍獣ですか! それは珍しい! 初めて見ました!
「そりゃ幻ですからね」
──ま~ぼ~ろ~し~!
「にしても、まさかみやざき犬スタイルで来るとは思いませんでした。てっきりマンゴースタイルで来ると思ってたんですが」
──マンゴースタイル?
「身体中をマンゴー化したスタイルです」
──あ、そうですか。よくわかりませんがマンゴースタイルじゃなくて安心しました。にしても可愛らしいですねー。犬耳に尻尾を残したままの完全なる獣人スタイル。これは癒されます。
「宮崎娘は愛らしさに特化した娘ですからね。個人的に応援したい娘ですね」
──これで両者出揃いました。それではバトルスタートです!
カーン!
──さあ、まずは大分娘。バスタオルで身体を隠しながら地面をコンコンと叩き始めました。
「耳をそばだててますね」
──イチローさん、あれは何をしてるんでしょうか?
「あれはですね、温泉を探り当ててるんです」
──お、温泉ですか?
「大分娘はおんせん娘と呼ばれるだけあって、温泉を見つけるのが上手いんですよ。ああやって地面をコンコン叩いてその下に温泉があるかどうかを確認してるんです」
──ははあ、温泉を。
「お、どうやら当たりをつけたようですね」
──当たりですか?
「見てください。大分娘が地面の一点にバツ印を付けてます。つまりあの下に温泉があるということです」
──またまたー。イチローさん、さすがにこの会場の地下に温泉なんてあるわけ……。
【大分名物:おんせん起こし】!!
「あ、湧き出ましたね」
──どわああぁぁぁ!! なんということでしょう、大分娘が地面に拳を叩き込むと、温泉が噴き出てきました!!
「さすがは大分娘。見事に温泉を掘り当てました」
──この会場の下に温泉があった事じたい驚きです。
「すごいですねー、湧き出て来る温泉の蒸気で当たりが一面湯けむりと化しましたね」
──ええ。大分娘も宮崎娘も蒸気で見えなくなってしまいました。うっすらとシルエットだけが確認できます。
「あ、バスタオルを取りましたね」
──なんとー! ここにきて大分娘、身体に巻いていたバスタオルを取りました! いや、正確にはシルエットだけですのでバスタオルを取った動きしか確認できませんが、バスタオルを脱ぎ捨てました!
「この蒸気が邪魔してますね」
──ほんと邪魔! この蒸気、ほんと邪魔! はっきり見せてくれない少年漫画のエッチなコマばりにほんと邪魔!
「さあ、出ますよ。大分娘の【大回転・地獄めぐり】が」
──おーっと!? なんと、ここに来て温泉の蒸気が一気に晴れていきます! 誰かが会場の換気扇をオンにしたのでしょうか!?
「自動換気扇装置が作動したのでしょう。問題なのはここから先、18禁になるかどうかですね」
──そうですねー。いくら妄想の世界とは言え、裸のヒロインが出たらまずいですからねー。
「妄想の世界は言わなくていいと思うのですが……」
──どんどん晴れていく会場で、大分娘のシルエットだけだった姿が徐々にはっきりと見えてきました! さあ、どんな格好をしているのか!?
「あ、水着を着てましたね」
──な、な、な、なんとー!? これは! 大分娘、バスタオルの下には水着を着用していました! お約束と言えばお約束の水着着用バージョンだー! これは残念というべきか、ホッとしたと言うべきか!
「いやー、残念でした」
──さあ、そんな水着姿の大分娘が何やら構えましたよ? 腰を落としてかめ〇め波のようなポーズを取ってますが?
「アレです! アレが【大回転・地獄めぐり】の構えです!」
──あれが大回転地獄めぐりの構えですか。
「あそこから放たれる地獄の温泉は、ありとあらゆる効能がありますからねー。くらったら健康になれますよ」
──それはぜひとも食らってみたいところ! おや? 対する宮崎娘も何か構えてますね。
「どうやらマンゴーを呼び寄せてるみたいですよ?」
──マンゴーですか?
「宮崎娘名物【マンゴー防御】。ありとあらゆる攻撃を防ぐ、絶対防御のひとつです」
──ははぁ、絶対防御ですか。(名前ダサっ!)
「全都道府県娘の中ではトップクラスの防御技です。名前はダサいですが」
──(あっ、言っちゃった!)そうですか。
「この【マンゴー防御】が宮崎娘のどげんかせんといかん強さの秘密でもありますね」
──さあ、そんな宮崎娘に大分娘が両手を突き出しました。
【大回転・地獄めぐり】!!
──出たー! 大分娘の必殺技、大回転地獄めぐりー! 突き出した大分娘の手のひらから大量の温泉が噴き出て宮崎娘に飛んでいくー!
【マンゴー防御】!!
──そしてー! そんな宮崎娘の周りに大量のマンゴーが覆いかぶさっていくー!
「これぞ【マンゴー防御】です! 完熟したマンゴーの甘い果実が、どんな攻撃も吸収してしまうのです!」
──すごいぞマンゴー! こんな効果があるのかマンゴー!
「一説のよれば、宮崎の兵士は大昔、右手に大剣、左手にマンゴーを持っていたそうです」(適当です)
──なんと! 盾の代わりにマンゴーを持っていたのですか!?
「ええ。敵の攻撃を防げますし、お腹がすいたら食べれますしね」
──なんとも便利! そんなすごいマンゴーで身体を覆ったら、確かにどんな攻撃も受け付けませんよね。
「ええ。これを崩すには食べるしかありません」
──さあ、そんな大分娘の地獄の温泉を防いだ宮崎娘、今度はこっちだと言わんばかりに巨大な大砲を構えました!
「どげんかせんといかんバズーカですね」
──あれがどげんかせんといかんバズーカですか! こりゃまたどげんかせんといかんくらい大きいぞ!
「全長4メートルくらいはありそうです」
──そんな巨大なバズーカを軽々と持ち上げた宮崎娘、対する大分娘は地獄の温泉に潜って身を守るようです!
「ああ、あれは単純に温泉に浸かってくつろいでるだけです」
──あ、温泉に浸かってくつろいでるだけですか。
「おんせん大好き娘ですからね」
──バトルの最中でもお構いなし! さすがはおんせん娘! そうこうするうちに宮崎娘がどげんかせんといかんバズーカの砲身を大分娘に定めました!
【どげんかせんといかん砲】!!
──出たー! どげんかせんといかん砲! 大分娘、温泉でくつろぎながら吹っ飛んだーーーー!!!!
「これはたまったもんじゃありませんね」
──遥彼方まで吹っ飛ばされました大分娘。温泉に浸かりながら負けたのであれば本望でしょう。
「きっと吹き飛ばされた先で温泉でも引き当ててますよ」
×大分娘 VS 〇宮崎娘【決め技:どげんかせんといかん砲】




