鳥取娘 VS 島根娘
──いよいよ因縁の対決となりました第十六試合。鳥取娘 VS 島根娘の対決です。いかがでしょう? この二人の対決は。
「これは非常に興味深いですよ」
──興味深いですか?
「鳥取娘と島根娘はなんとなく名前が似てるでしょう? だからよく間違われるんですよ」
──そういえば作者も鳥取娘と島根娘を間違えてた過去がありましたね(実話)
「その節は大変申し訳ありませんでしたと土下座会見を開いてましたねー」
──開いてはいませんでしたが(実話)
「でもそれぐらい因縁のある二人ということです」
──本人たちに関係ないところで因縁と言われましてもねー。ちなみに二人はどんな娘なんでしょう?
「まず鳥取娘はなんといっても妖怪の総大将というのが強みですね」
──妖怪の総大将なんですか?
「そうです、あのぬらりひょんですら鳥取娘には頭が上がらないそうですよ」
──妖怪の親分とも言われているあのぬらりひょんですらですか。それはすごい。
「【鳥取名物・妖怪大戦争】を発動したら日本が滅ぶと言われています」
──(名物?)それはぜひとも回避して欲しいところ。対する島根娘はいかがでしょう?
「逆に島根娘は神々の代表と言われてましてね。八百万の神たちの代表なんですよ」
──ああ、出雲大社がありますしね。ということは、このバトル、妖怪 VS 神みたいなものですか?
「ざっくり言うとそういう事になりますね」
──なんということだ! 都道府県娘バトル選手権でついに人外対決が起こってしまった!
「都道府県娘全員、人外ですけどね」
──さあ、そんな両者の入場です! まずは鳥取娘。なんと一反木綿ではなくラクダに乗ってやってまいりました!
「会場いっぱいにいる妖怪たちが盛大に拍手を送ってますね」
──さすがは妖怪たちの大将。ちゃんちゃんこ柄のワンピースが特徴です。この衣装はまさにアレ!
「まさにアレですね。逆に一反木綿に乗って来てないところがいいですよ。これで一反木綿に乗って入場すると、まんまパクリと言われてしまいますからねー」
──ゲゲゲのファンにツッコまれまいと、そこは考慮したのでしょう。一方、島根娘ですが……。
「キターーーーーーー!!!! 出雲大社の巫女さん猫耳娘ーーーーー!!!!」
──イチローさんが壊れました。しかしそれも納得の愛らしさ。猫耳の巫女さん衣装を着た可愛らしい娘が登場しました。これはカワイイ。
「この猫耳がポイント高いですよー。ピンポンピンポンピンポン!」
──なんのボタンかわかりませんが、謎のボタンを押してポイントをあげているイチローさん。そして島根娘には八百万の神々が声援を送っています。
「場外も妖怪 VS 神の戦いとなってますねー」
──一気にバトル会場が異様な雰囲気に包まれました。イチローさん、我々は大丈夫でしょうか?
「いざという時のために逃げる準備はしときましょう」
──そ、そうですね。鳥取娘 VS 島根娘バトル開始です!
カーン!
──おっと、まずは鳥取娘。傘を取り出して何やら踊り出しましたね。
「【因幡の傘踊り・砂の舞】ですよ。傘をクルクルまわして華麗に踊ってますねー」
──どこからともなくしゃんしゃんという音が聞こえてきそうです。これは何をしているんでしょうか?
「大量の砂を呼び寄せているんです」
──大量の砂ですか?
「ほら、見てください」
──こ、これは! 砂です! 大量の砂が舞い落ちてきました! どんどんどんどん砂が舞い落ちる! 砂が舞い落ちると言う表現もおかしいですが、それしか言いようがない!
「島根娘も服の中に入った砂を一生懸命はらってますねー。せっかくの巫女さん衣装が台無しです」
──あっという間に見事な砂丘が出来上がりました! これはすごい! ラクダに乗って練り歩きたい!
「鳥取娘は砂の化身でもありますから、砂丘を作るのはお手の物なんです」
──実物大の城のお城とか作れそうですねー。
「実際、砂のお城に住んでますよ」
──住んでるんですか!? さすがは鳥取娘、次元が違う!
「ガス・水道・冷暖房完備の完璧な砂のお城です」
──どうやって取り付けたのか、謎すぎるぞ砂のお城! さあ、そんな砂のお城に住んでる鳥取娘、このあとどうするのか! おーっと! 白ネギを取り出したぞ!? これをどうするつもりだ!?
「口に加えましたね」
──白ネギを口に加えて、うさぎ跳びで突撃をかましたー!
「【鳥取といったら白ネギ・因幡のウサギジャンピングアタック】です! ウサギの脚力で体当たりをかます大技ですよ」
──意外とストレートな攻撃だー! そして白ネギまったく関係なーーーい! しかし猫耳巫女さん衣装の島根娘、砂丘に足が取られて思うように動けません!
「相手の動きを鈍くする、それが【因幡の傘踊り・砂の舞】の狙いです」
──そんな島根娘に【因幡のウサギジャンピングアタック】が炸裂ーーー!
「まともに食らいましたね」
──大丈夫でしょうか、島根娘は。
「これはかなりのダメージですよ」
──おっと、起き上がった! 起き上がりました、島根娘!
「さすがは出雲の神の加護を持っている娘です。ギリギリ運よく急所を外れてましたね」
──しかしよろよろと動きが鈍い! ダメージはでかそうだ!
「この隙を見逃す鳥取娘ではありませんよ」
──で、出たー! 背後に回って強烈な羽交い締めー!
「【紅ズワイ羽交い締め】ですね。紅ズワイガニのような力強さで締め上げる強烈な技ですよ」
──これは島根娘、苦しそうだ! 巫女さんの苦しげな表情はこちらも心が痛い! なんとかしてあげたい!
「いや、必殺アイテム勾玉を取り出しましたよ!」
──出たー! 日本古来から伝わる三種の神器のひとつ、勾玉!
「島根娘は正統な継承者なんですよ」
──由緒正しき家柄なんですね。ちなみの他の2種類、八咫鏡と草薙の剣は誰が持ってるんですか?
「両方とも私が持ってます」
──あ、イチローさんが持ってるんですか?
「私の先祖はニニギノミコトなので」
──はい?
「私の先祖、ニニギノミコトです」
──と、とんでも発言をさらっと暴露したーーー! なんとイチローさんの先祖がニニギノミコトだったーーーー! これは今世紀最大の驚きだーーーー! そして想像つかなーーーい!
「微妙に失礼ですよ」
──ちなみに今、そのふたつはどちらに?
「小さい頃、チャンバラごっこで遊んでて壊してしまったので、実家の物置の奥に隠しました」
──子供がおもちゃを壊して隠したみたいな軽いノリーーーー!!!!
「バレてなければいいのですが」
──思いっきりこの場でバラしてますけどね。さあ、そんなどうでもいい話は置いておいて、島根娘が取り出した勾玉から強烈な光が放たれました! 思わず身体を放す鳥取娘!
「さらに【隠岐島奥義・ローソク岩ビーム】を発動しましたね」
──なんと! 砂の中から巨大な岩がせりあがってくる! まるでローソクのような形をした巨大な岩だ! その先っちょに光が灯ると、鳥取娘めがけて強烈なビームが発射されたー!
「摂氏4000度の超高熱ビームですよ」
──恐ろしい! 恐ろしい技だ、島根娘! 鳥取娘と名前を間違えてほんとごめんなさい!
「心から謝ったほうがいいですよ。焼き殺されてしまいますからね」
──しかし鳥取娘、このビームをなんなくかわす! 当たらなければどうということはないと言わんばかりに余裕でかわす!
「技の強さが戦力の圧倒的差でないことを証明してますね」
──何を言ってるのかわかりませんが、鳥取娘、ここにきて砂丘の砂を巻き上げた!
「こ、これは!」
──どうしました、イチローさん。
「【砂丘の嵐】です! 鳥取娘、ここにきて超特大の必殺技を放とうとしてますよ!」
──砂丘の嵐! なんだか食べ物の商品名にありそうな名前ですね。
「そんな美味しそうな技じゃないですよ。これは食らったが最後、宇宙の果てまで吹き飛ばされる恐ろしい技なんです」
──な、なんと! ついに出てきた宇宙の果て! そんな恐ろしい技を隠し持っていた鳥取娘! どうなる島根娘!
「妖怪たちも大興奮してますね」
──八百万の神たちは悲鳴をあげている! 吹く! 吹く! 砂丘の嵐が目まぐるしく吹いていく! そして大きな竜巻となって島根娘に襲いかかるー!
「いや、見てください!」
──こ、これは! 島根娘の目の前に出雲大社が現れた! 出雲大社の鳥居があっという間に竜巻を飲み込んでいくー!
「鳥居は現世と異世界をつなぐ門ですからね。そちらに送ったのでしょう」
──すごい、すごいぞ島根娘! 超必殺技を発動して疲れ果てている鳥取娘に、そのまま出雲大社のまばゆい光を浴びせるー!
「島根娘の必殺技【出雲】です」
──鳥取娘、あえなくダウーン! 勝者は島根娘に決まりました!
×鳥取娘 VS 〇島根娘 【決め技:出雲】




