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兵庫娘 VS 岡山娘

──さあ、続きまして兵庫娘と岡山娘の対決です。いかがでしょう、イチローさん。この二人の対決は。


「こちらも見ものですよー。兵庫娘はなんといっても別名・宝塚娘と呼ばれてますからね」


──ほうほう、宝塚娘ですか。それはなんともきらびやかな娘が出てきそうなイメージですねー。


「それはもう、きらびやかな娘ですよ」


──なんと。やはりきらびやかな娘ですか。


「ものすごくきらびやかです。きらびやかすぎて逆にきらびやかさが感じられない、そんなきらびやかな娘です」


──なるほど。言ってる意味が1ミリもわかりませんが、とにもかくにもきらびやかな娘のようです。対する岡山娘はどうでしょう?


「岡山娘は別名・クイーン桃太郎姫と呼ばれてましてね。その強さは折り紙付き。さらに3匹の家来も引き連れていますから、兵庫娘にとってはかなりの難敵といえますねー」


──クイーン桃太郎姫……。クイーンなのか太郎なのか姫なのかはっきりして欲しいですね。


「噂によると、川からどんぶらこどんぶらこと竹が流れてきて、それを拾って持って帰ったおばあさんがパッコーンとその竹を叩き割ると、中から美しい岡山娘が出てきたと言われています。まさに桃太郎とかぐや姫の合作ですね」


──(あ、合作って言っちゃった!)そ、そうですか……。


「さらに竜宮城の乙姫様とも仲が良くて、金太郎のクマと相撲を……」


──あ、もうけっこうです。それ以上設定を増やすと(作者が)混乱しますので。


「とにもかくにも岡山娘の【おっす! オラ桃太郎】は強烈ですよ」


──おっす、オラ桃太郎……。もはやどんな技か聞く気にもなりません。さあ、そんな両者の入場です! まずは兵庫娘。キラキラしたド派手なドレスで歌をうたいながら入場してきました!


「宝塚スターのお出ましですね」


──これはすごい! 本当にきらびやかだ! きらびやかすぎて目が奪われました。これはなんという歌なんですか?


「すみれの花咲く頃ですね。宝塚といったらこれでしょう」


──まさに名曲中の名曲ですね。歌詞が載せられないのが残念ですが。


「会場も兵庫娘の歌声に聞き入ってますねー。これはもう優勝でいいんじゃないですか?」


──なんでですか。まだ決まってませんよ。


「兵庫娘のこの歌声に勝てる者はいません」


──カラオケバトルじゃないんですから……。さあ、対する桃太郎の……失礼しました。岡山娘の登場です!


「な、なんと! 兵庫娘に対抗して桃太郎を歌ってます!」


──こ、これはひどい! (音痴という設定の)岡山娘、まるでジャイ〇ン並みの歌唱力で入場して参りました!


「引き連れてきた犬とサルとキジも耳をおさえてますねー」


──動物愛護団体から苦情が来ないか心配です。


「この犬・サル・キジは神獣の類ですから大丈夫です」


──それはよかった。それにしても、二人が向かい合うとこれまた対比がすごいですねー。


「そうですね。片方は宝塚スター、もう片方は桃太郎ですからねー。絵面えづらがすごい」


──絵面とか言わないでください。さあ、注目の兵庫娘 VS 岡山娘、バトル開始です!




カーン!




──まずは岡山娘! ここはやはり家来の犬・サル・キジをけしかけてきました!


「【桃太郎侍・三種の獣アタック】です。きびだんごの霊力でパワーアップした犬・サル・キジが怒涛の如く襲い掛かる恐ろしい技ですよ」


──あの、イチローさん? 若干、犬とサルとキジの体格がおかしい気がするのですが……。


「きびだんごの霊力でパワーアップしてますからね。体格も変わりますよ」


──実況だけでは説明が難しい部分もありますが、なんというか、3匹ともムキムキマッチョな人間になってません? 言うなれば「北斗〇拳」に出て来るザコキャラのような……。


「ザコは失礼ですよ」


──なんか釘バットとか持って「ヒャッハー!」とか言ってますが?


「そりゃ犬もサルもキジもヒャッハーくらいは言いますよ」


──(言わねーよ! ってツッコミたい……)そ、そうですか。それよりも、兵庫娘はこの攻撃をよくしのいでますねー。


「そうですね。華麗なステップでかわしながら、さばくところはうまくさばいてますよ」


──兵庫娘の手に持っているアレはなんですか?


「ステンレス製のショルダーバッグ、その名も『バッグ・トゥ・ザフューチャー』ですね。兵庫娘はかばん作りがものすごくうまいんですよ」


──バッグ・トゥ・ザ・フューチャーですか。なんとなく未来を行き来する車が見えますねー。


「このバッグは武器にもなりますし、防具としても使える優れものです」


──さあ、そんな兵庫娘、華麗なステップを踏みながら犬・サル・キジの攻撃をかいくぐる!


「三人の攻撃をさばく兵庫娘はさすがとしか言いようがありませんね」


──(三人って言ってるし!)宝塚修行のたまものでしょうか。華麗な動きにまったく隙がありません。


「体の芯がしっかりしているのでしょうね。一説によると兵庫娘は大量の書物を頭に乗せて落とすことなくダンスを踊る練習をするらしいですよ」(適当です)


──それはすごい。まるで昭和の練習法のようだ。おっと、そんな中、岡山娘が剣を抜きましたよ!


「いきなり出ますか。【おっす! オラ桃太郎】」


──先ほどは聞く気にもならなかったのですが、いったいどういう技なんですか?


「瞬速の三連コンボですね。『おっす』で剣を振り下ろし、『オラ』で跳ね上げ、『桃太郎』でさらに振り下ろす。高度な技です」


──もはや挨拶なのか攻撃なのかわかりませんねー。


「もともとは相手の意表をつく攻撃だったんですが、岡山娘の必殺技として昇華したんですよ。確か鬼退治もこの技で決めたらしいですよ」


──鬼の「なんでじゃ」って言う声が聞こえてきそうです。さあ、そんな岡山娘、にこやかに兵庫娘に近づいていく!


「あのにこやかさに騙されるんですよね」


──軽く握手を求める、岡山娘。そしてそれに答えるかのように手を差しのべる兵庫娘。


「これは危険ですよ」




『おっす! オラ桃太郎!!』




──そして出たー! 岡山娘の【おっす! オラ桃太郎】ー! 岡山娘の三連コンボが兵庫娘に直撃ーーー!


「いや、兵庫娘、しのぎました!」


──な、なんと! 兵庫娘、岡山娘の三連コンボをバッグ・トゥ・ザ・フューチャーで防ぎました! なんという反射神経! なんと丈夫なバッグ! 私も欲しい!


「宝塚修行の成果ですね。反射神経もずば抜けていますよ」


──さあ、今度は兵庫娘の反撃だ! おや? 兵庫娘にどんどんスポットライトが当たっていってますよ?


「【神戸イルミネーション】シリーズですね! 兵庫娘の代表技のひとつです」


──神戸イルミネーション。きらびやかな娘がさらにキラキラと輝きそうな技ですね。


「これこそが兵庫娘の真骨頂ですよ」


──あーっと! な、なんとー! 兵庫娘の全身がイルミネーションでデコレーションされていくーーー! まるでクリスマスの時期にキラキラキラキラと眩しいくらいイルミネーションでデコられた神戸の街のように、激しく光り輝いています!


「岡山娘も目を覆ってますね」


──いつの間にか犬・サル・キジも逃げ出しています。よほど眩しいのでしょう。


「あ、出ますよ」




『神戸イルミネーションスリープ!!』




──そして出たーーー! なんだかわからない技ーーー!


「【神戸イルミネーションスリープ】です。宝塚の歌声で子守歌を歌って相手を眠らせる技です」


──このイルミネーションは関係あるんですか?


「あまりありません」


──あ、ないんですか。


「ただの演出ですから」


──(演出って言っちゃった!)逆に眩しくて眠りづらくないですか?


「眠りづらい環境でもぐっすり眠ることができる、そんな優しい技ですよ。ほら、見てください」


──な、なんと! 桃太郎の格好をしていた岡山娘が、可愛らしいネズミの耳をつけた女の子になって眠っています!


「岡山娘のプライベートモード、チュ〇ピーモードですね。ぐっすりと眠っていますよ」


──これはなんとも愛らしい! できればこの姿で戦って欲しかった!


「犬・サル・キジもチュッ〇ーモードの岡山娘を見て和やかに笑っていますね」


──どうやら岡山娘への忠誠心はきびだんごだけではなかったようです。




〇兵庫娘 VS ×岡山娘 【決め技:神戸イルミネーションスリープ】

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― 新着の感想 ―
[良い点] あ゛あ゛あ゛、岡山が負け、兵庫勝利ーっっ。 バッグが出た時に、岡山もデニムが出るかと一瞬(笑) バッグ・トゥ・ザ・フューチャー良かったです(*´▽`*) 各県の名産品にも詳しくなれて嬉しい…
[良い点] あれ?霧の竹田城で押し潰すのじゃなかったんでしたっけ? でも宝塚風味のお嬢様らしい技でよかったと思います! あと、豊岡製カバン強すぎワロたwww
[良い点] 岡山娘ぇぇぇ──ッ!(号泣) 許さんぞ解説者にイチローッ! 目先の煌びやかさに誤魔化されたばかりか、純情可憐で祖父母想い、そしてお供の仲間(ここが重要)への気遣いも忘れない優しい岡山娘を…
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