京都娘 VS 大阪娘
──さあ、ついにやって参りました、京都娘 VS 大阪娘!
「作者が一番書きづらいと言っている対決ですね」
──関西の二大巨頭・京都娘と大阪娘の勝敗を勝手に決めて、関係各社から怒られないかとビクビクしているそうです。
「そこは懐の深い京都娘と人情にあつい大阪娘に期待しましょう」
──ということでイチローさん。この両者の特徴をお教えください。
「まずは京都娘ですが、こちらは石川娘と並ぶ日本トップクラスの上品さを兼ね備えてます」
──京言葉がこれまた品があるんですよねー。
「そうなんどすわー」
──イチローさんが言うと下品に聞こえますのでやめていただきたい。
「いっぽう大阪娘は面白さ日本一。人を笑わせることに関しては右に出る者はいないでしょう」
──まさに正反対な二人ですね。
「だからこそ関西地方のライバル同士ともいえます」
──さあ、そんな両者が入場して参りました! まずは京都娘! 見てください、この上品な姿! 十二単を身に纏い、しゃなりしゃなりと優雅に入場してきます!
「彼女が歩く道の先に稲荷神社の鳥居が出現してますねー」
──これが有名な京都娘名物【千本鳥居歩き】ですか。
「そうです。これが観たいがために海外からのファンも来るという京都娘自慢の技です」
──あーっと! そこへ! 背後から大阪娘が猛ダッシュで追いかけてきたー!
「猪突猛進タイプですね」
──しゃなりしゃなりと優雅に歩く京都娘に追いつくと、なんと持っているハリセンでパコンと頭を叩いたー!
「『はよしいやー』って言ってますね」
──入場直後にツッコミですか。さすがは大阪娘。これには京都娘も怒るんじゃないですか?
「いや、笑ってますね」
──あー、本当ですね。さすがは京都娘。これだけでは怒りません。センスで顔を隠してますが、余裕の笑みを浮かべてます。
「逆に『なんて哀れな子』という目で大阪娘を見てますね」
──逆に怖いですね。さあ、そんな大阪娘、京都娘より先に入場して一人漫談を始めてしまいました!
「あーっはっはっは!」
──なんと3秒で会場中が大爆笑! イチローさんもつられて笑っている!
「さすがは大阪娘。会場を笑いの渦に巻き込みましたね」
──対する京都娘、優雅に入場を終え、十二単を脱ぎました! するとなんということでしょう! 着物+女袴の大正ロマンを感じさせるハイカラ女性へと大変身しました!
「これはいいですねー! 京都娘の戦闘服ですよ! パシャパシャパシャ」
──思わず写メを撮りまくるイチローさん! コンプライアンスがどうとか言っておきながら、自分が一番守っていない! 対する大阪娘、まだ漫談を続けている! しゃべりが止まりません!
「大阪娘にマイクを持たせたら終わりです」
──このままでは埒が明かないので強制的にバトルに突入してもらいましょう。では京都娘 VS 大阪娘、バトル開始です!
カーン!
──さあ、いきなり仕掛けてきたのはやはり京都娘! 一人漫談を続けている大阪娘に巨大な鉄板を投げつけたー!
「【修学旅行の鉄板】ですよ! これは大きい!」
──京都といえば修学旅行! 修学旅行といえば京都! まさに鉄板中の鉄板ですが、それがまさか本当の鉄板となって襲ってくるとは!
「大阪娘、気づいてハリセンで打ち返しましたね」
──心なしか「なんでやねーん」というツッコミが聞こえた気がします。
「ハリセンで鉄板を打ち返せるほうが『なんでやねん』ですがね」
──うまい具合に漫談を中断させた京都娘。さあ、ここからどう出る!?
「長距離からのホップ・ステップ・ジャンプを発動しましたね」
──なんと! 長距離からのホップ! ステップ! ジャンプ! からの飛び蹴りだーーー!
「【ジャンピング清水寺】です! 京都娘、いきなり大技を炸裂させましたよ!」
──な、なんと! 京都娘の飛び蹴りが炎となって大阪娘に襲い掛かるー! まさに清水の舞台から飛び降りたかのような熱い攻撃ー!
「さすがにこれはハリセンでは返せません」
──おーっと。ここは大阪娘、両手をあげたランナーのようなポーズでかわす! うまーい!
「グ〇コのポーズですね。大阪娘といったらこの走りなんですよ」
──しかし京都娘、攻撃の手を緩めません! 【ジャンピング清水寺】の猛アタックが続きます!
「大阪娘もグリ〇ポーズで走りながら逃げまわってますよ」
──さすがは大阪娘。逃げるのが上手い! しかしイチローさん、先程から大阪娘が攻撃してきませんね。京都娘の攻撃をかわすので精一杯といえばそれまでですが。
「そうですね。大阪娘は何を考えてるかわからないところがありますからねー。逃げながらも次の一手を考えてるのかもしれません」
──なるほど。となると京都娘は早く勝負を決めたいですよね。
「そうですねー。ですが大阪娘の逃げ方があんなに上手くては……」
──いや、ちょっと待ってください! 京都娘が何か始めましたよ!?
「あ、あれは……!」
──たこ焼き器……でしょうか? たこ焼き器を取り出して何やら焼き始めました。
「たこ焼きです! 京都娘、なんとここにきてたこ焼きを作り始めました!」
──京都娘=たこ焼きというイメージはないのですが……。
「逆です! むしろ大阪娘を知り尽くしている京都娘だからこその作戦ですよ!」
──あーっと! 大阪娘、京都娘のたこ焼きを見て足を止めました! ソワソワ、ソワソワと京都娘のたこ焼き作りに見入っている!
「大阪娘のソウルフードですからねー。やはり気になるようです」
──そしてー! まるで「作り方はそうじゃない!」と言わんばかりに京都娘に向かっていったー!
「ここにきて初めて気づきました。大阪娘は天然のおバカさんです!」
──してやったりという顔の京都娘! ここにきて歴史と伝統のある究極の突き【三十三間堂突き】を大阪娘に放つー!
「10秒間に33発の突きを放つ技ですね。これはさすがに大阪娘もかわしきれません」
──い、いや、待ってください! なんと大阪娘! 三十三発もの突きをツッコみの手で防いでいます!
「うわー、すごい。【なにわ流・百裂ツッコミ張り手】です! ひとつのボケに対して瞬時に百発ツッコむという伝説の技ですよ!」
──ひとつのボケに対して百発のツッコみ! それはボケ役のメンタルがやられそうですねー。
「ええ、精神が崩壊する非常に危険な技です」
──さすがは大阪娘。京都娘には容赦がない。そもそも京都娘はボケてもいないのですが。
「とはいえ、京都娘も負けてはいませんよ。防がれた【三十三間堂突き】をまた発動してます」
──な、なんとー! 京都娘、さらに【三十三間堂突き】を発動している! これでは【六十六間堂突き】となってしまうぞー!
「大阪娘もさらに【なにわ流・百裂ツッコミ張り手】で対抗してますね」
──やられたらやり返す、まさに倍返し! いや3倍返しだ!
「大阪娘の執念のようなものを感じますねー」
──イチローさん、見てください! 大阪娘の格好が漫才師のような衣装からヒョウ柄のなにわマダムスタイルに変身しています!
「どうやら本気になってきたようですね」
──どんな大物政治家もどんな大物芸能人も敵わない、まさに無敵のスタイル!
「バーゲンセールが始まった時のなにわマダムの強さは誰にもかないませんからねー」
──京都娘、大阪娘の火事場の馬鹿力を侮ったか! あーっと! 【三十三間堂突き】をしゃらくさいとばかりに弾き返されて、逆に【なにわ流百裂ツッコミ張り手】を食らってしまったー!
「たこ焼き作戦まではよかったんですけどねー」
──よろよろと起き上がる京都娘。まだ勝負はついていませんが、大阪娘に背を向けると自分で負けを宣言しました。
「この潔さ、さすがは京都娘です」
──どうやら京都娘も大阪娘の強さを認めたようですね。
「あ、ハリセンで叩かれましたね」
──あれ? バトルが終わったと思ったら今度はたこ焼きの作り方講座が始まったみたいですよ?
「自分が勝ったことにも気づいてないなんて。本当に天然のおバカさんですね」
──両者のライバル関係はまだまだ続きそうです。
×京都娘 VS 〇大阪娘 【決め技:なにわ流・百裂ツッコミ張り手】




