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山梨娘 VS 静岡娘

──さあ、こちらも目が離せない山梨娘 VS 静岡娘。イチローさん、これはどちらが勝つと思いますか?


「こればっかりはわかりませんねー。富士山に対する思いが強いほうが勝つんじゃないですか?」


──一子相伝の富士山バスターを二人とも習得してますからね。いったいどちらが本当の継承者なのか、常に争いが絶えません。


「まあ、もともと一子相伝の技ではなく、誰もが習得できる技ということで決着がつきましたが、二人にとっては落ち着かないでしょうね」


──今や富士山バスターは二人のもの、どちらがうまく使えるかというプライドの問題になってますからね。我々からするとどっちでもいいじゃんで終わるんですがねー。


「それで終わらないのがこの二人なんですよ」


──ちなみにイチローさんはどちらがうまく富士山バスターを使えると思いますか?


「富山娘ですね」


──と、富山娘?


「富士山はもともと富山にあったという説がありますから」


──これ以上話をややこしくしないでください。さあ、そんな山梨娘と静岡娘の入場です。まずは山梨娘。風林火山の軍旗を背中に掲げて、意気揚々とやってきました。


「武田の騎馬隊の甲冑を身に着けてますねー。気合十分ですよ」


──対する静岡娘は……。お盆にお茶を乗せたお茶屋の娘さんが登場しました。


「いいですね、一杯いただきますか」


──喫茶店じゃないんですから。おや? 山梨娘がワイングラスを取り出しましたね。


「山梨娘はワインソムリエの資格を持っているんですよ」


──それはすごい。山梨娘、とくとくとワインをグラスに注ぎ、口に含みました。


「あー、美味しそうですね」


──そして、うんうんと何やら納得の顔。


「合格のようです」


──何が合格なのかわかりませんが、対する静岡娘も湯呑にお茶を注ぎました。


「彼女もお茶ソムリエの資格を持ってるんですよ」


──お茶ソムリエ。かなりマニアックな資格をお持ちのようですね。


「お茶ソムリエをバカにしてはいけません。味や見た目で産地まで当ててしまうんですから」


──静岡娘、お茶を飲んでうんうんと頷きます。


「合格のようです」


──どうやら互いに負けず嫌いのようですね。さあ、そんな両者が向かい合いました。ワインを飲んでフッと笑う山梨娘。お茶を飲んでフッと笑う静岡娘。これはもう見てるだけでゾクゾクしてきますねー。


「ええ、笑えます」


──笑わないでください。それでは山梨娘 VS 静岡娘、バトルスタートです!




カーン!




──おっと! まずは山梨娘。アツアツのほうとうを取り出したぞ!


「山梨娘名物【武田のほうとう・ほったらかし】です。これは熱いですよー」


──武田のほうとう・ほったらかし?


「アツアツのほうとうを投げつけて相手がそのほうとうで熱がっててもほったらかす攻撃です」


──地味に嫌な攻撃ですね。


「友達をなくす技ですよ」


──さあ、そんな山梨娘、躊躇なくほうとうを投げつけたー! ちなみに毎回言いますが、この攻撃は都道府県娘のオーラが具現化したもので本物のほうとうを投げてるわけではありません。食べ物を粗末にしているわけではありませんのでご安心ください。


「それ毎回言わないとダメですか?」


──この回から見てる方もいらっしゃるかもしれませんので。


「そうですか」


──そんなアツアツのほうとうを静岡娘がお茶を飲みながらかわす!


「お茶は健康にいいですからねー」


──お茶は健康にいい、すなわち身体にいい、すなわち身体が元気になる、すなわち身体がよく動く、そういうことでしょうか?


「適当に言いました」


──あ、そうですか。イチローさんはさておき、ほうとうをかわす静岡娘、なんと首筋からカワイイうなぎが顔を出したぞ!?


「妖精うなちゃんです。静岡娘のパートナーですよ」


──かば焼きにして食べるんですか?


「なんでですか。食べませんよ」


──あ、すいません。うなぎと聞くとかば焼きを思い浮かべてしまって。


「美味しいですものね、うなぎのかば焼き」


──あのタレで食べるご飯がまた格別で……。


「白焼きも美味しいですよ。キモのお吸い物もいいですよねー」


──あ、ちょっと待ってください。静岡娘と妖精うなちゃんがこちらを見て怯えていますね。


「あ、こちらの話が聞こえてましたか。大変失礼しました」


──さあ、そんな静岡娘に山梨娘がワインを口に含んでカッターのように吐き出した!


「【ワインの波紋・パウパウパパウパウ】です! これは強烈ですよ!」


──これはすごい! 口の含んだワインがフヒィーンとばかりに静岡娘に飛んでいくー!


「燃え尽きるほどヒートですね」


──静岡娘、このワインの波紋をギリギリでかわすと、一気に距離を詰めた!


「出ますよ! 【富士山バスター】!」


──静岡娘、山梨娘の身体をガッチリつかむと、天高く舞い上がり、そのまま落下ー! 出たーー、電光石火の【富士山バスター】! 勝負は決まったかー!


「あ、いや、見てください」


──こ、これは! 餅だ! 信玄餅だ! 山梨娘、いつの間にか信玄餅と入れ替わっていたー!


「気づかないほうもどうかと思いますが……」


──きな粉まみれになる静岡娘、今度は逆に山梨娘が背後に忍び寄り電光石火の【富士山バスター】!


「やられたらやり返す、まさに山梨娘の信条ですね」


──これはさすがに静岡娘は終わったか!?


「いえ、終わってませんよ」


──あーっと、今度はうなぎパイだ! 静岡娘、うなぎパイと入れ替わっていた!


「さすがですね」


──山梨娘、間髪を入れずに辺り一面に大量の水を撒く!


「【富士五湖・五連弾】です。五発の水の球が襲い掛かる技ですよ」


──すごい、さっきから技のオンパレードだ! まさに宿敵同士の対決! 技の出し惜しみは一切ありません!


「でも静岡娘も読んでますね」


──うなぎのうなちゃんが【富士五湖・五連弾】をその身をもって受け止めているー!


「静岡娘に水の攻撃は利きません」


──そうこうするうちに静岡娘、大量の湯飲みと急須を出現させた!


「ああ! これは!」


──なんですか?


「お茶会では禁止されてる技、【あ茶お茶げんまい茶】ですよ!」


──お茶会では禁止されてる技?(っていうか、お茶会ってなに?)


「あつーいお茶かと思って飲んだらげんまい茶だったという伝説の技です!」


──伝説のエピソードがしょぼくないですか?


「ここまでするか、静岡娘という感じですね」


──さあ、そんな静岡娘の【あ茶お茶げんまい茶】が山梨娘に降りそそぐ! これは熱い! 熱いぞ! 大量のお茶とげんまい茶が急須と湯飲みから流れて来る!


「山梨娘もワインと富士五湖の水でガードしてますが、このお茶は100度を超えますからねー」


──とどめと言わんばかりに静岡娘が湯飲みを持って山梨娘に近づいていく! そしてわざとらしくスッ転ぶー!


「スッ転んだ反動でアツアツのお茶が湯飲みごと相手にかかる。これが【あ茶お茶げんまい茶】の一連の流れです」


──しょうもない攻撃ですが、山梨娘、さすがにこの攻撃には耐えられなかったようです。身体中から煙を出しながらダウンしました。


「禁断の技を使うしか勝つ方法がなかったってことですね」


──次回はきっと山梨娘が禁断の技を使うことでしょう。とはいえ、今回は静岡娘の勝利となりました!




×山梨娘 VS 〇静岡娘【決め技:あ茶お茶げんまい茶】

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[良い点] くっ! 熱い! 熱すぎるッ! 桜前線とは真逆で、北から南下する熱闘前線! まだか? まだなのか? 九州勢ぃぃ──ッ! あっ、本籍地の岡山娘の出番も楽しみ! イチローっ! ディスったら許さん…
[一言] メメタァ
[一言] › あ茶お茶げんまい茶  「燃える!お兄さん」でしたっけ?  ジョジョといい、今回はジャンプまんがネタですね。
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