嘗て
「今でもはっきりと覚えている」
ここは知る人ぞ知る下町の酒場。
その賑わいの一角でテーブルを挟んで向かい合う二人の男。
一人は片手にグラスを持ち遠くを見るような目で低い天井を見ながらいかにもな格好で昔話を語ろうと口を開く中年の男。
もう一人は腕を組み興味深そうな目で男を見据えながらその話を聞こうと耳を欹てるまだ酒に不慣れな年頃の青年だ。
「その男はかつて英雄と呼ばれた」
「いやなんですか、いきなり改まって」
「このほうが味があって良いだろ?」
青年がグラスに口をつけながら苦笑交じりの微笑みを浮かべる。
「リアム・ルイス、それが男の名前だ。二十八年と半年前、当時ここ西部大陸では自分達の安全を脅かし苦しめる魔物を恐れ、憎み、排除しようとする動きが高まっていた。そんな中、王都レミリアの王族ルイス家の一人っ子として生まれたリアムは父を早くに亡くし、十六歳という若さで帝王の座につくと民衆の反感など露知らず魔物との共存共栄を宣言した。魔物との」
「ほぉ」
男の同じ言葉を繰り返す癖もその対処法も知っている青年は誇張半分本心半分興味深げに相槌を返す。
がれている……」
説明長くて読みづらいかも?
意見待ってます。
あとリアムの過去の旅の詳しくした版を別の小説として書こうかなと思ってます。
……気が向いたら。