……デ……ア……イ……
毎日朝夕通学する彼女達へ挨拶する事がワタシの日課になった。
知らない人へも挨拶出来るようになった事が嬉しい。
誰にでも挨拶する事は生前からの目標だったから。
朝から晩まで挨拶の種類は『シネ』の1つしか無く返事が無い事は残念だけど。
毎日自分の行動を見ていて気付いた。
世の中には【何も感じない人】と【何か感じる人】がいる。
未だに【見える人】とは会えない。
そして、かつて所属したグループの面々は全て【何も感じない人】だった。
彼女達から無視される毎にワタシの心へ【黒い雪】が降り積もる。
夏でも溶けない黒い雪が積もるほど、ワタシの怨みも心へ積もる。
シンシントツモリツヅケル
駅で毎日挨拶をするだけの日々、ある日、四人組のおかしな小学生達が現れた。
「今日の目的地はここよ」
凛々しい顔立ち、艶のある黒髪は無造作に背へ流し、小麦色に焼けた肌、すらっと伸びた手足。
国民的美少女コンテストで入賞してもおかしくない健康的美少女を先頭にホームへ入ってくる。
ワタシが思わず見惚れても体は挨拶を忘れない。
「本当に異世界への入口があるのだろうな?」
「間違いないわ。目撃例も多いのよ」
次に入ってきた少年はどこにでもいそうな少年。
体が大きいくてデリカシーもなさそう。
ワタシが嫌いなタイプでいつもより怨念を込めて挨拶をしてあげた。
心と体が一致するのは気持ち良い。
「…何を目撃されてるの…」
次の少女も素材は良いけどセンスが悪い。
シャンプーのコマーシャルで見るような黒髪が膝の辺りまで伸びて清楚な雰囲気は日本人形。
だが良い所は雰囲気だけ。
太いフレームの黒縁眼鏡は野暮ったく、黒のゴスロリワンピースが清楚な雰囲気をぶち壊す。
その上、口から出る言葉は小学生ですでに中二病。
「噂だとトイレの鏡に人影が映るんだって。それで、振り向いても誰もいない」
「そりゃぁ異世界への入口じゃなくて、幽霊騒ぎだろ?」
「もしかしたら異世界人が鏡へ写っているかもじゃん! 鏡の中へ入れるかもだし!」
「…私が使役する悪魔は『ここに悪霊はいない』と言っている…」
「ほらっ。鶴っちも言っているし」
「…私に普通の霊は見えない…けど何か悪い気配は感じる…」
ゴスロリ娘は他の二人と違って【何か感じる人】みたい。
念入りに挨拶しておこう……反応なし……この娘も【何も感じない人】の可能性大ね。
「晶君。どうしたの?」
「…入場料なら心配要らない…由宇が払った……」
「お前らの分までな! 晶。お前は俺に遠慮する事ないからな」
「みなさんは平気ですか?」
「晶君。言いたい事ははっきり言いなさい」
「何でもないです。きっと気のせいですから」
アキラと呼ばれている最後の娘はショートボブ……と言うよりおかっぱ髪の少女。
前髪パッツンで後髪もパッツンでシャギーは一切なし。
無地の白いティーシャツに半ズボンなところもシンプルで良い。
キュロットではなく半ズボンなところがワタシ好みで良い。
そして彼女の視線は、驚きの表情を含み、ワタシを捉えて離れない。




