……ク……ル……ウ……
ワタシは駅のホームの白線の上に立つ同級生四人の一歩後ろへ立つ。
いつもの定位置へ着き、いつもと違い、後ろからみんなへ声を掛けた。
今までは話の最中に腰を折るのが怖くてできなかった事。
だけどワタシにはもう時間がない。
みんなに届けと願いを込めて言葉を絞り出す。
最後の言葉を。
別れの言葉を。
『ワタシの名前はヒトミよ』
「誰だし。イタズラやめろし」
「そもそも名前どころか声なんて覚えてないって」
「マジでヒトミ?」
『みんな忘れないでね』
「誰? ホントやめろし。てかみんな聞こえてん?」
「聞こえてる。と言うより頭に響いてる。犯人うちら四人じゃなくね?」
「誰だよ!? 出て来い!」
『ずっと見ていたからね』
「うちじゃない! こいつらだから! あんたを突き落としたのこいつらだから!」
「何言ってるし!」
「オマエ! 何言ってやがる! ヒトミの話を避けてたのはテメェじゃねぇか!」
『ずっと見ているからね』
「うちじゃないからね!!」
ワタシの最後の言葉は同級生へ届いたようだ。
だけど、ワタシが話すとみんなの様子がドンドンおかしくなる。
しまいには『うちじゃない』と絶叫した少女は彼女の胸ぐらを掴もうとした少女を突き飛ばす。
突き飛ばされた少女は、両隣りの少女達へ手を伸ばすが、二人を巻き込み軌道内へ落ちていく。
三人が軌道内へ進入し線路へ落ちきる前に急行電車が目の前を通過した。
録画のコマ送りのように三人の最後が目に焼き付く。
金属と金属の擦れ合う甲高いブレーキ音が大音量で長く長く鳴り響く。
その音が次第に小さくなるのに代わり、人の声とは思えない悲鳴の大合唱が辺りを満たす。
「人が……女子高生が轢かれたぞ!」
電車に轢かれた同級生は三人。
一人は鉄の車輪と線路でバラバラにされ軌道内にばらまかれた。
一人は電車とホームに挟まれ擦り下ろされ、赤と白と桃色の塊となり、長い線をホームへひく。
一人の姿はどこにも見つからなかったが、駅を離れた遠くからも人の悲鳴が聞こえてくる。
最後に三人を突き飛ばした一人は完全に心が壊れたようにブツブツと呟き続けていた。




