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……ア……リ……ガ……ト……ウ……

今日は駅舎の中にある待合室でワタシの【成仏作戦会議】が始まった。

小さな駅舎だ。

みどりの窓口も売店も待合室も同じスペースにある。

一人姿が見えない五人組は駅員のおじさんと売店のおばさんの注目を集めた。

見えない二人もワタシの方を見て話してくれる。

だからこそ周りには異様な光景と見えるのだろう。

ゴスロリ娘はワタシが見えるようだ。

ワタシの一挙手一投足が黒縁眼鏡の奥で光る瞳で監視されている。


「昨日今日と話して『お姉さんを裏切った四人組が憎い』って事で良いかしら?」

「四人組って俺らの事じゃないよな?」

『違うわ。記憶にモヤがかかっているけどワタシの同級生だと思う』

「……との事です。黒井さん。人を呪うと悪霊になってしまうのですよね?」

「…そう…呪ってはだめ…お姉さんは四人の何が憎いのか知る必要あり…」

『……思い出せない……』


その時、ワタシと同じ制服を着た四人組がかしましく話しながら改札口へ向かう。


「絶対『ヒトミ』だって」

「誰それ? うち知らんよ。話題に上げるなって言ったじゃん」

「あんたの事を恨めしそうな顔して改札口で待っているよ」

「うそ!?」

「冗談」

「あんたは見えるんだから心臓に悪いって。冗談言うな」

「あいつは元から幽霊みたいなものだしね」

「あいつが見えなくなった分だけ良くなってるし」

「それ!」


笑いながら改札口を通る女子高生四人組から『ヒトミ』と名前を聞いた瞬間に電気が走った。

思い出した。

ワタシの名前はヒトミ。

望みは彼女達にワタシを忘れて欲しくない……友達として認めて欲しい事だ。


『アキラちゃん。思い出したの。ワタシの名前はヒトミだよ』

「お姉さん。僕も名前を思い出してくれて嬉しいです。みなさんお姉さんの名はヒトミです」

「…そう…良かった…思い出せて…名を忘れないで…悪霊にならない為に…」

『忘れないわ。あなた達も覚えていて』

「……とヒトミ姉さんが言っています。僕は絶対わすれません」

『ありがとう』


万感の想いを込めて発した感謝の言葉への返事は三人の驚愕した顔だった。

アキラちゃんは変わらず『ありがとう』とワタシの言葉を訳してくれていた。

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