……マ……チ……ビ……ト……
来ない。
あれから何本電車を待ってもアキラちゃんは来ない。
日中、たまに電車から降りて来た人へ行動範囲の許す限り付きまとい何度も挨拶をする。
来ない。
駅員に付きまとい同じ挨拶を何度も何度もくりかえす。
自分が何をしているのかどんどんと分からなくなってきた……
『……シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ……』
「……お姉さん……」
『……シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ……』
「……お姉さん!……」
『……シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ……』
「お姉さん!!」
『……シネ……アキラちゃん?』
約束したよね?
どうして来なかったの?
やっぱりワタシなんてどうでもよいの?
シネ……アキラちゃんなんてシネシネシネ……
言葉が口から出ない分、目に力を込めて怨みをアキラちゃんへぶつける。
「…晶…今のお姉さんへ近づく事は危険…悪霊になりつつある…」
「黒井さん。大丈夫です! 僕がお姉さんを悪霊になんてさせません!」
「晶。『僕』じゃなくて『俺ら』がだ!」
「お姉さんが見えないくせに格好付けているんじゃないわよ!」
「目がぁー!」
大きな少年が駅舎の床を転げ回った。
彼が元々居た場所にはピースサインを水平よりやや上方へ右腕を伸ばした健康的美少女。
ワタシとアキラちゃんの間へ立ち塞がるゴスロリ娘。
四人とも来てくれた。
それとも今までワタシを『のけもの』にして四人で楽しんでいた?
この四人もあの四人と同じだ。
実際ワタシは『お姉さん』と呼ばれていてワタシの名前を四人の口から聞かない。
そう思うとフツフツと黒い感情が腹の底から湧き上がる。
あれ?
ワタシの名前は?
あの四人?
大事な事だと直感していても思い出せない。
ずっと同じ所をグルグル回っている気がしても自分で抜け出せない。
気付くとスタート地点へ戻ってしまう迷宮のようだ。




