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ルイの弟達

続きをご覧いただきありがとうございます。

ルイの弟達と会うためにメイクボックスで身支度を整えてダイニングへ移動した。

ジャンに勧められるままアイシャドウもリップも真っ赤にしたので自分史上最も派手なメイクだ。





ダイニングにはアランさんとマリーさん、更に男性が2人いた。


「マナミ様をお連れしました。」


ジャンがアランさん達に声をかけると4人がこちらを向いた。


「初めまして、マナミ・スズキと申します。」


反射的に挨拶する。

すると高身長だが細身で猫背、無造作ショートヘアなオレンジの髪に碧眼で眠そうな顔の男性が会釈した。


「初めまして、ベルナルド家次男のユーゴです。

普段は国の中心地で働いています。」


その隣の中背細身、テラコッタの髪に黄色の目でサラサラショートヘアの男性が笑顔で言った。


「初めましてー、三男のルカでーす。

僕も中心地で働かされてます。

ところで、ルイ兄さんを前面にアピールしたメイクだね。

似合ってていいと思うよー。」


ルイをアピールしたメイクとは何のことだろう。

ジャンを見るとニヤリと笑って説明した。


「この国では特定の相手がいる女性は、その男性の髪色をメイクに取り入れてアピールするのです。

マナミ様にはルイ様がいらっしゃるので、アピールした方がよろしいかと。」


派手だとは思ったけど、そんな理由からだったとは!

軽くジャンを睨むが営業スマイルで返される。


「まぁまぁ、ジャンは僕がマナミさんを誑かさないか心配なんだよ。

でも安心して、いくら僕が軟派なやつでもわざわざ波風立てるようなことはしないから。」


そう言ってルカは肩をすくめた。


「それにしても、マナミさんには赤がよく似合いますわね。

素敵ですよ。」


マリーさんがニコニコと言う。

そんな風に誉めてもらえるのは嬉しい。


「ありがとうございます。

メイクボックスという魔法道具のお陰です。」


と私が言うと


「それは自分が開発したものですね。

転移者様のお役に立てて光栄です。」


ユーゴさんが眠そうな顔で棒読み気味に言った。


「素晴らしい道具です!

朝の支度が一瞬で終わるなんて革命的ですよ!

開発してくださって本当にありがとうございます!」


少し大袈裟に誉めてみるとマリーさんものってくる。


「そうですよね!

私が最も好きな魔法道具です!」


するとユーゴさんも流石に照れた様子を見せて、


「仕事をしたまでです。」


とモゴモゴ言った。


「魔法道具の開発をされてるんですね。

他の転移者から依頼があるのですか?」


私は思い付きで質問する。


「最近はそうですね。

転移者様の要望にはできる限り答えるよう国王から命令されてますから。

以前は武器の開発がメインだったのですがね。」


ユーゴさんは武器の開発が好きだったのだろう。

それが転移者のワガママで叶わなくなったのか。


「僕はー、転移者様から依頼された服を作ってるよ。

マナミちゃんの服は僕がデザインしたものなんだー!」


ルカくんが偉そうにふんぞり返る。

私は着ているドレスに目を落とす。

そして昨日着ていたワンピースを思い出す。


「あまり違和感なく着られていたのは、転移者の要望に合わせてデザインしていたからなんですね。」


「そうそう、そうなんだよー。

転移者様が来るまでは、もっと派手なドレスや髪型が流行ってたんだ。

転移者様がダサいから着たくないってシンプルなものを作らされてから、それが流行りになったみたい。」


「戦争に負けた後だから貴族が無駄金を使わなくなるのは有り難かったわけだがな。」


アランさんは苦笑いした。


「そういえば、ドレスに着付けの魔法をかけたのもルカさんですか?」


「それはユーゴのボスが開発した魔法だよ。」


「メイドがいなくなったから早急に開発せよと言われて大変だったらしいです。」


「なるほど。」




ルイの弟達は、ひと癖あるようだが楽しく談笑できている。

そしてランチタイムとなり、ハンバーガーを食べながら2人に色々質問してみる。



「コリーヌベルト国の中心地は、どんなところですか?」


「中心地の名はサントルで、大きな都です。」


「サントルはー、だだっ広い平地にあって人がいっぱいいるよ。」


「主に魔法が得意な者が集められていて研究させられています。」


ユーゴさんとルカさんが交互に答えてくれる。

話が弾むのが嬉しくて更に質問を続ける。


「サントルは、どなたの領地ですか?」


「そりゃー国王様だよ!」


ルカが笑い転げつつも答えてくれる。

少し考えれば分かることを聞いてしまって恥ずかしい。


「国王様は父上と同年代で、王子が3人いらっしゃる。

しかも自分達と歳が近いのです。」


気を使ってくれたのかユーゴさんが話を逸らしてくれる。


「そうなんだよねー。

その王子達にそれぞれ転移者様が召喚されてー、そのお三方が好き勝手仰るから大変なんだよー。」


「転移者様は今のところ全員同じ国から来ているらしいですよ。

確かニホンだったかと。」


「私も日本から来ました。

転移された方は和食は広めなかったのですか?」


「コリーヌベルトには和食というものに必要な材料がなかったようです。

何度か再現したいと要望がありましたが…。」


ユーゴさんは深いため息を吐く。


「そういえば、サントルの転移者様方の元職業は、助産師・モデル・料理人らしいよ。」


「素敵な職業ばかりですね。

お会いしてみたいです。」


「僕はデザイナーだから、元モデルの人とほぼ毎日会うんだ。

とにかく太るのが嫌で、最初はご飯を食べてくれなくて大変だったみたい。

今は何度か出産を経験されて、なんでも食べてくれるけどね。

体型維持にもうるさいけど、ドレスへの注文もとにかく多くて大変なんだー。」


ルカくんも大きなため息を吐く。


「自分は元助産師の方と会う機会が多いです。

彼女は大変頭が良くて、細かくて、会うときは気が抜けないです。」


「元料理人の方とお会いしたことはないですか?」


「自分はないですね。」


「僕もー。

でも料理人達が愚痴を言っていた感じだと似たり寄ったりかな。」


ランダム召喚の闇を見てしまった。

慌てて話題を変える。


「コリーヌベルト国内の転移者は、何人くらいですか?」


「国内の様々な領地で召喚されていますが、マナミさんで25人目だったと思います。」


「そういえば、全転移者が産んだ子供を合わせると100人になりそうって聞いたよー。」


ルカくんは軽く言ったが私は驚いた。


「私以外の24人でそんなに産んでいるのですか!?」


なんだかクラクラする。

結構なハイペースで産まなければならないのか?


「魔法で双子以上を授かるようにしているからできたことですよ。」


フォローをユーゴさんが入れてくれるが更に驚く。

双子以上だと帝王切開が必要になる可能性が高いのでは?

魔法で簡単に手術できるのか?


「産むのを楽にする魔法もあったよね?」


「あるな。

転移者様に無理をさせないための魔法が沢山ありますので、ご安心下さい。」


魔法って凄いなと改めて思ったが、妊娠期間中も大変そうだなと思ってしまう。


「転移者様の子供の男女比は3:7で女の子が多いんだってー。」


「同じペースで産んでいただければ人口を保つことは可能になりそうだと研究結果が出されていました。」


「転移者の方々は意外と協力的なのですね。」


「妊娠から子育てまでを楽にする魔法はかなり開発が進んでいて、元の世界より楽なのだそうです。

出産は無痛ですし、夜間授乳は母乳を複製して執事が代わりに行いますからね。」


なるほど、かなり楽になっているようだ。

更に質問を重ねる。


「その魔法の開発には助産師だった転移者が関わっているのですか?」


「そうです。

こちらに来てから魔法も習得されて、開発にはかなり積極的ですよ。」


「この世界にとって、とても役立つ人材ですね。」


「1人目を召喚する時は、出産の経験があるか知識を持つ人が良いと宰相から指示されていたようです。

ルイはかなり悩んでいましたけど魔方陣は成功しましたね。」


「この国の救世主様だよねー。」


なんだかルイの婚約者であることにプレッシャーを感じてきた。


「元助産師の転移者様は医療魔法以外も使いこなし、開発にも協力されていますよ。

彼女も黒髪ですが、こちらの世界の黒髪とは明らかに魔力が違います。

他の転移者様は生活魔法しか勉強されていないので転移との因果関係は分かっていませんが。」


「折角魔法が使えるのに勿体ないですね。」


「みんな出産と育児で手一杯だってさー。

仕方ないよね。」


「では転移者の子供達は高い魔力を受け継いでいますか?」


「正確なところは分かりませんが子供達の魔力は高い傾向にあるそうです。

その子供達を1ヶ所に集めて魔法学校を作ろうという話が出ています。」


楽しそうな話だ。

出来たら行ってみたいな。

そんな妄想をしているとルカくんが口を開いた。


「マナミちゃんの結婚式には転移者様の誰かが来るかもね。」


ルカくんが私を憐れむような目で見た。


「なぜ転移者が来るかもしれないのですか?」


「地方領主の跡取りの結婚式は、国王の代理で王子が来るのさ。

転移者様は王子の妻だから一緒に来るはずだよ。」


「そうですか。

仲良くしていただけるといいですが。」


もし元助産師の方が来たら是非とも仲良くなりたい。

そして魔法の取得方法を聞き出したい。


「マナミさんはサントルの転移者様方とは少し違う感じがするので、もしかすると仲良くなれるかもしれませんね。」


食後のコーヒーを飲みながらユーゴさんが呟いた。


「確かにー。

あのお三方は他人に合わせるってことを知らない感じだけど、マナミちゃんは違うね。

同じ国から来てるのに不思議!」


ルカくんは楽しそうに言うとコーヒーをぐいっと飲んだ。




いったいどんな人達なのやら。

会うのが怖くなりつつ、私も食後のコーヒーを飲んだ。


ご覧いただきありがとうございました。

ブックマーク、評価ともにありがとうございます。

とても励みになります!


説明の部分が多くなってしまいました。

読みやすく書くのは難しいですね。

次も人物や世界観の説明が多いですが

一緒に想像を膨らませていただけると嬉しいです。


次回の投稿目標は1週間後です。

またよろしくお願いします。

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