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ベルナルド家の人々

続きをご覧いただきありがとうございます。

ルイについての描写が少なかったため2話に加筆しました。(2019/9/26)

ベルナルド城前で大きな歓声に包まれた後は、いよいよご両親への挨拶である。




豪華な扉を笑顔の兵士が開けてくれて中に入る。

城の中は意外と装飾が少なかった。

それでも使われているカーペットや調度品は見て分かるほどの高級品である。


ルイは馬から降ろしてくれた後からずっと腰に手を回しエスコートしてくれた。

まだ出会って間もないのに馴れ馴れしいと思いつつ嫌な気がしない。

それどころかドキドキして舞い上がってしまっている。

恋愛経験の乏しさ故だと思うと少し悲しくなるけれど。



ルイは私の心の内など知る由もなく、城の中について説明してくれる。


「1階は客間や兵士の宿舎となっています。

私達が生活するのは主に3階です。

ちなみに2階は図書室などがあります。」


家の中に図書室があるなんてね。


「図書室以外は何がありますか?」


「興味を持っていただけて嬉しいです。

色々ありますので後程ご案内しますよ。」


声の弾んだルイを見ると微笑んだ。

ドキドキがぶり返す。

イケメンは本当に心臓に悪い!


「さて、両親にご挨拶いただきたいのですが、よろしいですか?」


ついに来た!

でもその前に…


「お手洗いを借りてもよろしいでしょうか?」


「気が利かなくて申し訳ないです。

ご案内します。」




お手洗いの中もとても美しい。

タイル張りで一枚一枚に綺麗な花の模様が描かれている。

私の目的は用を足すことではなく、洗面台と共にあるであろう鏡であった。

洗面台も大理石と思われる光沢のある石で出来ており美しいが、その上に壁掛けられた鏡は銀で装飾されており更に美しい。


「この世界で目覚めてから全く身だしなみを整えてなかったから気になってたのよね」


久しぶりに独り言が出た。

鏡の中の自分を見ると思ったより酷い状態ではなかった。

しかし仕事帰りにこちらへ来たので化粧をしていたはずだが、なくなっていた。

不思議に思ったが、ダラダラしている訳にはいかないので顔を洗うことにする。


洗面台には水道と思われる鉄の筒が壁から生えていた。

手を差し出すと水が出てくる。


「これも魔法かな?」


魔法がある以上、こちらの生活で不便することはなさそうだ。


水で顔を洗い、束ねていた髪を結び直すと心が引き締まる。


「よし、頑張るぞ!」


出勤前のルーチンワークを行って自分を鼓舞するとお手洗いを後にした。




廊下に出るとルイがスーツに似た黒い服を着た初老の男性を連れて歩いてきた。

ルイより10センチほど低く、斜めに流され整えられた短い髪はロマンスグレー、背筋がピシッと伸びている。


「この城の執事長を紹介します。

セリューです。」


するとセリューと呼ばれた男性はルイの一歩後ろでお辞儀をした。


「御用があれば何なりとお申し付け下さい。」


そして優しそうに微笑んだ。


「マナミ・スズキと申します。

よろしくお願いいたします。」


私もお辞儀する。


「素敵な女性を召喚されましたな!

流石で御座います!」


と目頭を押さえて何度も頷かれた。

挨拶をしただけでこのような反応をされるとくすぐったい。


ルイもそうだったのか、コホンと咳払いをする。


「そろそろ両親のところに行きましょう。

貴女が来るのを今か今かと待っているはずです。」


そう言うとルイは歩き出した。

私がそれに付いていくと後ろからセリューさんも来る。


3人が一定の間隔をあけて歩く。


現金なもので馴れ馴れしくされると不快に感じるが、それがないと寂しくなる。

そんなことは口に出せないが、言えばルイは微笑んでくれる気がした。


大きな階段を上って3階に着くと目の前の廊下を進んだ先に一際豪華な扉が見えた。

ルイは真っ直ぐその扉を目指して歩いているようだ。


いよいよご対面かと一歩踏み出す度に緊張が増す。


扉の前にはセリューさんと同じ服を着た若い男性が立っていた。

あの黒い服は執事のユニフォームなのだろう。

私達が近付くとゆっくりと扉を開いてくれる。


ルイは部屋の中に一歩踏み出すと一礼した。


「ただいま戻りました。

そして召喚した女性をお連れしました。」


私も続いて一歩入り、深くお辞儀する。

中は玉座の間だった。

壮年の男女が豪華な服を纏いそれぞれ豪華な椅子に座っている。


「初めまして、マナミ・スズキと申します。

お目にかかれて光栄です。」


すると男女は微笑んでくれた。

貴族への挨拶なんて初めてだが問題なかったようだ。


深い赤髪で口髭を蓄えた男性が口を開いた。


「城主のアラン・ベルナルドだ。

急な召喚にも関わらず友好な対応を感謝する。」


ミルクティー色の髪を綺麗に結わえた女性も口を開いた。


「妻のマリーです。

女性が少なくて心細いでしょうから、いつでも頼って下さいね。」


アランさんもマリーさんも優しそうだ。

でも女性が少ないってどういうことだろう?

そういえば、お城にいそうなメイドさんがいない。


「ルイ、マナミさんには説明してあるのか?」


「いえ、まだです。

お昼時なので、ランチを取りながら説明しようかと思っております。」


「それは良いわね。

実はランチの支度は出来ているの。」


「では、ダイニングへ行こうか。」




その会話を聞いて緊張で忘れていた空腹を思い出した。


評価ポイント、ブックマークいただけて嬉しいです!

とても励みになります!


ラブコメ感を出すのは難しいですね。

次回は世界観の説明をしていくつもりです。

投稿目標は1週間です。

よろしくお願いします。

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