8話 久しぶりの下界
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( ̄∀ ̄)
「結構あっという間に着いたな」
結局2人と1匹で下界に行くことになった俺達は…下界に降りる際に利用されるゲートを3回通って…無事に下界に着くことが出来た。
1つ目のゲートでは生命力を移す
2つ目では魔力、神気を移す
3つ目ではスキルや技能などの情報を移す
これらの情報を隠蔽をしたとしても…全てを見通す神の前では無意味だそうだ。
他にも細々とした条件はあるが…それはいいだろう。
「それで、どこへ行くのですか?」
「とりあえず…近くの町だな。何でもいいから情報が欲しい」
『ウリュー適当ー』
「いいから行くぞ」
俺達はここから歩いて、10日かかる距離を光学迷彩で周りから見えなくし…、2時間で門が見える位置まで着くのだった。
「ラビここからは、人化して行きますよ」
『はーい!』
ボフンと音と煙をたて…しばらくすると、前に見た白銀の狼の耳と尻尾を生やした子供がいた。
ちなみに俺も同じようなものだ。
ラビに問題がない事を確認し、俺達は門に向かうと…武装した奴に槍を突きつけられた。
「獣人がこの町に何の用だ?」
「はぁ? 獣人が町に入ったら駄目なのか?」
「駄目ではないが…俺はオススメしない。この町…いやこの国は獣人には優しくない。
仮に暴行を受けたとしても…やり返したらそいつが罪になる」
はぁ…人種差別か…くだらない。
町に入ったとして、絡んでくる奴等が多そうだし、違う町…いや国に行くか。
行こうと思えばあっという間に着くしな、そうするか。
「そうか、なら別の国に行くとするか、ありがとな教えてくれて」
「なに、気にするな。俺は獣人にも良い奴いるって知ってるからな!」
気持ちのいい笑み浮かべる男に礼を言い…ここから去ろうとすると…後ろから武装した5人組がやってくるのが見えた。
ソイツ等は俺達が目に入ると、獲物を見つけたような顔をした。
「おいおいおい!! どーーして獣風情が人様の国にいるんだ? 獣臭くてたまらねぇ!!」
「ホントホント!」
「さっきまでいい気分だったのに、コイツらのせいで台無しだ!」
「んん…? よく見りゃいい女連れているじゃねぇか! 迷惑料がわりだこっちに寄越せ!」
「じゃあ、俺はそこの獣人で!」
気持ちの悪い笑みを浮かべる2人の男がアルファとラビの腕を掴もうと手を伸ばすが…2人に触れることは無かった…。
「「ギャアアアアア!!」」
「ど、どうした!? お前等!」
「お前等…その腕…」
「曲がったらいけない所まで、いっちゃってるぞ!?」
男達が騒ぐ中…俺達はその様子を少し離れた所から見ていた。
「ったく…ああゆう奴等を見るとイライラする。 ゴミどもが…、だから人間は嫌いなんだ。いい奴より、くだらない事をする人間の方が多すぎる」
「あいつ等どこに行きやがった!!」
「ぶっ殺してやる!!」
「探せ探せ!! まだそこら辺にいるはずだ!」
「イテェ…イテェよ〜」
「クソ! 次見つけたら、死ぬよりも恐ろしい目にあわせ…ッ! グハァ!!」
馬鹿な事を企む奴の頭に小石をぶつけ…俺は2人に振り向いた。
「どうやらハズレを引いたみたいだな、次は獣人の国に行ってみるか…。んでアルファ、なんださっきから人の顔をジロジロと…」
「どうして、私達を助けたのですか? 貴方が手を出さなくとも対処できましたよ?」
「ねー♪ ラビもあんな奴等なんかに負けないもんね!」
「はぁ…? 何を言ってるんだ? 俺はゴミみたいな人間に、腹がたったからお灸を添えてやっただけだぞ? 何勘違いしてんだ――ヘブッ!?」
俺が正直に言うと…何故かアルファから拳を貰い、数10Kmは飛んだんじゃないと思わせるほど衝撃があった。
良く見れば…人の形をした穴が、岩や木にも出来ていた。
まったく…下手したら死んでたじゃないか。
文句を言う為…俺は2人の元に転移した。
「おい! イテェじゃねぇか! 何で殴るんだよ!!」
「いえ、何だかイラっときた、ものでして」
『ラビも今のは、ウリューが悪いと思うー』
む…、この2人が、そう言うなら俺にも悪い所はあったんだろう…。
俺もゴミみたいな奴になるのはゴメンだからな…信用できる奴の言葉には耳を傾ける事にしよう。
………
俺達は少しでも今の下界を知る為に…空を飛びながら移動する事にした。
俺とアルファは風魔法を使い…ラビは空中を蹴り…空を駆け抜ける。
なかなかロマンを感じさせる図じゃないか。
他にも…魔獣や動物を捕らえる事も出来るので…食う物も困ることはない。
一石二鳥とはこの事だな。
それに風が頬を掠めたり…髪が風で後ろに引っ張られるような感覚…嫌いじゃない。
しばらく、風で楽しんでいると…狼が引っ張っている馬車…、狼車が大人数の男達で囲まれているのに気がついた。
はぁ…本当に…世界が変わってもロクでもない奴ばかりだ。
俺は、2人に待機させ…1人で今にも襲われそうな狼車に向かうのだった…。
本日2度目の争いに、ため息を吐いて。