5話 地獄の始まり
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(*´꒳`*)
頭が割れるように痛い…くそっ…、俺はこんな場所で死―――
「何をサボっているのですか? 早く続きをやりなさい」
「ぐあぁぁああ!!」
俺は分厚い本の角で、暴力天使に殴られ…余りの痛さにその場で、頭を押さえ何度も転がった。
『頑張れ〜♪』
「さぁ、早くその本を、手に取り知識を頭の中に流し込みなさい。そのペースじゃまだまだ終わりませんよ?」
どうしてこうなった…。
遡ること6時間前…
「イレギュラー発見、これより行動に移ります」
天使はそう言うと、空間を捻じ曲げ…手を入れ…手を抜くと、分厚い本を持っていた。
それを――
「グハァ!?」
投げやがった…。しかも、俺の顔に…
「イッテェ…いきなり何を…」
「読みなさい」
拒否は受け付けないが如くの、冷たいを目を俺に向け…天使…いや、暴力天使はそう言い放った。
しかも、隣にいたはずのラビが、いつのまにか遠くにいるし…アイツめ逃げやがったな…。
何か言ったら、また殴られそうだったので…渋々、辞書みたいな分厚い本を手に取り…開くと全く読めない文字が書き込んであった。
「なぁ、文字が読めないんだが…」
「目で追うだけで結構です」
「はぁ…」
文字も分からないのに、いったい何の意味があるのか――
「は…⁇」
1ページを目で見通すと、文字が浮かび上がり…俺の頭の中に直接入っていった。
「ぐッ!」
ズキズキと頭痛と同時に…さっき見通した内容が分かるようになっていた。
なるほど…知識を直接頭の中に入れる、と…いうことか…。
内容は神族ついて? 神族だから神の事か? 何で俺はそんな本を読まなくちゃ――「続きを早く読みなさい」
「あっ…はい」
威圧みたいのを、出してくる暴力天使につい、敬語で言ってしまったのは俺の人生の汚点だ。
そこからだ…ずっと、暴力天使が監視のもと…俺はずっと、頭の中に入ってくるたび…頭痛を味わいながら本に目を通し続けた。
休憩無しでだ。
何故か、腹も減らないみたいで…全て見通すまで、終わらない地獄が始まった…。
雨の日も…
「なぁ…流石に雨の中で読むのは…」
「その本は汚れたり、濡れたりしないので気にしなくて結構です」
風の日も…
「なっなぁ…これ絶対、台風来てるよな? 雨も降ってるし…風邪引いたら元もこうも――「貴方はもう、病気がかかる体ではありません。続けなさい」」
隕石が降る日も――
「おかしいだろ!! どうして隕石が降ってくるんだ…ギャアアアアア」
「あの程度の石ころに、当たるなど…これは実戦では厳しくしないといけないようですね」
意識を失う瞬間、そんなつぶやきが聞こえ、空耳だと願った…。
2週間後…
そしてついに…
「終わったーー!! ようやく…ようやくだ!! この地獄が終わ――」
ドサドサドサドサドサ!!
ああ…どうか嘘だと言ってくれ…
「基礎の本は終わったようですので、次は神気についての本です」
ここで…逃げる俺をどうか許してほしい…。
飯を食わなくてもいい体だからといって…口に入れるのは雨の水だけ。
睡眠を取らなくてもいい体だからって…眠れるのは隕石がぶつかった時だけ…それでも、直ぐにあの暴力天使から叩き起こされる…。
「どこへ行くというのですか? まだまだ終わりませんよ? 縛られて本を読むか…大人しく本を読むか、選びなさい」
後ろにいたはずの奴が…いつのまにかロープを片手に道を塞いでいた。
ああ…俺はどうやら、あの地獄を再び味わうようだ…。
それから月日が流れる事、20年…ついに俺は…!!
「終わったぞぉ〜〜!!」
いつぶりだろうか…こんなに達成感を感じたのは…、つい、拳を上に上げ…大声を出してしまった…。
俺らしくもない。
それに、今気づいたが…なんだか頭の中がスッキリしたような気がするのは、気のせいか?
まぁ、あの本を読んだ効果だと思っておくか。
それにしても…よく生き延びたと、我ながら思う。
まぁ…生き延びたのは、俺の限界ギリギリの所で美味い飯と睡眠、後ラビの遊びに付き合ってやった…と、いうのが大きいだろ。
ラビはフラフラ…とよく出かけていたみたいだから、暇はしていなかったんだろう…羨ましい…。
それから、俺は1年間に3日だけ…自由が与えられる事になり…その3日間為だけに俺は死ぬ気で頑張った。
ああ…自由って素晴らしい…。と俺は初めて自由のありがたみに気づいた。
通し読みに慣れてきた俺は…少し手を抜いた年があった…。
その年は3日間の自由が無く…俺は死ぬほど後悔をした。
落ち込んでいた時…ラビが俺の顔を舐めて、ほんのちょっと愛情を抱いたのは秘密だ。
もちろん、小動物を愛でる…という意味だ。
さて…知識は全て手に入った…。
とりあえず、今日は寝て明日から、このわけの分からない空間を抜けるとするかな。
俺はベット召喚でラビを呼び…眠りについた。
俺はこの時…本当の地獄はこれからだと思ってもなく…ラビの柔らかい毛並みに癒され、眠りにつくのだった…。