29 一休み
奥の扉の左から三番目に入った輝は罠も無く歩く事数分。
輝は電子錠のかかったドアにたどり着く。
ドアを壊そうと能力を使おうとした輝にアナウンスが流れる。
「お待ちしていました、今ロックを解除致します」
ガチャっと音がして才能の回るモノがドアを開ける。
才能の回るモノは敵意が無い事を示す。
輝をソファーに座らせ、才能の回るモノはペットボトルのお茶を出す。
「毒は入って無いから安心して」
輝は訝しげにお茶を飲む。
「何のつもりだ?」
才能の回るモノはお茶を一口飲むと話し出した。
「話せば長くなるけど、聞き流してくれても構わないよ」
輝は目を閉じ耳を傾けた。
「ありがとう、真面目に聞いてくれて」
「そうだね、まず私が言いたいのは人間には限界がある」
「そして人は限界を勘違いしている」
「限界を越えたって言う人がいるけど」
「それはまだ限界じゃなかったから」
「限界じゃないから進めるんだ」
「限界ってのは目指す場所にすら立てない」
「そんな人間の事だ」
「これから話す昔話には慰めはいらない」
「私の暮らしていた村では貧乏で食事もロクに食べられず」
「私達家族は姉が身売りをして稼いだお金で暮らしていた」
「姉はいつも笑顔で私達に少しでもお腹いっぱいにご飯を食べさせようと頑張っていた」
「私の姉は頭も良く、お金を貯めて学校に行って私達に良い生活をさせようとしていた」
「そんな姉がイカれた男に殺され」
才能の回るモノは奥歯を噛み締め
誰かが言っていた
「神様が見てるから、良いことをすると自分に返って来る」
「姉は何か悪い事をしたのか?」
「そのイカれた男に私は復讐した」
「私達家族は村から追い出され」
「父は私を殴った、母はアンタが悪いと毎日私を責めた」
「私はそんな家族を捨て一人で旅をした」
「そんな時に会ったのが赤羽さんだった」
「赤羽さんは言っていた」
「神様何てのは結局、自分に都合の良い存在だと人間は考えいると」
「貴方達は神を倒すグループ何でしょ?」
「私は貴方達に協力しても良いと思った」
「私は神が嫌い」
「だから…だから」
「この世界を変えて」
輝は迷いなく、そして力強く答える
「約束してやる、必ず神を殺すと」
才能の回るモノは今まで我慢していた涙で視界が歪んだ。
しばらく沈黙が続き、才能の回るモノは立ち上がり
「白馬君を拘束してる部屋に案内するね」
輝は才能の回るモノの後に続く。




